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記事入力 : 2016/01/06 09:38
【コラム】日本への怒りが国内に逆流、われわれ韓国人は愚かなのか
慰安婦問題25年、外部に噴出していた憎悪がとうとう内部に逆流
励ましといたわりは消え「日本に魂を売った」という激しい非難が始まった
韓国政府の従軍慰安婦問題妥結について、野党代表は「政府は10億円で韓国人の魂を売ってしまった」と言った。彼は本当に「韓国人の魂が日本に売られた」と思っているのだろうか。いや、そうではないだろう。私は野党代表と同じように、今回の妥結内容に同意していない。しかし、尊重はする。何よりも、元慰安婦のためにしてきた韓国人の長年の奮闘が、韓国社会の分裂と反目で締めくくられるのが悲しいからだ。
慰安婦問題が争点に浮上して25年になる。元慰安婦の金学順(キム・ハクスン)さんの歴史的証言が飛び出したのは1991年のことだ。慰安婦問題の解決策を探る過程は、部分と全体を同時に見なければ虚像に執着することになる。92年、日本の首相が初めて謝罪し、93年には日本政府が慰安婦動員の強制性を認めて正式謝罪した河野談話が発表された。盧泰愚(ノ・テウ)政権と金泳三(キム・ヨンサム)政権の成果だった。日本が元慰安婦に謝罪していないと思っている人に、私は河野談話をよく読むよう勧めている。慰安婦問題解決の2つの軸を謝罪と賠償とするなら、そのうち1つは解けたとして前進すべきだった。
この談話以降、韓日慰安婦協議は十数年を経て、李明博(イ・ミョンバク)政権・朴槿恵(パク・クンヘ)政権で再開された。金大中(キム・デジュン)政権と盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は慰安婦問題を外交の争点にしなかった。1998年、「訪日時に慰安婦問題を首脳会談で取り上げてほしい」と元慰安婦たちが要求したが、金大中大統領はこれを受け入れなかった。これについて、与党は今、「あなた方(現野党)は何をしていたのか」と非難する。不当な非難だ。慰安婦問題よりも重要な時代的課題があったからだ。政治とは、その時代の最大の価値を選別して進めていくものだろう。
しかし、慰安婦問題をめぐる次の政権の苦しみは、当時の空白に起因していることも認めなければならない。野党代表はおととい、慰安婦問題に対する盧武鉉政権の業績をアピールした。政府委員会が2005年、「元慰安婦の賠償権は生きている」と確認したことを指している。李明博政権・朴槿恵政権に慰安婦協議の義務を課した11年の憲法裁判所の「不作為違憲決定」は、これを根拠に下された。「政府が被害者賠償のため努力すべき義務を放棄したのは違憲なので実践せよ」というものだ。恥を知るべきだ。決定は11年に下されたが、元慰安婦の違憲訴訟は06年の盧武鉉政権時に起こされている。口先だけで賠償権うんぬんしていて、「不作為」決定を下されたのは野党自身なのだ。
野党は政権をあからさまに非難する前に、1998年に金大中大統領が妥結した韓日漁業協定も思い起こさなければならない。独島(日本名:竹島)沖の中間水域設定に合意したという理由で、「政府は日本の経済協力資金で独島を売ってしまった」と激しく批判された。この批判が不当だと思うなら、「10億円で魂を売ってしまった」という言葉を現政権に浴びせてはならない。現与党も、野党だった当時を思い出して謙虚にならなければならない。当時、「国を売った」と叫んでどれだけ政権を追い込んだことか。お互いかみ付き合っているのだから、そうした言葉通りなら、この国の政界は今「売国奴」だらけということになる。
現政権は歴史を重視しているように見えるが、実は歴史の「思惟(しい=思考)」がないようだ。慰安婦問題解決のもう一つの軸・賠償は、謝罪よりもはるかに難しい問題だ。しかし、難しいからと言ってあきらめることはない。慰安婦賠償要求を元慰安婦たちの片意地程度に考えている人もいるが、そうではない。91年の元慰安婦の証言が大きな反響を呼んだのは偶然ではない。ルワンダやユーゴスラビアの内戦を経て、戦時の女性の性搾取問題が、1990年代の人権運動のテーマとして浮上していたためだ。その後、「慰安婦賠償」は被害者たちと人権活動家たちにより理念として固まった。だが、政府はこうした人々を尊重しなかった。だから、彼らも政府を尊重しない。
ただ、忘れないでいてほしい。慰安婦問題が妥結した日に88歳の元慰安婦女性は言った。 「政府が苦労し、法というものがあるのだから、政府がする通りに従います」。この声は、その後の妥結内容に対する激しい反発の中に埋もれていった。政府の言う通りにしろと言う話ではない。彼らの怒りは十分に理解できる。しかし、元慰安婦たちの言葉通り、「政府が努力した」という事実だけは認めなければならない。
私たちはこれまで、あまりにも多くの憎悪を募らせてきた。相手を理解しようとせず、日本の政治家の一言や、三流メディアの記事の一言に「あら」を探し、怒り、興奮した。怒りを支えに25年間を過ごした今、周囲を見回してみると、韓国のことを理解してくれていた応援団たちは離れていき、内輪もめしている韓国人だけが残っていた。励ましといたわりは消え、怒りだけが逆流している。韓国人の長い長い25年間の奮闘を、このように愚かな形で締めくくるわけにはいかない。
鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/06/2016010601082.html?ent_rank_news
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