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中国人民政治協商会議の閉幕式に出席した令計画氏(左下)と習近平国家主席=2014年3月(共同)
習政権が抱える大きな時限爆弾 中国版スノーデン事件
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150823/frn1508230830001-n1.htm
2015.08.23 大前研一のニュース時評
11日の日経新聞に「習氏、江氏ら排除加速、メディア使い長老批判」という記事が掲載された。人民日報や新華社傘下の週刊誌「財経国家」が、「引退幹部は政権運営に干渉すべきでない」という論調をそろって展開したという内容だ。
特に10日の人民日報は、中国の格言「人走茶涼」(人が去ればお茶は冷める=地位を去ると周囲の者もいなくなる、という意味)の言葉で強く主張していた。習近平国家主席の陣営が国営メディアを使って長老批判を始めたのは、2年後の共産党大会で習体制を盤石なものにするためだろう。
習氏は本気で江沢民元主席や胡錦濤前主席グループ潰しに取り組んでいる。これは自分が引退した後に同じ目に遭わないための布石だ。だから、反発も非常に強い。一連の排除を早く終わらせないと、江沢民一派、胡錦濤一派の不満も爆発する。「終わり」が見えないと、皆、まともに仕事に取り組めない。どこかで線引きをする必要があると思う。
腐敗官僚の撲滅をうたって推進した習指導部の反腐敗運動は、予想よりも深く江利権や胡利権に食い込んだと思う。しかし、ここから先は、そう簡単にはいかないだろう。その一端として出てきたのが「中国版スノーデン事件」だ。
産経新聞は10日、「中国版スノーデンの影」という記事を掲載した。昨年12月に失脚した中国共産党の大物政治家・令計画氏の弟で、元新華社通信記者の令完成氏が、米国に亡命していることが明らかになり、大きな波紋を広げているという。
波紋の理由は、完成氏が共産党の機密資料約2700点を持ち出したとされているからだ。それが、米中央情報局(CIA)のスノーデン元職員による機密暴露事件と似た展開をしそうだからだ。
胡前主席の最側近として知られる令計画氏は、共産党の機密情報を管理し、「もしもの事態」に備えて、その情報を弟に託したといわれる。資料の大部分は党幹部の海外での不正蓄財に関する情報。完成氏は今後、拘束された兄たちの身柄をめぐって、この資料を材料に交渉するのではないか。
中国政府は当然、完成氏の身柄の引き渡しを求めているが、米国側は態度を留保している。米国は機密資料を全部読んだうえで引き渡したいところだが、そうすると完成氏が死刑にされるのは確実だ。にわかに返すわけにはいかない。少なくとも、米国はこの機密情報をすべて握り、中国との交渉に使う気だろう。
スノーデン事件といえば機密情報告発サイト「ウィキリークス」が7月末、米国家安全保障局(NSA)が日本の重要情報を盗聴していたと報じた。第1次安倍政権の2006年9月から最近まで、首相官邸や日本銀行、大手企業など35カ所を標的に盗聴を行っていたという。
メルケル首相の電話が盗聴されて烈火のごとく怒ったドイツと違い、日本側は腰が引けて、ほとんど文句も言わないでいた。すると、米国のほうから「申し訳なかった」と言ってきた。米国は文句を言うと構えるが、何も言わないと「すみませんでした」と言ってくる。面白い性格だ。
スノーデン事件はいまだに尾を引いている。ニューヨーク・タイムズが報じた温家宝一族による海外蓄財記事のように米国メディアは中国版スノーデン資料を何年にも渡って暴露するだろう。完成氏の持ち出した機密資料は、習政権にとって大きな爆弾になったといえる。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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