http://www.asyura2.com/15/china7/msg/412.html
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中国・上海で両親と歩く男児。一人っ子政策の廃止で「失独」問題の行方も注目されている(ロイター)
【真・人民日報】「一人っ子政策」が生んだ“失独”問題 重い社会保障費にさらなる重荷
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20151118/frn1511181140002-n1.htm
2015.11.18 夕刊フジ
「一人っ子政策」が中国の人口ピラミッドをゆがめた。その問題がいま、経済分野だけでなく、中国社会にも重くのしかかってきていることは、よく知られた事実だ。
この連載でも「一人っ子政策」の導入によって農村では女児が捨てられるという現象が広がり、中国全体で男女比に大きな差が生じてしまったといった問題を取り上げた。
今回は、この「一人っ子政策」のゆがみが社会保障の面でさらに大きな問題として共産党政権にのしかかるという視点で取り上げてみたい。
焦点を当てるのは「失独」という問題だ。
「失独」とは、一人息子や一人娘を事故や病気で失ってしまった両親を指して使われる言葉だ。
筆者がこの「失独」問題の大きさを初めて意識したのは2014年4月21日のこと。
この日、全国の「失独」父母ら約240人が上京し、国家衛生・計画育成委員会まで行進しながら自らの窮状を訴える動きを見せた。
目的は、すでに2年以上も前に同委員会に対して提出していた《「失独」父母に対する国家補償制度の徹底に関する申請》への回答を聞くことであった。
経済官庁出身で社会保障政策にも深く関わってきた国務院OBが語る。
「中国が進めてきた計画育成、つまり『一人っ子政策』により1人しか子供を持てなかった世代の親たちのなかで、その子供を失ってしまった人々がいま、老後の生活を考える時期に差し掛かり、にわかに不安を感じ始めています。当てになるかならないかは別にして、老後の面倒を見てくれる子供がいないという事実は、あまりに重いといわざるを得ないでしょう」
社会保障制度が未発達とされる中国社会において、子供は老後の生活を組み立てる上で最も頼りになる太い柱と考えられてきたのだから、「失独」夫婦が不安をかき立てられるのは当たり前のことだ。国にその不安の解消を求めるのもごく自然なことだろう。何といっても政策として生育を制限してきたのだから。
しかし、「失独」夫婦の求めに対する政府の回答は冷たいものだった。
「実は『失独』問題について、国衛計委からは2012年末に一度、回答が出されているのです。『41号文件』と呼ばれていますが、国衛計委など5つの省庁が連名で補償の充実を約束しています。具体的には、14年から女性が49歳に達した時点から、都市生活者は毎月340元(現在のレートで6500円)と270元(同5162円)。農村生活者は150元(同2868円)と170元(同3250円)を受け取れるというものです。もともと、彼らには一律135元(同2581円)が支給されていたことからすれば進歩ではありますが、これでは生活できません」(北京の夕刊紙記者)
国が彼らの補償に消極的なのは、それをやりはじめたら今後大きな負担になるとのおびえがあるからだろう。
15年10月14日付の「中国青年報」は、〈中国老齢事業発展報告2015〉の数字から、現状ですでに中国では、「失独」家庭が100万世帯に広がり、今後は毎年7万6000世帯ずつ増えていくと報じている。ただでさえ重い社会保障費にさらなる荷重がかかることは間違いない。
■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。
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