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台湾総統選で、中国への過度の依存に慎重な民進党・蔡英文主席の勝利が確実になった。中台の交流はやや停滞する可能性があるが、台湾海峡が緊張した2000〜08年の陳水扁・民進党政権の時代に逆戻りすることはないとみられる。写真は蔡英文主席。
<台湾総統選>「台湾アイデンティティー」、馬政権の対中急接近を警戒―融和路線は継続、経済交流も拡大へ―野党民進党・蔡主席当選確実
http://www.recordchina.co.jp/a127182.html
2016年1月16日(土) 22時2分
2016年1月16日、台湾の総統選挙が投開票され、与党国民党の朱立倫主席が「敗北宣言」し、最大野党、民進党の蔡英文主席の当選が確実となった。政権交代は8年ぶりで、初の女性総統が誕生する。蔡氏の総統就任は5月20日。
蔡氏勝利の要因として、(1)現在の馬英九政権が経済政策で「成長率6%以上、失業率3%以下」などの公約を達成できず、住民の生活を著しく向上させられなかった、(2)自らを「台湾人」と考える人々が中国への過度の依存を恐れた、(3)14年のヒマワリ運動による政治意識の変化―などが挙げられる。
中国への過度の依存に慎重な民進党が政権を奪取したことから、中台の交流はやや停滞する可能性がある。ただ、台湾海峡が緊張した2000〜08年の陳水扁・民進党政権の時代に逆戻りすることはないとみられる。米国が「台湾独立」をけん制していることもあって、「民進党が勝っても、独立に向かうことはない。むしろ大陸に接近していく可能性も考えられる」との声も多い。蔡氏も「現状維持」を掲げ、馬政権の対中融和路線を引き継いで現実的な対応をしていく考えを示している。
経済的に大陸に大きく依存している点もその背景となっている。15年1〜9月の台湾と中国(香港・マカオ含まず)の貿易総額は866億ドルで、台湾にとって中国は最大の貿易相手国だ。米フォーブス誌によると、輸出に占める対中依存度が高い国・地域は、オーストラリア(34%)、台湾(26%)、韓国(25%)、チリ(23%)、日本(19%)の順。同時期に、中国から台湾を訪問した観光客は311万人で、外国人旅行者の41%を占めている。
蔡氏はかつて民進党政権を率いた陳氏に比べ理性的と見られている。新年早々テレビ討論会に出席した蔡氏は最大の争点である中台関係について、「リスク管理の思考を持ちつつ、両岸(中台)の経済貿易の交流を続けたい」と語った。
蔡氏は昨年6月、米戦略国際問題研究所(CCIS)の講演で 「多くのアジアの国々がいまだ独裁主義に苦しむなか、台湾にいる私たちは民主主義を大変誇りに思うと同時に、これまで勝ち取ってきた社会的・政治的な権利と個人の自由を大事に持ち続けるつもりだ」と強調。その上で、「中国と建設的な対話を推進する一方、そのプロセスは民主的で透明なものであると確約する。経済的恩恵は公平に共有される」と述べている。(八牧浩行)
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