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対立から対話へ 朝鮮半島 南北関係の行方[NHK]
8月27日 18時50分
安永和史記者,長砂貴英記者
北朝鮮が「準戦時状態」を宣言し、韓国軍が警戒を最高レベルに引き上げるなど、一気に緊張が高まった朝鮮半島情勢。南北は4日間にわたる話し合いの末、一転して「準戦時状態」の解除などで合意に達しました。
南北双方の思惑はどこにあったのか、また、朝鮮半島情勢は今後、どう展開するのか。安永和史記者(ソウル支局)と長砂貴英記者(中国総局、北朝鮮取材担当)が解説します。
地雷爆発で緊張高まる
8月4日、ソウルの北西、キョンギ(京畿)道パジュ(坡州)の非武装地帯で地雷3発が爆発し、韓国軍兵士2人が大けがをしました。韓国国防省は、現場に残された破片などから、地雷は北朝鮮製で、北朝鮮軍が軍事境界線を越えて韓国側に侵入し埋めたものだと断定。報復として、韓国軍は、大音量のスピーカーを使って北朝鮮の体制を批判したり、民主主義制度の優位性をアピールしたりする宣伝放送を11年ぶりに再開しました。
これに対して北朝鮮は、「われわれが地雷を埋めたなどとはとんでもない詭弁(きべん)だ」などと一切の関与を否定。20日には韓国軍の前線部隊に向けて砲撃を行い、韓国軍も反撃して砲弾を20発余りを北朝鮮側に撃ち込みました。
同日、北朝鮮は朝鮮労働党中央軍事委員会の緊急会議を開催し、キム・ジョンウン(金正恩)第1書記も出席しました。そして、前線地帯に、いつでも戦闘が可能な警戒態勢である「準戦時状態」を出す命令を下したうえで、22日夕方までの48時間以内に宣伝放送をやめなければ、軍事的行動を開始すると通告したのです。韓国では一気に緊張が高まりました。軍事境界線から南に僅か7キロほどしか離れていない避難所を取材したところ、住民の多くが、「これほど緊張が高まったことは記憶がない」と話していました。
一転して南北高位級会談へ
北朝鮮が設定した期限が迫る直前になって、一転、南北は高位級会談の開催で合意します。軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)で開かれた会談には、韓国側からキム・グァンジン(金寛鎮)国家安保室長とホン・ヨンピョ(洪容杓)統一相が、北朝鮮側からファン・ビョンソ軍総政治局長とキム・ヤンゴン統一戦線部長が、それぞれ出席しました。北朝鮮側2人は、いずれもキム・ジョンウン第1書記の信頼の厚い側近です。双方の政権のキーパーソンといえる高官4人が顔をそろえたのです。
会談の開催を伝えた北朝鮮の国営メディアは、韓国の呼称について、いつもの「南朝鮮」ではなく、「大韓民国」という正式の国号を使うという異例の対応を見せました。会談が始まると、韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領は、「挑発行為に対する謝罪と再発防止策が最も重要だ。それがなければ相応の措置を取り、宣伝放送も続ける」と述べ、あくまでも謝罪が必要だと強調しました。一方の北朝鮮は、ふだんの10倍にも上る潜水艦や潜水艇合わせておよそ50隻を基地から出港させるなど、圧力を加えました。緊張を高めることで相手から譲歩を引き出そうとする「瀬戸際外交」をまたも展開したのです。
電撃合意キーワードは「遺憾」
会談では、北朝鮮側が「過去の話ではなく、これからの話をしよう」と主張したのに対し、韓国側は「地雷爆発事件に対する心からの謝罪がない限り、ほかの話をすることはできない」と譲らず、話し合いが難航します。40時間以上に及んだ会談は、4日目の25日未明に終了し、合意文が電撃的に発表されました。
北朝鮮側が、▽地雷が爆発し韓国の兵士2人が大けがをしたことについて「遺憾」を表明するとともに、▽前線地帯に出した「準戦時状態」を解除し、韓国側が▽北朝鮮向けの宣伝放送を25日正午から中断することなどで合意しました。さらに、▽関係改善のため当局者どうしの会談をソウルかピョンヤンで早期に開催することや、▽来月の旧盆に合わせて朝鮮戦争などで離れ離れになった離散家族の再会を目指すことなどでも一致しました。朝鮮半島の緊張は回避されたのです。 合意のポイントは、「遺憾」ということばでした。
韓国側は「謝罪」を意味するものと国内向けに説明することができ、一方の北朝鮮側は「残念だという意味にすぎない」と位置づけることができます。あいまいな表現が「落としどころ」となったのです。実際、合意の発表後、韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領は、「重要なのは、合意したことが今後の会談などを通じて円滑に進められ、南北間の緊張が解消されて朝鮮半島の平和発展のための転機とすることだ」と期待を示したのに対し、北朝鮮のファン総政治局長は国営テレビに出演して合意を評価しつつ、「南は事件をでっちあげた」と従来の主張を繰り返し、謝ったわけではないという立場を強調しています。
南北関係は改善に向かうのか
南北が合意に至った25日は、パク大統領が5年間の任期を折り返したその日でした。今回の合意は、任期後半に入ったパク政権に有利に働く可能性があります。合意について、韓国の世論やメディアは、きぜんとした姿勢で北朝鮮側から「遺憾」表明を引き出したと高く評価しています。
北朝鮮も、韓国との合意をキム第1書記の指導力によるものと国民に誇示することができます。北朝鮮はまた、今後の対話を通じて、韓国が5年前から独自に科している制裁措置の解除につなげたい考えとみられます。北朝鮮は、10月10日に朝鮮労働党創立70年の節目を迎え、軍事パレードをはじめ国を挙げた記念行事を予定しています。求心力を高めたいキム第1書記としては、国民に示せるさらなる成果がほしいところです。
しかし、今後、南北が本格的な関係改善に向かうかどうかについては、楽観はできません。北朝鮮が10月10日に合わせて、「人工衛星の打ち上げ」と称して再び長距離弾道ミサイルを発射し、国威発揚を図る可能性が取りざたされています。その場合、朝鮮半島が緊張状態に逆戻りし、復活したばかりの南北対話も頓挫することは避けられません。その場合、韓国側が今回の合意で「非正常な事態が発生しない限り」という条件をつけて中断に応じた宣伝放送を再開することも考えられます。改善に向けてようやく一歩を踏み出した南北関係の前途には、曲折も予想されます。
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2015_0827.html
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