金泳三・元韓国大統領

金泳三・韓国元大統領が死去　軍事色を排除、民主化推進
http://www.asahi.com/articles/ASHCQ0BZ4HCPUHBI020.html
2015年11月22日01時15分　朝日新聞

　軍事独裁下の韓国で民主化運動を率い、１９９２年に大統領に当選して「文民政権」を復活させた金泳三（キム・ヨンサム）さんが２２日未明、ソウル大病院で死去した。８７歳だった。金大中（キムデジュン）氏（元大統領）らとともに野党指導者として民主化の進展に貢献した一方、かつての「政敵」とも手を組んで与党側に転じ、政権をつかんだ。在任中は軍人色の一掃と不正追放に力を入れたが、末期には通貨危機に苦しんだ。

　１９２７年、韓国南部の巨済島生まれ。ソウル大卒業後、首相秘書官などを経て、５４年、史上最年少の２６歳で国会議員に当選。６１年の朴正熙（パクチョンヒ）少将（当時、後に大統領）による軍事クーデター後、金大中氏らとともに民主化運動の先頭に立った。

　７４年に野党新民党総裁に就任。７９年の朴大統領暗殺後の軍事クーデターで実権を握った全斗煥（チョンドゥファン）政権からも弾圧を受け、８３年には政治活動の自由を求めて２３日間のハンスト闘争を繰り広げた。

　９２年末の大統領選でライバル金大中氏を破って当選。９３年２月、軍人出身者に代わる文民政権を誕生させた。

　在任中は軍部を陰で支配していた内部の私設組織「ハナ会」を解散させて軍勢力の排除を進めた。政権末期には外貨流出と対外債務急増、企業の大型倒産が続き、アジア通貨・金融危機の波にのまれて、国際通貨基金（ＩＭＦ）の支援を受けた。９４年７月に北朝鮮の金日成（キムイルソン）国家主席と初の南北首脳会談を開くことで合意したが、直前に金主席が死亡したため実現しなかった。

　日本語が堪能で日本人脈も厚かったが、在任中は歴史認識や領土問題で日本を容赦なく批判し、日韓関係は一時悪化した。（牧野愛博）

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