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金正恩氏の「唯一指導体系」の強化を訴える、北朝鮮の地方都市で開かれた政治学習集会 =2013年夏(アジアプレス提供)
【劇場型半島】金正恩第1書記を“ガキ呼ばわり”する北人民ナマの声「資本主義がいい」
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150609/frn1506091153003-n1.htm
2015.06.09 夕刊フジ
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は、叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏に続き、国防相も処刑したとされる。こんな粛清の嵐が吹きすさぶ北朝鮮内部から情報を伝え続ける“ジャーナリスト集団”がいる。主体は「情報発信で国をよくしたい」と願う北朝鮮出身者たちだ。取材成果をまとめた雑誌「リムジンガン」最新号は、「ガキ」呼ばわりしてきた金第1書記の恐怖政治に怨嗟(えんさ)の声を漏らす住民らの本音を余さず描き出している。(桜井紀雄)
■「国を開放しようとして殺された」
「張ですら、あのようになるなら、(問題起こしたら)私たちは、皆殺しにされる」
このほど発行された「リムジンガン 第7号」に紹介された北朝鮮の北西部、平安北道(ピョンアンブクド)の都市に暮らす住民の声だ。自分の叔父まで手にかけた粛清を批判的にとらえ、張氏に同情する声が少なくないという。
この住民はこうも言う。「(粛清を)間違いだと考える人は多い。国を開いて暮らしがよくなれば、資本主義をやったっていい」
金第1書記「唯一」独裁の特異な社会主義体制にあって、資本主義を肯定する言葉を平気で漏らす住民に驚かされる。
2013年末の張氏処刑以来、各地の講習で「張が失政や横領で国家に莫大(ばくだい)な損失を与えたため、人民生活が悪化した」と住民らにすり込まれてきた。それでも、張派を改革開放の旗手ととらえ、経済をよくしてくれると淡い期待を抱いた人たちもいた。
「張は国を開放しようとしたから殺されたんだと考える人が少なくない」と、北部、両江(リャンガン)道の主婦は吐露した。
■「寵愛した女優も銃殺」
「リムジンガン」グループは、張氏と側近の処刑にとどまらず、その後も続いた粛清の動きを、世界に先駆けて発信してきた。
地方でも張氏との関係が徹底的に洗い出され、「視察に訪れた張成沢と撮った写真の提出が命じられ、張成沢という人物が存在した痕跡自体を消してしまおうという徹底ぶりだった」という。
飛び降り自殺し、家族は連れて行かれたきりだったり、通勤途中に行方不明になったりした幹部らもいた。
「張氏のめいの夫の映画俳優や女優ら3人が銃殺され、3人が関係した映画の回収が命じられた」。14年春には、こんな情報が北朝鮮国内から伝えられた。
女優の一人は、美貌から多くの男性と関係があると噂され、「張成沢が寵愛(ちょうあい)していた女だったらしい」ともいわれた。
金第1書記が「叔母の金敬姫(ギョンヒ)同志にも手をかけた」といった噂まで広がっている。敬姫氏は、金正日(ジョンイル)総書記の唯一の実妹で、死の間際に金第1書記の後見を託したとされる。
そんな人物まで手にかけるとは考えにくく、夫の張氏処刑後は、北部の隔離された施設で療養生活を送っているとの情報がある。ただ、公に姿を見せなくなると、「殺害説」まで立つほど、「叔父殺し」をした金第1書記が「無慈悲な人物」と住民らに受けとめられている証左でもある。
■「皆逃げ国が空っぽに」
「あれは、まだ何にも知らない」。金第1書記が登場した当初、若さと経験不足から侮る声が多かった。
公然と「セッキ(ガキ)」呼ばわりする住民もいた。一方で、何か新しいことをしてくれるのではないかという期待感もあったという。
金第1書記就任から3年間で住民が得たものは、破綻した経済の回復ではなく、恐怖政治だけだった。
韓国の情報機関、国家情報院によると、今年4月末には、側近の一人だった玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長(国防相に相当)まで処刑したとされる。
住民らは、中朝国境を通じたモノとカネ、ヒトの流れに依存して、何とか食いつないできたが、金第1書記の統治以降、中朝国境の取り締まりを強化し、逆に経済を圧迫している。平壌、地方ともに特に電力不足が顕著になっているという。
リムジンガンに声を寄せた朝鮮労働党の女性幹部は、こう指摘する。
「(張氏処刑で)人民が得たものは何もない。権力争いで銃声が派手に鳴らされたが、人々の憎悪心を招いただけ。特権階級に対する信頼がさらに地に落ちた」
北東部、咸鏡(ハムギョン)北道の住民は、皆が政権に対する「陰口をたたいている」とこぼし、こう続けた。「戦争が起きたら皆、中国に逃げて(北)朝鮮は空っぽになってしまう。だから統制を強めているのだと話している。どんどん生きにくくなっている」
■北朝鮮住民だからこそ
こうした北朝鮮住民の本音に迫る取材はどのようになされているのか−。
「リムジンガン」の発行人を務めるジャーナリストグループ、アジアプレスの石丸次郎氏は、1990年代から中朝国境地域で、国境を行き来する北朝鮮人や脱北者ら1000人近くへの取材を重ねてきた。
北朝鮮当局に完全に統制され、“ショーケース”ともいわれる平壌などでの取材では、「北朝鮮の本当の姿」が見えないことを思い知らされたからだ。
取材を重ねるうち、自ら映像などを撮り、北朝鮮の本当の姿を伝えたいと申し出る北朝鮮出身者が現れる。石丸氏が築いた信頼関係の下、小型ビデオカメラの使い方や取材ノウハウを伝え、再び北朝鮮に“潜入”した彼ら「北朝鮮人ジャーナリスト」によって「リムジンガン」は支えられている。
潜入すれば、すぐに見分けられるという外国人では、不可能なことだ。
ただ、社会を熟知した北朝鮮住民自身の取材でも隠し撮りなどが発覚すれば、「反国家犯罪」として厳罰が待っている。命懸けであることに変わりはない。
正恩政権発足以来、中朝国境の警備が強化され、せっかく取材した映像素材を外部に持ち出すのも困難さを増しているともいう。
それでも、あえて取材を諦めない彼らの原動力は「世界に知らせたい」「少しでも朝鮮をよくしたい」という思いにほかならない。
石丸氏はこう記す。「重要なのは、あくまでファクト(事実)だ。北朝鮮内部にそびえ立つ高い壁の向こう側にあるファクトを探り、調べることで、漆黒を照らす一条の光であり続けたい」
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