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コラム:中国、「改革」という名の混乱回避
2015年 05月 19日 13:25 JST
John Foley
[北京 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の政策当局者はよく改革を口にするが、彼らを本当に突き動かしているのは混乱への恐怖だ。地方政府の債務増大に対する姿勢は、リスク回避が先に立っていることを示す好例といえる。この戦略は不完全だが、正しくもある。
国務院(内閣に相当)は15日、銀行に対し、省政府関連の借り手について「むやみな貸出資金の引き揚げや圧力、貸し出し中止」を控えるよう指導した。こうした借り手の債務は総額16兆元(2兆6000億ドル)に上ると推計されている。発表によると、彼らが返済に応じられなくなれば銀行が貸し出しを延長することが可能で、建設が続いているのに資金は枯渇した場合、地方政府が直接資金を融通できる。これにより、以前からの暗黙の了解が明示的になった。つまり中国の銀行システムの公表ベースの不良債権額が不審なほど少ないのは、銀行業界が疑わしい債務を強制的にロールオーバーしているからだ。3月末時点の不良債権比率はわずか1.4%だった。
今なお発展途上にある市場に対し、ある程度の慈悲を示すことは完全に間違ってはいない。デフォルト(債務不履行)が制御不能になれば、信頼感と実体経済が痛手を被る。真に有用なプロジェクトの資金調達がかなわなくなり、市民がボロ家住まいを余儀なくされるかもしれない。より大きな課題は、公的な支援に値するプロジェクトとそうでないプロジェクトを切り分けることかもしれない。江蘇省と新疆ウイグル自治区は間もなく、安全性の高い政府保証債権を債券に転換する措置に初めて踏み切る。しばらくデフォルトが回避されるようなら、この試みが成功する可能性は高まる。
市場ベースの債務再編は、理論上は有益だ。しかし実情は混乱に満ち、資産や権利についての思慮深い分析と同じくらい、値引きや脅しも幅を利かせる。不動産大手、佳兆業集団は既存ローン債権の返済を5年間先送りする計画をめぐり、債権者との押し問答を繰り広げている。海外債権者にはほとんど権利がないが、目に見えない存在感は大きい。佳兆業集団に似た状況は中国全土で見られるが、法制度が生まれて間もないことを考えると、気が遠くなりそうだ。
政府が支援するプロジェクトとそうでないプロジェクトの線引きが明確になれば、他の借り手も市場の力に任すことが可能になる。政府が今回示した寛大な措置が、そうした大規模な計画の一環であることを期待したい。しかし進展が遅れるようなら、より危険な種類の信頼感の危機が浮上するだろう。政府は結局のところ計画を持たないという確信だ。
●背景となるニュース
*中国政府は15日、銀行に対し、地方政府の間接的な資金調達を支えてきた金融プラットフォームからむやみに融資を引き揚げるのを控えるよう通告した。こうした資金調達は推計16兆元(2兆6000億ドル)に上る。
*国務院と中国人民銀行、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)(CBRC)は共同声明で、建設プロジェクトの「秩序ある推進」を確かなものにする必要があると指摘。銀行は、2014年末以前にローン契約に調印し、まだ返済期限を迎えていない借り手に対して「むやみな貸出資金の引き揚げや、圧力、貸し出し中止」を控えなければならないとした。
*声明によると、銀行は元利金の返済不能に陥ったプロジェクトへの貸し出しについて、適切な担保を取り、貸出額が増えないという原則に則った上で、延長に応じることができる。
*建設を完了できるだけの資金が不足し、官民共同モデルへの転換にも適さない案件については、地方政府が直接的に支援することができる。
*国務院の声明は以下のアドレスをクリックしてご覧ください。
bit.ly/1JS9iDC
http://www.gov.cn/zhengce/content/2015-05/15/content_9760.htm
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0O408D20150519
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