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韓国国民の各国別悪感情
なぜ韓国は、中国より「日本敵視」を強めているか
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150810-00015933-president-nb&ref=rank
プレジデント 2015/8/10 09:15 東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員 三浦瑠麗 構成=久保田正志 撮影=市来朋久 写真=AFLO
■日韓は互いに「嫌いな国」
現在、日本と韓国の間では、慰安婦問題ほかさまざまな案件で政府間の関係が冷えきっており、両国相互の国民感情もきわめて悪い状態です。
私は外務省の助成を受けて、2014年11月から12月にかけ、日本・中国・韓国の3カ国で国際意識調査を実施しました。調査によれば、日本を「大嫌い」「嫌い」とした割合が最も高い国は韓国、次いで中国です。
日本から見ても「嫌いな国」の1位、2位は中国と韓国ですから、2国間関係がぎくしゃくしているという点では、日中も日韓も同じです。ただ、日中間では折に触れて首脳会談が開かれ、緊張緩和が進む可能性があるのに対して、最近の日韓関係は首脳会談も開けないほど悪化しています。
なぜ「日韓」だけ、こんなに関係がこじれてしまったのでしょうか。
戦後の日韓関係におけるエポックメーキングな年を挙げるなら、大日本帝国による朝鮮統治が終わった1945年、日韓基本条約が結ばれた65年、韓国が民主化宣言した87年、アジア通貨危機が起きた97年、そして李明博大統領が、同国が実効支配する島根県の竹島に上陸した12年です。
両国の現在の不仲を決定づける要素はいくつかありますが、1つめは日韓基本条約締結時の行き違いです。
条約を締結したのは、軍事政権を率いる朴正煕大統領です。朴氏は、日本との間の賠償問題を解決するため、日韓請求権協定を結びました。これにより、日本から韓国に対し、5億ドル(当時のレートで1800億円)の経済援助金が支払われることが定められました。
協定には、両国政府が「国民の間の請求権に関する問題が(中略)完全かつ最終的に解決されたことを認める」旨が明記されており、それが現在、日本政府が「慰安婦や徴用工に対する補償はすでに終了している」と主張する根拠となっています。しかし、このとき日本側から支払われた賠償金は、韓国の国家予算として使われてしまい、元慰安婦、元徴用工といった個人に還元されることはありませんでした。その後、慰安婦や徴用工問題に関して、韓国が理不尽な要求を出してくる背景には、こうした韓国側の国内問題があるのです。
それよりも重要なのは、韓国における民主化です。韓国では、全斗煥大統領の政権委譲後に次期大統領候補となった盧泰愚氏が「民主化宣言」を行い、1987年に選挙を実施し、大統領に当選します。以後、韓国政府は、民意や支持率を気にかけなければいけなくなります。折しも冷戦終結で「反共」が大きなインパクトを持たなくなったこともあって、反日は韓国国民の愛国心に訴える便利なカードと見なされ、大統領の支持率が低下すると反日を煽る傾向が強く出てきたのです。
■IMF管理で消えた“日本通”
ところで、国民の好悪感情という点では、日韓関係と同様に悪いのが日中関係です。日中間にも常に大小の摩擦が起きていますが、どこかで政治的な手打ちが行われ、深刻な対立には至らないのが普通です。それは1つには、中国が民主主義国ではないからです。
共産党の一党独裁が続く中国では、政治家が選挙を気にする必要はありません。自国民の支持を得ることより、日本政府との外交関係を念頭に発言や行動を決めることができます。この点が韓国政府との大きな違いです。
民主化に加え、近年の韓国の経済状況の変化も、対日関係に影響しています。97年に発生したアジア通貨危機により、韓国は国際通貨基金(IMF)の管理下に入り、市場主義が徹底されました。同時に産業界の再編が進められ、結果としてサムスン電子や現代自動車などが世界的企業に成長します。
問題は、このころを境に韓国政府の中で日本通の人材の影が薄くなり、米国通の官僚が幅を利かせるようになったことです。これにより、政府間の意思疎通が難しくなってしまいました。
さらに、00年代に入ると、韓国の対外貿易における中国のシェアが急上昇し、第1位の貿易相手国となります。一方、日本のシェアは10%前後まで低下します。これで「日本軽視」の流れができあがってしまうのです。
■大統領が朴正煕の娘だったから
13年に発足した朴槿恵政権では、最初から慰安婦問題に焦点が当たりました。この件が日韓で政治問題化するうえでは、朝日新聞などのメディアの盛んな特集記事や誤報が大きく作用しました。加えて、軍政の下で抑えつけられてきた人権運動が民主化後の韓国で盛り上がったという側面もあります。これに対し、日本は93年に河野洋平官房長官が謝罪を表明したうえ、財団法人の「アジア女性基金」を設立し、元慰安婦への「償い金」を用意して韓国側に歩み寄ります。しかし、解決には至りませんでした。
11年8月、韓国の憲法裁判所において、「慰安婦問題については、1965年に日韓基本条約と同時に締結された日韓請求権協定で解決されておらず、憲法裁判所の判決に基づき、韓国政府が協定の解釈について日本に対し交渉しなければ、憲法違反にあたる」という驚くべき判決が下されました。この判決をきっかけに李明博政権は追い詰められ、大統領が竹島を訪問して日韓の関係悪化は決定的になりました。
現在の朴槿恵大統領も、自身が女性であることや、日韓請求権協定を結んだ朴正煕の娘であるという事情から、この判決についてナーバスにならざるをえません。日本に対して、驚くほど強硬な態度を貫くのはそのためです。
慰安婦問題に加え、明治期の産業遺産の世界遺産登録で韓国が反対工作を進めたことや、長崎県対馬市で頻発した韓国人による仏像の窃盗などで、日本人の対韓感情はさらに傷つきました。
今後の日韓関係において、重大な政治課題となるであろう問題として、韓国内の裁判で次々と原告側が勝利している、戦時中の徴用工に対する日本企業の補償問題があります。この問題について日本側は、戦時中に財産権を侵害された韓国民間人への補償については、65年の日韓請求権協定で解決済みとの立場です。本来なら韓国政府も日本との条約における取り決めを尊重する立場にありますが、国内での批判を恐れて曖昧な姿勢を取っています。日韓の関係改善は、残念ながらまだ遠いといわなくてはなりません。
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東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員 三浦瑠麗(みうら・るり)
1980年、神奈川県茅ケ崎市生まれ。東京大学農学部卒業、同大学院法学政治学研究科修了(法学博士)。著書に『シビリアンの戦争――デモクラシーが攻撃的になるとき』『日本に絶望している人のための政治入門』など。
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