2. 2015年7月31日 19:12:02
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北朝鮮のガールズグループ、中国国境地帯で歌う2015年7月31日 17時7分 AFPBB News 中国吉林省、延辺朝鮮族自治州の延吉市のホテルで観光客相手に歌う北朝鮮のガールズグループ(2015年6月26日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News http://news.livedoor.com/article/image_detail/10415771/?img_id=8825277 写真拡大 【AFP=時事】北朝鮮とロシアとの国境地帯に位置する中国・吉林(Jilin)省の延辺朝鮮族自治州(Yanbian Korean Autonomous Prefecture)琿春(Hunchun)市のホテル、昆侖国際商務酒店(Kunlun International Hotel)は、同国の多くのホテルと同様、破格の安値をうたい文句にしているが、そのほかにも自慢できるものがいくつかある──円形ベッドとダンスポールのある部屋、そして朝鮮労働党の党歌や伝統的な社会主義ソングを歌う、北朝鮮のガールズグループだ。 紫のスポットライトとドライアイスの霧の中に浮かび上がるのは、真紅のドレスをまとった7人組の若い女性グループ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記自らがメンバーを選んだとされる女性楽団「牡丹峰楽団(Moranbong Band)」とどこか似ているが、このグループには名前もない。 ハウリングするエレキギターと重厚すぎるほどのベースやドラムで彼女たちが奏でるのは、朝鮮半島の民謡や北朝鮮の愛国歌だ。ステージでの演奏に、中年の中国人男性3人が腕を振り上げ「ブラボー」と叫んだ。 観光客の1人は「北朝鮮はとても貧しいから、中国のように経済を開放する必要がある。でもこのグループはすごくいい。北朝鮮の人を見たのは初めてだけど、あまり貧乏そうには見えないね」と話した。 北朝鮮では国民の出国が厳しく制限されており、また中国でも北朝鮮からの違法越境者を送還する方針がとられている。その理由からか、彼女たちは、ほとんど外出せずにホテルの中で多くの時間を過ごしているという。ボーカルのリム・テジョン(Lim Tae-Jeong)さんは、ホテルで米ファッション誌ヴォーグ(Vogue)の中国語版を手にとりながら「中国語は読めないけれど、写真を見るのが好き。洋服が全然違う。ものすごく現代的ね」とたどたどしい中国語で語った。 ■「北朝鮮での人気」が意味するもの 韓国のポップカルチャーは、ラップ歌手PSYの2012年の世界的ヒット曲「江南スタイル(Gangnam Style)」など、近年そのソフトパワーが注目されている。一方で北朝鮮の「牡丹峰楽団」は世界的な足跡こそ残してはいないが、国内では、コンサート開催時に市街から人影が消えるほどの人気を誇る。同楽団の演奏は、ディスコ風の速いテンポの楽曲など、それ以前の北朝鮮の大衆音楽とはまったく違う点が特徴だ。 フィンランド・ユバスキュラ大学(University of Jyväskylä)のペッカ・コルホネン(Pekka Korhonen)教授(政治学)は、これを欧州に留学していたことのある金第1書記の好みだろうと推測する。「牡丹峰楽団は驚くほどの人気だ。でも、北朝鮮での人気とは何を意味するのか。楽団は金第1書記の新しい統治の象徴。したがって、楽団の人気は、金氏の興味が他に移るまでしか続かない」と指摘している。 国境地帯で活動するミュージシャンの多くは、音楽大学などで教育を受けているが、それでもなかにはカラオケに毛が生えた程度の演奏が披露されることもある。 昆侖国際商務酒店では、ボーカルを担当する女性ら3人は、同時にレストランに3人しか居ないウェートレスでもある。食事客のデュエットの相手をして、差し出された100元(約2000円)札をどこかぎこちない様子で受け取る。チップがない中国では珍しい光景だ。 自治州政府所在地である延吉(Yanji)市は、琿春からそう遠くない場所にある町だ。この場所には、北朝鮮の首都・平壌(Pyongyang)で1987年に建設を始めたものの、未完成のままとなっているピラミッド型の105階建てホテル「柳京飯店(Ryugyong Hotel)」と同名の宿泊施設がある。ここでは、揃いの紅白の服を着た女性たちが、祖国北朝鮮のマスゲームを彷彿(ほうふつ)とさせる一糸乱れぬダンスで華麗なステップを披露していた。 ■紙一重の演奏生活 ミュージシャンは皆、祖国・北朝鮮への強い誇りを語る。しかし、その祖国での音楽演奏は危険の種ともなりうる。かつて北朝鮮音楽界の最高峰といわれた「銀河水(ウナス)管弦楽団(Unhasu Orchestra)」は2013年に解散。韓国情報筋によれば、メンバーのうち4人はスパイ罪で銃殺刑に処されたという。北朝鮮の公式発表はない。 国境地帯で演奏しているミュージシャンの一人、リュウ・ソウルシン(Ryu Seol-Sin)さん(28)は、中国へ来て2年近くになるが、最近、帰郷についても考えるようになったと話す。 牡丹峰楽団のメンバーを数多くを輩出している金元均平壌音楽大学(Kim Won-Gyun Pyongyang University of Music)を卒業したというリュウさんは、「以前は一生懸命働いて、大観衆の前で演奏するほど出世したいと思っていた。けど今は音楽を教えたい。その方が国に仕えるために安定しているし、より安全だと思うから」とコメントしている。 【翻訳編集】AFPBB News http://news.livedoor.com/article/detail/10415771/ |