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MERS対策の緊急会議に出席した朴大統領(手前)。またしても危機管理の甘さを露呈した=3日、ソウルの青瓦台(聯合=共同)
朴政権また危機対応に失敗 怒り心頭の韓国メディア 観光、貿易に大打撃
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150605/frn1506051140002-n1.htm
2015.06.05 夕刊フジ
韓国で感染が広がる中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス禍は、経済にも大打撃を与えている。中国などの観光客のキャンセルも相次ぎ、消費低迷に追い打ちをかける。輸出も減少続きで稼ぎ頭を失った状況は「(昨年4月の)旅客船セウォル号の沈没事故よりも深刻」との声もある。危機対応でいつも失敗する朴槿恵(パク・クネ)政権は当てにならず、低空飛行の経済が失速しかねない。
韓国メディアが報じたところによると、5日未明に新たに感染者1人が死亡、ほかに5人の感染が判明。この結果、死者は4人、感染者は死者を含め41人となった。
笑えない事態も生じている。聯合ニュースによると、「自宅隔離」を命じられていたソウル市内に住む50代の女性が2日、夫ら15人とソウルから約330キロ離れたゴルフ場に行ったという。女性は「気がふさぐのでスッキリしようと思い、ゴルフに来た」という。
朴大統領は3日、官民合同の緊急会議を開き防疫態勢の問題点などを協議したが、危機管理態勢の甘さは深刻だ。
朝鮮日報は3日付の社説で「大統領はどこに行ったのか」と題する社説を掲載。感染による死者2人が確認された2日に、朴氏が地方での行事に予定通り出席したことなどを挙げ「大統領が積極的に乗り出し総力戦を展開すべきだ」とした。
ハンギョレ新聞は、インターネットの声を紹介する形で、「MERSよりもっと恐ろしく致命的なのは、朴政権の応急状況に対する無能力と国家運営資質の不足」と強いトーンで批判した。MERSの感染拡大が沈滞する韓国経済への下押し圧力となるのは避けられない。「生産、消費、投資などの各分野での経済主体の心理が急激に萎縮する兆しが現れている」と報じたのは韓国の通信社、ニューシス。
韓国観光公社によると、MERSによって7、8月の韓国旅行をキャンセルした観光客は今月1日の時点で中国人が2000人、台湾人が500人。台湾外交部(外務省)は3日、ソウルについて4段階の危険レベルの下から2番目の渡航注意情報を出し、旅行客に渡航の是非を検討するよう促した。
人の動きが制限されると、小売りやレジャーなど内需が打撃を受ける。工業生産が3月から2カ月連続減少、輸出の減少幅は大きくなるなど脆弱な中で、内需も低迷すると、経済は底なし沼に陥る。
MERSは輸出にも悪影響を与えそうだ。朴大統領が今年3月に中東を歴訪し、輸出業者の中東進出を計画するが、中東で開かれる建築や石油・ガス、医療機器関連の展示会などへの参加が不透明な状況になっているという。
過去に感染症が景気後退を招いた事例もある。2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が拡大した中国では、03年第2四半期の国内総生産(GDP)成長率が前四半期より約3%低下。香港ではマイナス成長に転落した。
シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)は5月20日、今年の韓国の経済成長率見通しを3・5%から3・0%に引き下げたが、韓国紙アジア経済は、利下げなど特別な政策対応がなければ、成長率が2%台に落ちる可能性もあると報じた。同紙によると、与党セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表は経済への影響について「状況が悪化すれば昨年のセウォル号沈没事故よりも大きくなる可能性がある」との見解を示したという。
週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏はこう警鐘を鳴らす。
「朴大統領のリーダーシップ不足を含めて韓国の危機意識の甘さが際立っている。事態の収束に手間取れば経済成長率が2%程度に落ち込むことも避けられないが、長期的に韓国のイメージダウンにつながり、海外の投資家や企業も投資にも二の足を踏むことがより深刻だ」
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