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中国、景気下支え強化 減税など政策動員
来年の経済運営、6.5%以上の成長を死守
【北京=大越匡洋】中国の習近平指導部は21日、2016年の経済運営の方針を決める「中央経済工作会議」を終えた。安定成長の確保を重視し、インフラ整備などの財政出動や企業向け減税を拡大する方針を示した。財政赤字の拡大を容認し、景気の下支え策を一段と強化する姿勢を鮮明にした。向こう5年間は年平均6.5%以上の経済成長を死守する構えだ。
習指導部は今回、「構造改革のために安定したマクロ経済環境をつくる必要がある」と訴えた。08年のリーマン・ショック直後のような巨額の景気対策を打ち出す路線とは一線を画しつつ、このまま景気の減速が続けば、改革が頓挫しかねないと危機感を鮮明にした。
政策運営の方針を巡っても「穏中求進(安定の中で前進をめざす)」という基本姿勢は変えない半面、「『積極的な財政政策』はより力強く、『穏健な金融政策』はより機敏にする」と表明した。景気の安定により政策運営の軸足を移す。
例えば、インフラ向け財政支出や減税を拡大する。国内総生産(GDP)に対する財政赤字の比率は今年の約2.3%から3%超に高まるとの見方がある。追加の金融緩和も視野に「資金調達コストを下げる」とした。
さらに、景気を下押ししている(1)製造業の過大な設備(2)積み上がった住宅在庫(3)地方政府などの借金(4)企業の高コスト――という「4つの過剰」の解決に全力を挙げる。財政出動などで需要を掘り起こすと同時に、企業の効率の向上など「供給側(サプライサイド)の改革を一段と重視する」との認識を示した。
鉄鋼など主要な製造業は需要を上回る生産能力を持て余し、卸売物価の前年割れが続くデフレ状態にある。住宅市場では在庫がさばけず、新たな投資が出てこない。地方政府は巨額の借金を抱えて政策対応力が鈍り、企業も高コスト体質で競争力が低下している。
会議では「破産・清算の審理を加速する」として、国有企業などの再編・淘汰を進め、設備過剰の解消につなげる方針を示した。住宅在庫への対応では農民の都市への定住で新たな需要を創出するほか、不動産開発業者に住宅価格の引き下げを「奨励」するとした。
税や社会保険の負担の引き下げに加え、規制緩和を通じて企業コストを軽くし、技術革新を促すという。地方政府の債務管理を強化し「金融のシステム、地域のリスク発生を防ぐ」と強調した。
会議は18日から4日間開かれた。16年は、習指導部が初めて立案した新たな5カ年計画の最初の年だ。今回の会議では16年の成長目標を15年の「7%前後」から引き下げるかどうかについて触れていないが、習氏は向こう5年間は「年平均6.5%以上の成長が最低ライン」と明言している。
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「2人っ子政策」1月施行 家計に負担、効果未知数
【北京=大越匡洋】中国の全国人民代表大会(国会に相当)常務委員会は21日、一人っ子政策を撤廃し、すべての夫婦に2人目の子どもを持つことを認める法案の審議に入った。早期に可決し、来年1月1日から施行する。成長力の低下につながる働き手の減少に歯止めをかける狙いだが、教育費の負担増などから2人目を望まない夫婦も多く、効果は未知数だ。
中国共産党は人口を抑制するために一人っ子政策を1979年から導入した。ただ少子高齢化が急速に進み、働き手の不足が潜在成長率を押し下げている。習近平指導部は今年10月末にまとめた2016年からの5カ年計画の草案で、すべての夫婦に2人目の出産を認める方針に転換した。
法案は迅速に可決される見込みで、新制度は16年1月1日から始まる。認めるのは2人目まで。3人目以降については厳しい産児制限を続けるため「人権侵害」との批判が根強い状況は根本的に変わらない。「2人っ子政策」への転換で、人口構造のゆがみが是正できるかも不透明だ。中国当局は第2子出産の対象となる夫婦は約9千万組いるとし、50年までに働き手の人口が新たに3000万人増えるとみる。だが都市部では教育費などの負担の重さから、2人目を望まない夫婦も多い。
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中央経済工作会議とは
▼中央経済工作会議 中国の共産党と政府が年に1度、翌年の経済政策運営の方針を決めるために合同で開く経済関連で最高レベルの会議。12月上中旬に党最高指導部や閣僚、地方政府、大手国有企業、軍の幹部らが一堂に会し、2〜4日間の日程で開催する。成長率など経済運営の目標を議論する。具体的な目標値は原則、翌年3月の全国人民代表大会(国会に相当)において首相が政府活動報告の中で公表する。
[日経新聞12月22日朝刊P.7]
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