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ジンバブエを訪問しムガベ大統領(右)と歩く中国の習近平国家主席(左)。中国外交を“独り占め”してきたが…=1日(ロイター)
【石平のChina Watch】終焉が近づく習主席の「劇場政治」 外交で失態 反腐敗運動には壁…
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160104/frn1601041830010-n1.htm
2016.01.04 夕刊フジ
「習主席アジア外交の惨敗」と題した前回の本コラムが掲載された前日の12月16日、米国のオバマ政権は台湾への4年ぶりの武器売却を議会に通知した。11月のイージス艦の南シナ海哨戒活動の開始と同様、この挙動は大国・中国に対する遠慮のない「挑発行為」ともいえる。逆に言えば「新型大国関係の構築」を持ち出してアメリカをうまく丸め込もうとする習主席の対米外交が再び「惨敗」を喫することとなったのである。
就任以来数年間、習主席はずっと、外交上の成功を政権の浮揚策として利用してきた。増大する経済・軍事力をバックにしてアメリカと対等に渡り合い、世界を凌駕(りょうが)する「大国外交」を展開する。そうすることによって国内向けには、自分自身の政治的権威を高め、権力基盤の強化を図る。それが彼の一貫した政治手法である。
そのために彼は、たとえば対米外交に関しては、オバマ政権との対話の窓口を独り占めしてきた。首相の李克強氏は就任以来一度も訪米を果たしていない。中国の首脳外交は今、習主席の「1人劇場」となった観がある。
そのなかでアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設や対英外交の成功などが「輝かしい外交的業績」として国内で賛美され、「大国の強い指導者」としての習主席のイメージアップにつながった。
しかし問題は、首脳外交が習主席1人の「専権事項」となった以上、外交上のいかなる失敗も彼自身が背負うことになるということだ。今年からの中国の対米外交とアジア外交の一連の挫折と失態は当然、習主席自身の失敗として広く認識され、その政治的権威を損なう結果となった。首脳外交の独り占めは結局、彼にとっての逆効果を生んだのである。
また、習主席は就任してから、「反腐敗運動」というもう1つの「劇場」を用意して自らの政治的権威の樹立に活用してきた。昨年までの2年間、彼の主導下で反腐敗運動が元政治局常務委員などの大物たちを次から次へと摘発の血祭りに上げ、「劇場」を大いに盛り上げた。その結果、13億の「観客」からの喝采拍手のなかで、昇竜の勢いを見せたのは習主席自身である。
しかし今年になってから、「反腐敗運動」も徐々に熱が冷めてきた。定年退職となった周永康氏などの「元大物」たちの摘発を一通りやってから、党内と軍内で隠然たる力をもつ本物の長老たちや現役の反対勢力の厚い壁にふさがれた習主席は、期待値の高まった国民にそれ以上の「出し物」を提供できなくなった。この1年間、習政権はもっぱら「北京副市長」や「上海副市長」など「副」のつく地方幹部を摘発のターゲットにしてきたが、この程度の「反腐敗」では国民の関心と喝采をつなぎ留める「劇場効果」はもはや期待できない。
外交上の「習近平劇場」が白けてきたのと同時に、「反腐敗」という習政権最大の「演劇」もいよいよ、幕を下ろすときが迫ってきている。
その中で、習主席の演じてみせた「天下無敵の大国外交」はただのほら吹きであること、国内の反腐敗運動が単なる「期間限定」のパフォーマンスであることが分かってきた。国民の多くはやがて、今までの興奮からさめて目の前の現実に目を転じていくのであろう。
そしてその時、彼らが目にしたのは結局、習政権の下でますます悪化してきた経済状況と、習政権になってからますます深刻化してきた大気汚染などの厳しい現実だ。賢明な中国人民はこれで、「演劇上手」な習主席が実は無能愚昧な「暗君」にすぎないことに気がつくのではないか。
浅はかな「劇場政治」の終焉(しゅうえん)とともに、習主席の権勢が落ち目になるのは間違いない。来年からの習政権は一体どうやって延命を図るのか。
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【プロフィル】石平
せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
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