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マレーシア政権、亀裂拡大 首相が副首相更迭[日経新聞]
資金疑惑巡り異論封じ
2015/7/28 21:45
【シンガポール=吉田渉】マレーシアのナジブ首相は28日、ムヒディン・ヤシン副首相を更迭すると発表した。ムヒディン氏は国営投資会社を通じた不透明な資金疑惑の渦中にいるナジブ氏への批判を公言しており、身内からの異論封じを狙う戦略が透ける。だが、政権を握る与党内の亀裂も白日にさらした格好で、政治の混乱に拍車がかかりかねない。
ナジブ首相はムヒディン氏のほかの閣僚4人の交代も発表した。それでもナジブ氏の説明は副首相更迭に関する内容に終始し「難しい決断だった」と漏らした。ムヒディン氏は政権与党UMNO(統一マレー国民組織)でも副総裁を務め、国民のうち多数派を占めるマレー系の優遇を支持する保守派の間で隠然たる勢力を持つ。政権ナンバー2の切り捨てはナジブ氏の「賭け」ともいえる。
更迭の背景には国営投資会社「1MDB」に関する対立がある。ナジブ氏が設立した同社は乱脈経営で419億リンギ(約1兆4千億円)の負債を抱える。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは7月上旬に「1MDBからナジブ氏の口座に7億ドル(約870億円)近い資金が流れた」との疑惑を報道し、首相の責任を問う声が高まっている。
ナジブ氏はムヒディン氏更迭の理由に「意見の相違を公言した」ことをあげた。ムヒディン氏は26日夜の集会で「総選挙が明日あれば与党は負ける。首相は真実を語るべきだ」と述べた。ナジブ氏は資金疑惑を否定しているが、具体的な反証は示していない。ムヒディン氏の発言はこうした手法を批判したものだ。
実際に副首相が交代するのは29日以降で、後任にはアフマド・ザヒド・ハミディ内相が就く。1MDBを巡る捜査を指揮し、疑惑を報じるメディアに圧力をかけるなど政権批判に対する防波堤の役割を担ってきた。自身に近い閣僚で政権を固めたいナジブ氏の思惑が透ける。
1MDBを巡る政権批判は資金疑惑が報道される前の昨年からで、まず野党が乱脈経営を追及した。今春からは与党の重鎮であるマハティール元首相が批判に加わり「首相は辞任すべきだ」と執拗に要求している。ナジブ氏は「疑惑を巡る報道は元首相が仕掛けた」と明言し、マハティール氏と泥仕合を演じている。
今回の更迭劇はナジブ氏に対する批判の広がりを印象づけた。政権中枢から公然と非難が起こり、首相の力でも封じ込むことはできなかった。ドタバタ劇から浮かび上がるのは与党内の深刻な亀裂だ。1957年の独立から連立与党の中核を担うUMNOにとって最大規模の危機といえる。
シンガポールに拠点を置く東南アジア研究所のウィー・キーベン副所長は「ナジブ氏は党内で根強い支持基盤を持つ」と述べ、政権が近く倒れる可能性は低いと分析する。しかし今回の内閣改造を通じてナジブ氏が内向き志向を強めたことで、政権と国民との距離が広がる可能性があると指摘する。
今後、与党内の抗争が一段と激化するとの見方もある。マレーシアのシンクタンク、IDEASのワン・サイフル最高経営責任者(CEO)は「ムヒディン氏が政権への攻撃を強める可能性はある」と話す。ムヒディン氏はマハティール氏との関係が深く、ナジブ氏への批判で共闘を強めるシナリオも浮上してきた。
ムヒディン氏ら与党内保守派の多くは環太平洋経済連携協定(TPP)への参加に消極的だ。マレー系の社員が多い政府系企業の優遇縮小を米国から求められているためだ。大詰めを迎えたTPP交渉に絡めた首相攻撃が強まれば、マレーシアの外交や対外交渉に影響が及ぶ可能性もある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H6X_Y5A720C1FF2000/?dg=1
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