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通州の首都機能移転完成予想図(通州区のHPより)
中国最大の建設計画「首都機能移転」 北京市予算半額分投入
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151210-00000011-pseven-cn
SAPIO2016年1月号
「いま、中国で最も開発が進んでいるのは、ここ。通州ですよ。なんと言っても、ここに首都機能が移転し、副都心が建設されるからです」
北京市政府関係者はこう明かす。北京市計画委員会は今年、約4500億元(約9兆円)の北京市の公共予算支出のうち、半分の2250億元(約4兆5000億円)もの巨費を通州区に投じる。それだけに、有象無象の政商が利権を求めて群がっているが、そのなかに習近平ファミリーの暗躍もささやかれているという。ジャーナリストの相馬勝氏がレポートする。
* * *
「通州」は北京市を構成する14区2県のうち東部に位置する区のひとつ。習近平国家主席が10年の任期中で最大の建設プロジェクトと位置付ける首都経済圏構想の要となる「首都機能移転」の核心地区だ。
どのような都市を作ろうとしているのだろうか。すぐに浮かぶのは直轄市の天津や上海のようなイメージだ。
北京市中心部から、その通州に車で向かった。ところが、高速道路でほぼ10分で着いてしまい、拍子抜けした。距離的には10キロほどで、すぐ隣という感覚だ。街中を20分ほど走ると、区の中心部には大きな公園があり、その真ん中を大きな川が貫いている。
「これは『京杭大運河』という中国を南北に縦断する、かつての運河の一部」。こう地元民から説明を受けて、驚きを新たにした。
大運河は杭州から北京までを結び、途中で黄河と揚子江を横断して総延長は2500キロにも達する。通州はその最終地点だ。天津から運河が伸びているのだ。
運河の淵源は紀元前403年から始まる戦国時代にある。秦の始皇帝が紀元前221年に中国を統一してからも建設が進められ、隋代(581-618年)の初代皇帝・楊堅と二代皇帝・煬帝の二代にわたる大規模工事によって、ようやく一応の完成をみる。
しかし、100万人もの民衆が工事に動員されたことで、民の恨みを買い、巨額な工事費が支出されたこともあって、隋は二代で滅んでしまう。その後も大運河の建設は歴代王朝によって進められ、最終的に現在の中国共産党政権によって、再び整備が行われ、2000t級の船が通行できるようになっている。
そのような大運河の北端に位置する通州が新たな首都圏を形成することは、なにか歴史の因縁を感じざるをえない。
◆北京の「大都市病」が原因
新首都圏開発は北京の大都市病に起因している。北京は改革開放路線推進後の1980年代から、地方の農村部出身の民工(出稼ぎ労働者)らの流入によって過密化が進み、昨年末の人口は約2151万人と膨れ上がっている。
ラッシュ時の地下鉄はパンク状態であり、道路の渋滞もすさまじい。いまは、ナンバープレートの末尾の数字によって、市内での通行を制限しているほどだ。それでも、車の排気ガスによって、ちょっと先も見えないほどの大量のPM2.5(微小粒子状物質)が発生し、多数の市民は呼吸器系等の疾患を抱えているといわれる。
このような重度の大気汚染の緩和に向け、市政府は昨年、400社近くの製造業の企業を市外に移転させたほか、2020年の時点で人口を2300万人以内に抑え、中心部の人口を15%減らす目標を打ち出した。
「世界的にも、首都は『大都市病』という問題に直面している。ソウルや東京、パリなどは副都心の建設によって解決を図ってきた」と北京市政府の担当者は説明する。新宿を副都心と位置づけて都庁を移転した東京の例も念頭に、新たな街づくりによって人や車の流れを変え、問題解決につなげるのだという。
ここで首都機能移転の白羽の矢が立ったのが、大運河が走り、手つかずの自然も豊かで、緑地帯が多い通州区というわけだ。共産党政権は運河同様、北京中心部からの地下鉄や鉄道路線の開発を強力に進め、バスも頻繁に往来させるなど、通州は交通至便で完全なベッドタウンとなっている。このような地の利を生かして計画されたのが首都機能移転による通州副都心構想である。
1995年には約60万人だった通州の人口は昨年135万6000人と、この20年で2倍以上に増加した。
とはいえ、人口が急激に増えたのは、「首都機能移転のうわさが流れた数年前から」(地域住民)である。実際に首都機能移転が正式発表されたのは2015年7月の北京市党委員会の全体会議だった。
そして、北京市の党・政府機関などの行政機関や中央の党・政府機関の一部、および市内の主な大学や国有企業など、「通州区に首都機能を移転し副都心地区を形成する」と正式に発表された直後から地価が急騰した。
それまで1平方mあたり1万元(約20万円)だったものが、9月の段階で6万元(約120万円)と6倍も急上昇した。通州に詳しい北京の知人は「数年前の安い時にマンションを買っておけばよかった」と悔しがることしきりだった。
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