1. 2015年11月24日 04:03:16
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貧乏老大国が目前の中国、夢も希望も捨てた韓国 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45324 アジアの少子高齢化(3)〜国家消滅の危機にも2015.11.24(火) 末永 恵 中国、二人っ子推進で新生児年300万人増の見通し 中国・北京市内の病院で、ベッドに横たわる赤ちゃん〔AFPBB News〕 日本以上の猛スピードで進み始めたアジアの少子高齢化。前々回は政府があの手この手で対策を打ちながらも一向に成果の見えないシンガポール、前回は日本との関わりが非常に深いタイのケースを取り上げた。 今回は、お隣の国、韓国と中国の実情を見てみよう。アジアの中でも日本以上に少子高齢化が加速・大問題化しており、とりわけ韓国はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で2002年 (1.17人)から13年間、出生率最下位という汚名記録を更新中だ。 昨年の合計特殊出生率は「1.21人」で、日本の1.43をはるかに下回り、前年よりは0.02人増加したものの、「国連人口基金(UNFPA)における世界人口現況報告書」によると、韓国の2010〜2015年の推計年間平均出生率は1.3人で、世界で3番目に低かった。 さらに、高齢化率は11.8%(2012年)で、日本の約24%に比べるとまだ低いが、高齢化社会(人口比率で65歳以上が7%以上)から高齢社会(同14%以上)へ移行する年数(倍化年数)スピードが異常に速い。 世界屈指の超高齢社会が目前 2025年には20%、2037 年には30%、さらに2050年には約37%までに急上昇すると予測されており、日本を超える世界屈指の「超少子高齢社会」になることはほぼ確実だ。 OECDによると、2050年までに韓国の65歳以上の高齢者人口は、15歳から64歳の人口を4分の3上回ると分析。さらには、高齢者の約半数が国民平均所得の半分以下で生活を強いられているというから、タイと同様、「貧困高齢者」の問題も深刻だ。 仏教社会のタイと同じく、儒教社会の韓国でも、親の世話をするのが子供の務めとされる伝統が崩壊し、高齢者の自殺も同じく急増しているという。 英オックスフォード大学のデビッド・コールマン教授が「韓国は世界で初めて、少子化で消滅する国となるだろう」と発表しただけでなく、韓国の国会立法調査処も2014年、少子化が改善しない場合「2750年に、韓国は消滅する」という見解を明らかにしている。 こうした状況に韓国政府は「低出産高齢社会基本法」(2005年)を制定し、日本の少子化対策を参考に、低所得層への保育費補助、育休制度活性化、短時間勤務制度導入、保育所拡充などといった少子化対策を試みた。 しかし、これと言った効果がなく、最近は独自に新手の政策も実施し始めた。 1つは、無償保育の実施だ。2013年から子育て費用削減を目的に、0歳から5歳児を対象に保育施設を無料化した。当初は低所得層対象だったが、日本と同様、子供の数が少ないのは中所得者層で効果を疑問視する声が上がり、すべての子供を無償保育の対象に広げた。 その結果、働くお母さんが増え、女性の労働力拡大にはつながったものの、需要に供給が追いつかないうえに保育の質の悪さが大きな社会問題になっている。 さらに韓国政府が支援を拡大したのが国際結婚夫婦への補助策。 「多文化家庭支援法」を制定し、外国人配偶者には無料で韓国語教育に就業支援などを、また子供には、放課後の特別教育プログラムや相談事業などを実施するほか、韓国企業も奨学金支給、バイリンガル教育なども並行して行っている。 外国からお嫁さんいらっしゃい これらは主に「嫁不足」の対策と言える。韓国人と結婚した、中国、フィリピン、ベトナム出身の配偶者やその間に生まれた子供たちを国の公的支援や企業の社会貢献支援対象として進めている。 さらには、高度な技能を持つ外国人や韓国系外国人を対象に、二重国籍を認める国籍法の改正も実施。また生産年齢人口減少に伴い、朝鮮族などの韓国系外国人の就業を優遇する訪問就業制も導入した。 サービス業、製造業、建設業など労働人口が減少している業種に、外国人労働者や朝鮮族など韓国系外国人が就労しやすくなった。 しかし、こうした政策も、あまりにも猛スピードで進む少子高齢化を食い止めるほどの効果は期待できない。出生率の低下の主な原因は、経済発展に伴う女性の高学歴化と社会進出で、晩婚化と未婚化が進んでいるためだ。 2014年の初婚年齢平均は、男性が32歳、女性が29歳で、日本以上のペースで晩婚化が進み始めている。さらに、「結婚しない男女」も急増中だ。 急速な社会の変化で、結婚に対する価値観も大きく変わった結果、特に家事や育児などの負担で仕事と家庭の両立ができなくなるだろう、と結婚する前から「非婚」を決めている女性が急増している。 また、経済低迷に伴う就職難も非婚化に拍車をかけている。学生の間では、卒業後も就職試験の勉強を続け、就活する若者が増え続けている。 加えて儒教社会の韓国では、結婚は「家同士の結婚」とも解釈され、結婚式から、新居、親族との関係など、結婚することは精神的だけでなく、経済的にも負担の大きい人生の選択と捉えられている。 そんな社会構造事情を憂いで、「恋愛」「結婚」「子供を持つ」、この3つを放棄した20代の若者を揶揄して「三抛(放棄)世代」という言葉が最近流行したことがある。しかし、その流行語もすでに過去の遺物になりつつあるという。 放棄するものがこの3つだけでは足りず、これに家を持つことを諦め、人間関係も諦めるという「5抛世代」へ“進化”しているというのである。 夢や希望まで捨てた韓国の若者 さらには最近は希望や夢までギブアップする「7抛世代」が主流とも言われようになった。人生のすべてを諦めることを強いられた「n抛(エヌポ)世代」という言葉まで流行しているというから、韓国の少子高齢化の深刻度は相当なものと言えるだろう。 100年前の儒教と家長制度の時代では、韓国人女性の家庭人としての使命は、子孫繁栄を実現させるため、多くの「男の子」を生むことだった。 しかし、韓国女性がいま求めているのは、男性と同等の雇用機会や価値観であり、政策でそれを押しとどめようとしても不可能に近い。韓国の少子高齢化対策はお手上げ状況と言っていいかもしれない。 次は世界最大の人口を誇る中国を見てみよう。 世界経済を牽引してきた中国が人口ボーナス期から人口オーナス期に入ったことは、昨今の経済不振にも色濃く反映されている。 先頃廃止を決めたものの「一人っ子政策」を長年続けてきた影響で、2015年を境に生産年齢人口(中国の場合、14歳から59歳)は減少し始め、オーナス期に入ったと見込まれる。 これまで中国の高成長を後押ししたのは、まぎれもなく人口ボーナスだった。しかし、同時に高齢化が急速に進行しているため、65歳以上の高齢者はすでに全体の約9%(中国当局)に達している。 この数字はその他の発展途上国の人口構造と比較すると分かりやすい。中国を除くその他の発展途上国では、65歳以上の人口比率は約5%。中国はこれらの国々に比べ約2倍の高齢化率となっているわけだ。 しかも、この比率は2035年には約20%にまで膨らむとされる。中国の少子高齢化も韓国に負けず劣らず猛スピードなのである。 そして中国の高齢化問題は、韓国と違って「単なる高齢化」ではすまない。 豊かになる前に高齢化 先進国の仲間入りを果たしている韓国と異なり、中国の場合には国民が豊かになる前に高齢化社会に突入する危険性が極めて高いのだ。中国ではこれを「未富先老」と呼んでいる。 中国の計画生育委員会は合計特殊出生率を長らく1.8と発表してきたが、2010年の国勢調査では、1.18にまで低下していることが判明している。 一人っ子政策を放棄してもこの数字が簡単には改善しないとみられ、中国の出生率は極端に低迷を続けることは間違いない。それはつまり、生産年齢人口から見た経済発展の可能性が他の発展途上国より低いことを意味する。 日本企業などは賃金が高くなった中国から東南アジアやその他の発展途上国に生産を移転する動きが加速しているが、人口動態から見てもその動向は強まると考えられる。 「未富先老」は中国に突きつけられた大問題なのだ。 高齢化は国内貯蓄の低迷を招き潜在成長率を引き下げる。さらには年金や医療費負担の増加という日本が直面している問題が、経済が十分発展する前に訪れる。 国連などでの調べでは、2020年代の潜在成長率は、シンガポールとタイが約2%、中国でも約4%にまで低迷し、その後は1%までに減少するとの見方もある。 2020年まであと5年しかない。経済成長の止まった老大国の姿はもう目の前にある。 少子化対策ではフランスやスウェーデンが成功事例とされるが、その背景には事実婚を認め、婚外子の手当てを厚くすることを認めた社会の意識改革がある。 親子の同居率が高く、家系を重視する「直系家族系」のアジアにその価値観を組み込むのは簡単ではない。その場合、果たしてアジア的で効果的な政策が打ち出せるのか、中国をはじめとするアジアの国々に実は時間の猶予はない。 有効な対策を打てずに出生率が1.1から1.3前後という水準を続ければ、国家が消滅する危機に直面しかねないのだ。 |