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朝鮮労働党幹部が告白「あの国防相玄永哲は犬に喰われて粛清された。裏切り者には、銃弾すらもったいないから」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44194
2015年07月16日(木) 週刊現代 現代ビジネス
7月4日、北朝鮮が日本人特別調査委員会を立ち上げてから、丸1年が過ぎた。だが、拉致被害者の帰国はなお遠い。それは、国防相粛清の影響が大きいという。「平壌奥の院」で何が起こっているのか。
■モスクワで暗殺を画策?
「玄永哲前人民武力部長(国防相・享年66)は、軍事裁判を経て処刑した—」
北朝鮮の朝鮮労働党幹部が初めて、玄永哲問題の真相について、重い口を開いた。
5月13日、韓国政府の情報機関である国家情報院が韓国国会に、「玄永哲処刑」を報告。現役国防大臣の処刑情報に、世界に衝撃が走った。
この際、本誌はある方法により、国境を挟む「中国」を経由する形で、信頼できる人物を通して、朝鮮労働党幹部に話を聞いた(6月6日号で既報)。
その幹部は、5月9日にモスクワで開かれた対独戦争勝利70周年記念軍事パレードに参加予定だった金正恩第一書記が、これに参加できなくなったことが、玄永哲が人民武力部長を解任された原因だと説明。その一方で「処刑説」は否定した。
今回、7月4日に、北朝鮮が日本人特別調査委員会を立ち上げて1周年にあたるのを機に、再び前回と同様の手法で、この幹部に話を聞いた。すると幹部はついに、玄永哲前人民武力部長の処刑に言及した。合わせて、日朝交渉の最前線についても語った。以下は、一問一答である。
—改めて聞くが、玄永哲人民武力部長は、なぜ解任されたのか。
「玄永哲は4月中旬に、5月の金正恩第一書記のロシア訪問の準備のために、モスクワを訪問した。出国前に、金第一書記の面前で大見得を切って、4つの約束をした。
第一に、金正恩第一書記とプーチン大統領との単独の朝ロ首脳会談の実現。第二に、5月9日の軍事パレードで、金正恩第一書記を、中国の習近平主席と共に、プーチン大統領の両サイドに立たせて特別扱いすること。
第三に、ロシアから朝鮮への、十分な経済援助の獲得。第四が、ロシア製ミサイルを朝鮮に売却してもらうことだ。
ところが、玄永哲部長はあろうことか、このうちただの一つも、ロシア側に確約させられないまま、帰国したのだ。
金正恩第一書記が問い詰めると、ベラベラと偉そうに言い訳をして開き直った。それで金第一書記が激昂し、『引っ捕らえろ!』と命じたのだ」
—拘束後は、どうなったのか?
「直ちに拷問にかけられ、厳しい取り調べを受けた。
その中で、恐るべき疑惑が浮かび上がった。それは、5月に予定していた金正恩第一書記のロシア訪問の際に、同行することになっていた玄永哲が、金第一書記を暗殺する陰謀を企てていたのでは、というものだ。
しかも、金平日駐チェコ大使が共謀していた疑惑まで噴出したのだ」
金平日は、1954年に故金日成主席と、後妻の金聖愛夫人との間に生まれた、故金正日総書記の異母弟である。'74年に金正日総書記との後継者争いに敗れ、'79年にユーゴスラビアの北朝鮮大使館に赴任。以後、ハンガリー大使、ブルガリア大使、フィンランド大使、ポーランド大使を歴任。今年1月に、17年間駐在したポーランドを離れてチェコ大使に赴任した。
金日成総合大学を卒業し、護衛司令部、総参謀部などで勤務した関係から、朝鮮人民軍での人望も厚い。平壌では、統治能力の乏しい金正恩第一書記に代わる「金平日待望論」が、にわかに持ち上がっているという。
■3匹のドーベルマン
—実際に、玄永哲部長と金平日駐チェコ大使は、共謀していたのか?
「実は金平日大使は、5月の金正恩第一書記のロシア訪問準備のため、4月に一時帰国していた。そして金第一書記のロシア訪問がキャンセルされた時点でチェコに戻った。
様々な角度から調べた結果、金平日大使は無実であることが判明した。だが玄永哲は、グレーだった。つまり、ロシアで金第一書記暗殺を目論んでいた可能性を排除できなかったのだ」
—それで、玄永哲をどうしたのか?
「金正恩第一書記に、本人の自白内容や調査結果を報告した。すると金第一書記は、ロシア訪問をドタキャンせざるを得なくなって国際的に自分の体面を傷つけたこと、加えて、モスクワでの暗殺の陰謀疑惑が、我慢ならなかったようだ。
そこで、『(玄永哲を)さっさと処刑してしまえ』と命じた」
—2年前に、当時のナンバー2だった張成沢党行政部長を処刑した際には、掃射砲で100発近く撃った後、遺骨も残さないよう、火炎放射器で燃やしてしまったというのが定説になっている。
今回の玄永哲の場合は、韓国の国家情報院が、戦闘機を撃ち落とすための高射砲を使って処刑したと報告した。しかも、軍幹部や家族たちを集めて公開処刑にしたという。これは事実なのか?
「それは、南の傀儡(韓国)のデッチ上げ話だ。正確に言えば、金正恩第一書記に対して、そのような提案があったのは事実だ。だが金第一書記は、こう命じたのだ。
『そのような奴を殺すのに、軍の貴重な銃弾を使うのは、もったいないではないか。弾薬は、敵を倒すために取っておけ。(玄永哲は)犬にでも喰わせてやればよいのだ』
そこで、特別獰猛なドーベルマン3匹を用意し、空腹にさせた後、玄永哲に向かって放ったというわけだ。
玄永哲は叫び声を上げ、あっと言う間に血まみれになって息絶えた」
■誰も責任を取りたくない
7月1日、韓国統一研究院は、北朝鮮が過去15年間に推定1382人を公開処刑しており、特に金正恩時代に入って残酷化していると警告した。
—昨日まで側近だった国防大臣を犬に喰わせるという、正気とは思えない最高指導者を、周囲はどう見ているのか?
「それは、金第一書記に対して、思うところはいろいろある。だが、最高指導者がお決めになったことなのだから、受け入れるしかないだろう。
この事件は、誰も表だって口にはしないが、平壌の指導者層に大きな影を落としている。対日交渉にも影響が出るだろう」
北朝鮮は、昨年7月4日に、日本側の求めに応じて、「日本人特別調査委員会」を立ち上げた。そして「拉致被害者」「行方不明者」「日本人遺骨問題」「残留日本人・日本人配偶者」の4つの分科会に分けて調査するとした。
昨年10月には、伊原純一外務省アジア大洋州局長を団長とする日本政府代表団が平壌入りし、日本人特別調査委員会の徐大河委員長に対して、「拉致問題をとにかく最優先してほしい」と申し入れている。
しかし北朝鮮側は、日本人特別調査委員会を立ち上げて丸1年が経つにもかかわらず、日本人拉致問題に関して、生存者の情報を出してきていない。北朝鮮側の誠意が、まったく見られないことで、日本側の怒りは増していて、自民党の拉致問題対策本部(古屋圭司本部長)は6月25日、北朝鮮への制裁強化を求める提言を安倍晋三首相に提出した。
—玄永哲前人民武力部長の処刑と、日本人の拉致問題が、どう関係するのか?
「拉致問題に関しては、これまでわが国が誠意を見せるたびに、日本が裏切ってきたではないか。
'02年に(蓮池薫さんら)5人の生存者を日本に帰国させたら、感謝されるどころか、日本の世論は非難囂々となった。'04年に(横田めぐみさんのものと北朝鮮側が主張する)遺骨を日本側に渡したら、偽物だとして、再びわが国に対する非難が強まった。
今回も、こちらが何らかの誠意を見せたなら、日本は再びわが国を非難するに決まっている。それによって、こちらの対日担当者は、責任を取らされて玄永哲のように処刑されてしまうかもしれないのだ。
それを思うと、対日担当者たちが、ハイリスクな拉致問題に尻込みするのも当然ではないか。誰でも自分の身が一番かわいいのだから」
■拉致問題にも影響する
—それでは、拉致問題を解決するには、どうすればよいのか?
「それは、リスクの低い分野から徐々に解決していき、互いの信頼関係を醸成させていくことが大事だろう。
リスクの低い分野とは、終戦前後の日本人の遺骨の返還や、残留日本人・日本人妻とその家族たちの一時帰国といった事業だ。これらは、両国間に見解の相違が少ないため、スムーズに進むはずだ」
—北朝鮮側は、調査委員会を立ち上げて1年が経った現在でも、日本との交渉を継続していこうという意思があるということか。
「もちろんだ。日本が行動を起こすなら、わが国も行動を起こす。両国の早期の国交正常化を謳った'02年の『平壌宣言』の履行は、われわれとしても大いに望むところだ」
—北朝鮮が、日本との関係を改善させたいという背景には、極度の経済不振があるのではないか。
「今年は特に、10月10日に朝鮮労働党創建70周年の記念日を迎えるというのに、約20年ぶりの大凶作の年となりそうだ。とにかく雨が降らず、農地が枯渇してしまっている。すでに朝鮮人民軍の備蓄米も、かなり放出した。
この分では、'90年代の『苦難の行軍』(3年飢饉で200万人近くが餓死した)の再来だという声も聞こえ始めている。恐ろしいことだ」
—北朝鮮の貿易の8割以上を依存している中国からの援助があるのではないか。
「それはあるにはあるが、中国との関係は、相変わらずよくない。
習近平主席は、9月3日に北京で行う抗日戦争勝利70周年記念の軍事パレードに、金正恩第一書記にも参加を要請している。だがわが国の幹部は、もはや誰も『第2の玄永哲』になりたくないので、朝中の橋渡し役がいない。
9月に金第一書記の訪中がなければ、10月に『衛星ロケット』(長距離弾道ミサイル)の発射実験を行い、年内に4度目の核実験を挙行する運びとなるだろう」
以上である。
朝日新聞(7月2日付)は、伊原局長と小野啓一北東アジア課長が6月20日、上海で北朝鮮と非公式協議を行い、拉致被害者の調査結果の催促をしたが、北朝鮮側から回答時期についての言及はなかったと報じた。
他にも、日朝が現在、水面下で、横田めぐみさんの娘、キム・ウンギョンさん一家の来日を画策中との話も伝わってくる。いずれにしても金正恩政権が苦境に立ついまこそ、胆力のある対北朝鮮外交が望まれる。
「週刊現代」2015年7月18日号より
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