http://www.asyura2.com/15/china7/msg/107.html
Tweet |
FT紙が指摘する 中国のトウ小平以来の危機
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150919-00010000-wedge-cn
Wedge 9月19日(土)12時10分配信
英オックスフォード大学中国センターアソシエイトのジョージ・マグナスが、8月21日付フィナンシャル・タイムズ紙で、中国はトウ小平以来の移行の危機を迎えている、と述べています。
すなわち、8月は中国にとって大変動の時期となった。株式市場と人民元の動向、天津の恐るべき爆発事故は全体として、経済、政治面での中国モデルがゆっくり終焉していることを象徴している。
中国はトウ小平以来経験したことのないような移行の危機を迎えている。
共産党の権威を再確立し、非現実的な成長率を維持する一方で、賛否両論のある諸改革、財政自由化、経済の重点の移動を行おうとしているが、複雑でお互いに相容れない。
習近平は権力の集中に努めているが、改革を行うべき諸機関の権限を奪い、重要な改革の停滞を生んでいる。
それゆえに8月の出来事が問題なのである。
株式市場は資本の効率的配分の手段であるはずだが、政府は株価下落防止のため強引な介入を行い、しかも介入は効果を上げていない。
人民元の引き下げは、元の動きをより市場に合わせるためと説明されたが、当局は経済の軸足移動のための元高政策と、成長の鈍化に見合う元安政策の間を揺れている。中国政府の中心課題は雇用政策である。4%という公式の失業率はでっち上げである。投資と労働集約的建設業の現状、年700万人に上る大卒の就職難などから、失業率はILOの推定の6.3%より高いのみならず、さらに上昇していると考えられる。
本年の動きは、物事が計画通り進んでいないことを示唆している。権力の集中は改革にとって諸刃の刃であり、汚職撲滅運動はイニチアチブと成長を殺している。終わりなき景気刺激で非現実的な拡大路線を続けることは無理である。
より低い成長率を恒久的に受け入れる時が近づいている。中国指導者の正当性と改革の意欲が試されるであろう、と論じています。
出典:George Magnus,‘The Chinese model is nearing its end’(Financial Times, August 21, 2015)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/388bf2ca-475a-11e5-af2f-4d6e0e5eda22.html#axzz3jnKkdVY0
* * *
中国の経済、そして経済政策が大きな曲がり角に来ていることは確かのようです。習近平政権は、従来のように輸出と投資に頼る政策が行き詰っていることは十分認識しており、改革を実施し、消費主導の経済への転換を図ろうとしてきました。ところが、習近平の権力の集中と反汚職運動が、官民を委縮させ、改革の停滞を生んでいるといいます。そうであるとすれば、無理な投資により高成長を維持しようとの方針を放棄したとしても、改革は進みません。これは単なる経済的な移行の危機であるのみならず、政治が絡んだ危機です。習近平が権力の集中と反汚職運動を続けながら、いかに改革を推進するか、習近平に突き付けられた難題です。
中国がより低い成長率を受け入れざるを得ないというのはその通りでしょう。7%成長を維持するために無理で無駄な投資を続けることはできません。
しかし、より低い成長率はそれ自体大きな問題をはらんでいます。イデオロギーの求心力を失った中国共産党政権にとって、経済的福祉の増大が正当性のよりどころです。成長率が低下する中で、国民に生活が悪くなったとの実感を抱かせないようにする必要があります。これは、とりもなおさず、消費に軸足を移すということであり、成長率低下の環境の中では改革が一層必要となります。
もう一つの問題は失業率との関係です。かつて7%成長の必要な理由として雇用の確保が挙げられていました。成長率が低下する中で、いかに失業率の低下を防ぐかが大きな課題です。論説が指摘するように、中国の実際の失業率が公式の4%よりはるかに高いとすれば一層然りです。
中国経済は従来の発展モデルがもはや有効でなく、新たな発展モデルを模索しています。まさに移行期にあります。それと同時に、その移行には難問山積で、移行の危機です。習近平政権がこの危機を乗り越えられるか、その意味で危機は経済的危機にとどまらず、政治的危機でもあるのです。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。