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北朝鮮と韓国はコインの裏表 YONHAP NEWS/AFLO
韓国が抱く核保有で大国願望 北朝鮮と本質的に同じ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160221-00000005-pseven-kr
SAPIO2016年3月号
年初に実行された北朝鮮の核実験後、朝鮮半島の緊張が高まっている。そして2月7日には長距離弾道ミサイルの発射を行った。核の脅威には、核で対抗とばかりに、韓国内でも核保有の是非を問う声が飛び交うなか、遂に朴槿恵大統領までが「核武装論」を口にした。その背景に何があるのか、ジャーナリスト、岸健一氏がレポートする。
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1月6日に北朝鮮が「水爆実験」を発表し、4回目となる核実験に国際社会は強い非難を浴びせている。
その1週間後、朴槿恵大統領は、一年に一度しかない年頭記者会見でこう発言した。 「韓国も戦術核を持つべきではないかという主張については、十分に理解できる」
2013年に韓国ギャラップ社が行った世論調査では、64%が「韓国の核保有」に賛成した。こうした世論は、日本人には理解しづらいだろう。
そもそも、韓国で核武装論が唱えられたのは最近のことではない。韓国世論が核武装に対して抵抗感が薄い背景には、核兵器を持つことによって国際社会での発言力を増し「先進国」と肩を並べたいという願望がにじんでいる。
1980年代後半まで続いた軍事独裁政権下でも、保守派を中心に核武装の論陣は張られ続けてきた。また、朴正煕政権だった1970年代後半にも、米国のカーター政権に在韓米軍撤退の動きがあったことなどを背景に、核兵器を独自開発する計画があり、米国の強い圧力で中止したとされている。
だが、果たしてこの時、韓国が核開発に乗り出す必要があったのだろうか?
確かに、在韓米軍が撤退すれば、北朝鮮と対峙する韓国にとって安全保障上の脅威が高まる。しかし、この時点で北朝鮮に核開発の能力があったとは思えず、実際にその兆候は全くなかった。
軍事的な懸念も通常兵器の増強で十分対応できたはずで、核開発に手を染めれば国際社会、とりわけ米国からの強い反発を招くのは明らかだった。それを承知の上での核開発は、急激な経済成長を推し進めていた朴正煕大統領にとって、核兵器が軍事力以上に、ナショナリズムと自尊心を刺激する「ツール」だったからにほかならない。
こうした意識はその後も引き継がれ、民主化に移行したあとも消えることはなかった。1980年代前半には研究用実験炉でミリグラム単位のプルトニウムを抽出し、2000年には少量のウラン濃縮実験を行っている。
いずれも核兵器開発につながり得る研究だが、これらは国際原子力機関(IAEA)に未申告で行われ、国際社会からの不信を買った。
韓国政界では、幾度も大統領候補に名前が浮上している鄭夢準氏(元FIFA副会長)が「北朝鮮の核開発を阻止できる唯一の方法は核兵器だけだ」と主張するなど、核武装論者は決して特異な存在ではない。
北朝鮮への対抗を理由にしつつも、根っこの部分では、米国の「核の傘」から抜け出し、核兵器を持つことで誰からの干渉を受けることなく防衛力を強化し、アジアでの発言力を高めたいという、韓国民としての強い願望がある。
もう、おわかりだろう。韓国が抱くこの願望は、核兵器を持つことで「大国」になろうとしている北朝鮮と、本質的にまったく同じなのだ。
北朝鮮は、核武装をちらつかせて「核保有国」の仲間入りを果たし、米国をはじめ国際社会に認めてもらいたくて仕方がない。対する韓国も、ここぞとばかりに核武装論をぶち上げて、我らこそが「先進国だ」と必死にアピールする。互いを国家として認めず、いがみ合っている韓国と北朝鮮も、核武装論というキーワードを通して見るとコインの表裏であることがわかる。
共通しているのは、いずれの核武装論も、北東アジアや国際社会の安定といったことなど、全く考えていないということだ。
朝鮮半島を貫く核保有への「イデア」は、他国からの侵略を受け続けてきたという被害者意識のDNAとからみ、媚薬のように人々を惑わす。「気がつけば、北朝鮮の核問題を巡る6か国協議の参加国で、核保有国でないのは日本だけだった」ということが、悪い冗談で済ませられなくなる日がこないとも限らないのだ。
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