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韓国に宿る「嫌中・恐中」DNA [日経新聞]
2015/5/16 23:46
「中国は怖い、何をされるかわからないというのが我々のDNAです」。ずいぶん前だが、知り合いの韓国の外交官がつぶやいたのがずっと気になっていた。
今春、8年ぶりに赴任したソウルで、この言葉がよみがえった。日韓両政府の対立が長引くなかで「韓国が思いの外、頑張ってくれた」と複数の関係者に聞いたからだ。3月21日にソウルで開いた日中韓の外相会談での出来事だ。
共同文書の焦点は歴史認識だった。中国が日本への厳しい表現を迫ったのに対し、韓国は拒んだといい、「歴史を直視し、未来に向かう」に落ち着いた。日中韓首脳会談のくだりでも、中国の慎重論にもかかわらず「最も早期」にこだわったのは韓国だ。国益がぶつかり合う場は、日本が警戒した「中韓共闘」ではなく「日韓VS中国」の構図だったようだ。
ソウルで中国の存在感を日々、目の当たりにする。中心部の明洞(ミョンドン)の地下街からエスカレーターに乗ると、中国人買い物客向けの中国語の広告が壁一面を覆う。店員の呼び込みも中国語ばかり。ロッテ免税店の昨年の売上高(空港内店舗除く)は7割を中国人が占め、かつて主役だった日本人は5%。明洞を数十分間歩いて、あれほどあふれていた日本語を耳にすることはなかった。
韓国国民の中国へのまなざしは複雑だ。朝貢や冊封の歴史関係に象徴されるように、長い間、朝鮮半島にとって中国は近すぎて、大きすぎる強国だった。
中韓関係の一端がわかると知人から勧められたのが、韓国映画「国際市場」だ。昨年末の公開以降、1400万人の観客を動員し、朴槿恵(パク・クネ)大統領も映画館で涙した。1950年に始まった朝鮮戦争の際、韓国軍と国連軍は中朝国境まで朝鮮人民軍を追い詰めながらも100万人超の中国軍の猛攻に遭い、軍民合わせて20万人が輸送船に乗って韓国南部・釜山への撤収を余儀なくされる。埠頭で親子が生き別れになる冒頭シーンが鮮烈だ。
「中国が参戦しなければ南北は統一され、1千万人に及ぶ離散家族も生まれなかった」との思いが韓国に残る。現地で暮らすと「中国は北朝鮮に次官級の大使を送るが、我々には格下の局長級。面白くない」といった話題によく出くわす。
「嫌中・恐中」DNAは朝鮮半島の全体に宿る。韓国と同じ民族の北朝鮮の金正日総書記は、後継者の正恩氏に遺言で「中国を信じるな」と語ったと伝わる。
韓国には「安米経中」という言葉がある。安全保障は米国に、経済は中国に頼らなければ生き残れないと解釈される。それでも中国があまりに強くなりすぎると、眠っていた「嫌中・恐中」DNAが呼び覚まされるのかもしれない。韓国では強硬一辺倒の対日外交にも見直し論が出ている。
戦後70年に向け、中国も布石を打ってきた。ハルビン駅に伊藤博文を暗殺した朝鮮独立運動家、安重根の大きな記念館がある。遺骨探しに協力姿勢でなかったとされる中国が朴大統領から記念碑を求められた後、2014年1月に「記念館を造った」と伝えてきたという。習近平国家主席は自らが指示したと明かした。
3カ国首脳会談の開催に中国が応じないのは、日韓が反目したままの方が都合が良いから――。こんな解説が聞かれる。歴史問題で対日批判の手を緩めない中国に、日米韓連携は脅威だ。北朝鮮が軍事挑発をやめず、このままでは「東アジアの懸案を米中で決める時代がくるかもしれない」と韓国の安保専門家は警鐘を鳴らす。国交正常化50年の節目に、日韓が手を結ぶ意味を考え直す時期だろう。
(ソウル支局長 峯岸博)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO86898480W5A510C1TZN000/?dg=1
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