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ソウルで行われたTHAADの韓国配備に反対するデモ(AP)
限界寸前の朴政権 米国がTHAAD配備めぐり猛圧力 外務省パニック情報も…
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150522/frn1505221900006-n1.htm
2015.05.22 夕刊フジ
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が、崖っぷち寸前にいる。6月に予定している訪米で、オバマ大統領率いる米政府から弾道ミサイル迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD)の韓国配備を迫られる可能性が高まってきたのだ。経済で依存する中国の強硬な反対に配慮して、決断を先送りにしてきた韓国だが、ついに「二股外交」は限界を迎えるのか。
「北朝鮮の挑発に備えねばならない。THAADなどについてわれわれが話す理由だ」
ケリー米国務長官は18日、ソウルの在韓米軍基地で突然こう語った。直前に行われた尹炳世(ユン・ビョンセ)外相との米韓外相会談では、THAADについては取り上げられなかったため、韓国外務省はパニック状態になったという。
続いて、米国務省のローズ次官補が19日、ワシントンで開催された討論会で、「米国は、韓半島にTHAADの永久配備を考えている」と発言した。米統合参謀本部のウィニフェルド次長も同日、ワシントンでのセミナーで、「米国は、北朝鮮の脅威のため、韓国と在韓米軍の防衛力増強に向けてTHAADを使う可能性に関心を持っている」と語ったのだ。いずれも、東亜日報(日本語版)が21日報じた。
THAADとは、米国が韓国での配備を目指す、ミサイル防衛(MD)システムの中核だ。海上配備型迎撃ミサイル(SM3)が大気圏外で敵弾道ミサイルを撃ち漏らした場合、最新鋭の地上配備型迎撃システムであるTHAADが大気圏内の高高度で撃ち落とすという。
迎撃ミサイルとともに、敵のミサイル発射を早期探知する高性能レーダーの配備も必要となる。このレーダーが配備されると中国国内のミサイル基地の動向が丸裸になるため、中国は猛烈に反対してきた。
中央日報(日本語電子版)は今年2月、以下のスクープを報じた。
昨年7月、ソウルで行われた中韓首脳会談で、習近平国家主席は「米国が韓国にTHAADを配備する場合、韓国は主権国家として当然の権利を行使し、反対の意思を表明してほしい」と朴氏に“通告”していたという。「米国の要求を拒否しなければ、韓国は『主権国家』ではない」と断じたに等しい。
これまで、韓国政府は「米韓間でTHAADの協議はしていない」と中国側に説明していた。ところが、ここに来て、米政府高官が次々と「THAADの韓国配備」について言及している。朴氏の6月訪米を意識していることは間違いない。そもそも、ケリー氏は「朴大統領の訪米の地ならしのため」に訪韓していたのだ。
韓国メディアは当初、朴氏の訪米について「日韓の歴史問題での米国の協力」「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の参加問題」などを焦点としてたが、「THAAD配備問題」が重要課題に急浮上しそうなのだ。
朝鮮半島情勢に詳しい元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏は「米国としては、北朝鮮が今月8日に、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射実験を行ったと発表したことが大きいのだろう。加えて、『北朝鮮が、米本土まで届く4段式の弾道ミサイルを開発している』という情報もある。東アジアの安全保障環境が変化している。これまで米国は韓国に気を使ってきたが、朴氏の6月訪米で、THAAD配備が持ち出される可能性は高い」という。
米国が変わった背景には、安倍晋三首相の4月訪米が大成功し、日米同盟が強化されたことも影響している。
「朴氏は日米同盟の強化に焦っていると伝えられる。オバマ大統領は米韓首脳会談で『日米韓3カ国の連携が重要だ』と強調するはず。これは日本の歴史認識ばかりに固執している朴氏に対し、『後ろばかり向かず、いい加減、前を見ろ!』と迫るものだ。韓国経済が芳しくないなか、朴氏としては、中国との関係悪化が避けられないTHAAD配備は悩ましいところだろう」(菅沼氏)
中国は「踏み絵」を踏ませるつもりなのか、今年9月に開催する抗日戦争・世界反ファシスト戦争戦勝70周年記念行事に、朴氏を正式招待している。韓国大統領府は態度を表明していない。
朴氏は、この難局をどう乗り切るのか。
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