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朴大統領は閣議で原稿を読み上げた=6月25日、ソウルの大統領府(聯合=共同)
【新・悪韓論】朴大統領の癇癪と隣国の恐ろしい政治風景 「誰もいなくなる日」は近い
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150702/frn1507021140001-n1.htm
2015.07.02 夕刊フジ
ふと、「氷炎」という表現を思い出した。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が6月25日、閣議に臨んだときの映像を見てだ。この閣議で、朴氏は16分間にわたり、原稿を読み上げ、かつて側近だった与党の院内総務を批判した。
「背筋が冷たくなった」と、その原稿朗読を聴いた人物(=当然のことながら閣僚だろう)が語ったと、韓国紙は伝えている。だからだろうか、いくらか気骨ある側近も1人2人と去っていく。「そして誰もいなくなった」という状況が近づいているようだ。
一国の最高意思決定機関である閣議の席で、主宰者たる元首が16分間にも渡って、自らが用意してきた原稿を読み上げる。それが、例えば「最近の国防状況に関する報告」といった話だったなら、まだ納得もできる。
が、そうではなかった。あえてテーマ名を付ければ「最近の国内政局について」となろうが、与党執行部、わけても院内総務個人を徹底批判し「国民の審判を」とまで述べたのだから、検察官の論告みたいだ。
これは「異常な国家の風景」と言うべきか。それとも、その間メモ取りに専念するだけで何の発言もしなかった閣僚たちを「極めて韓国的」と評すべきなのだろうか。
朴氏は、閣僚はおろか首席秘書官とすらめったに「面談」しない“引きこもり姫”だ。同時に“癇癪(かんしゃく)姫”だ。
ハンギョレ新聞はかつて、こう書いていた。朴政権の発足直前、初代の首相候補を指名したもののスキャンダルが次々に出て、潰れたときのことだ。
「『(首相任命の前提である)人事聴聞会がホコリはたき式で行われるならば、いったい誰が出てくるか』と癇癪を起こした」「李明博(イ・ミョンバク)大統領でさえ、こんな露骨な癇癪を見せたことはない」(2013年2月4日)
韓国の大手紙は国家元首に関しては、その政策判断や認識については批判するが、性格をストレートに非難することはない。ハンギョレの記事は「就任前」だったから書けたのだろう。
李氏もしばしば癇癪を起したが、朴氏の癇癪の激しさは、李氏の比ではない−。この記事には、そう書いてあるように、私には読める。
朴氏の怒りは、行政立法(=日本の政令や省令に当たる)に対する国会の異議申し立て権限に関する“玉虫色”の与野党合意に向けられている。該当法案に対して、大統領拒否権を発動しただけでは腹の虫が収まらず「16分間の朗読」になったらしい。
標的にされた与党の院内総務は、かつて朴氏が三顧の礼をもって側近に招いた人物だ。与党代表はアンチには踏み切っていない「非朴派」に色分けされているが、彼もかつては「親朴派」の中心にいた。与党内で3分の2を占めていた「親朴派」議員は、いつの間にか3分の1に減った。早々に辞表を提出して去った首席秘書官(次官級)も少なくない。
癇癪を起こし「氷炎」になる姫に、諫言(かんげん)する爺は見当たらない。「イエスマン側近だけ」の体制になるのは、もう間近だろう。隣国の恐ろしい政治風景だ。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。
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