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北京の人民大会堂で自民党の二階俊博総務会長(左)と握手する中国の習近平国家主席 =5月23日(共同)
【石平のChina Watch】日本叩きを長期的な国策とした習政権 狙いは日米離間と反日国づくり
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150713/plt1507131841003-n1.htm
2015.07.13 夕刊フジ
5月23日、中国の習近平国家主席は、日本の国会議員や民間人との「友好交流大会」に突如、姿を現して演説を行った。
演説の前半で習主席は穏やかな笑顔を浮かべながら「日中関係の発展重視」を語ったが、後半では一転、厳しい面持ちで、日本との「歴史問題」を持ち出し、「歴史の歪曲(わいきょく)は絶対許せない」と口調を強めた。
本来は「友好」を語り合うはずの交流会で、「歴史の歪曲」とは無関係の日本の一般市民も参加する会で、このような厳しい言葉を浴びせる必要が一体どこにあるのか。
だが、よくよく考えてみればこれは実に簡単な話だ。「歴史問題」を材料に日本をたたくのは既に、習近平政権の長期的な国策と化しているからである。
たとえば昨年、習政権の下で中国政府は一気に3つの国家的記念日を制定した。
中国側の言い分によれば、抗日戦争が勃発した記念日(7月7日)、抗日戦争に勝利した記念日(9月3日)、そして、南京大虐殺の犠牲者を追悼する日(12月13日)の3つであり、いずれも日本との過去の戦争にまつわる記念日である。
そして、昨年1年間、この3つの国家的記念日に、中国政府はいずれも大規模な記念行事を催し、日本批判の気勢を上げた。
問題なのは今後、それらの記念行事が恒例化されることである。つまり今年も来年も再来年も、毎年3つの記念日になると、日本が「歴史問題」で、たたかれるような光景が、中国で必ず見られるのである。
それは、もはや日本側が謝罪するかどうかの問題ではない。たとえば日本が再度「謝罪」したとしても、中国は上述の国家的記念日を取り消すようなことは絶対しない。この3つの国家的記念日を制定した時点で、習政権は既に、「歴史問題」を使って日本を未来永劫(えいごう)たたいていくことを決めているはずである。
このような国策の制定は当然、習政権が進めるアジア戦略全体と無関係ではない。
今、アジアにおいて「新中華秩序」を作り上げ、中国のアジア支配を完遂させることは習政権の既定方針となっている。中国としては、この戦略的目標を実現させていくために、邪魔となる2つの「障害」をまず取り除かなければならない。
「障害」の1つは日米同盟である。日米同盟が強固である限り、中国のアジア支配は完遂できない。「障害」のもう1つは、支配されることを嫌がるアジア諸国の反抗である。過去2年間、中国がベトナムやフィリピンなどのアジア諸国の反抗に手を焼いていることは周知の事実だ。
そこで出てくるのが日本の「歴史問題」だ。
つまり、中国からすれば、先の大戦での日本の「歴史問題」を持ち出して、「日本がいまだに戦争の責任を反省していない」と強調することによって、かつては日本と戦ったアメリカの日本に対する不信感を増幅させることができる。
そして、「日本は昔アジアを侵略した」と強調することによって、中国自身がアジアで推進している侵略的拡張を覆い隠し、中国という現実の脅威からアジア諸国の目をそらすこともできる。その結果、日米同盟に不要な亀裂が入り、アジア諸国の一部が中国の宣伝に共鳴して「反中」から「反日」へと傾けば、それこそが中国の期待通りの展開となるのではないか。
従って、今後の長期間においては、アジアと世界範囲において中国の展開する「反日宣伝戦」がやむことはもはやない。
日本も「長期戦」のつもりで、中国の国策に、きちんと対処していかなければならないのである。
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【プロフィル】石平
せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
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