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「韓国 脱財閥へのもがき」
韓国のベンチャー支援策は半端ない 国挙げてグローバル市場へ送り出す
2015年5月15日(金) 河野 紀子
財閥の業績悪化に伴い、経済に陰りが見えてきた韓国では、国を挙げたベンチャー企業の育成支援が急ピッチで進められている。支援ぶりは手取り足取りの「尋常じゃないほど手厚い」内容で、育成スピードも重視する、「促成栽培」だ。その中身とは。
韓国科学技術研究院(KIST)の敷地にある韓国技術ベンチャー財団。ここでは、ベンチャー企業が技術を海外に輸出していくためのあらゆる支援を行っている。
「うちのようなベンチャー企業が、海外へ進出するために必要な支援をたくさんしてくれた。そのおかげで日本でも製品を発売することができた」。そう語るのは、歯科材料メーカー「BioMTA」のユン・ソックウン副社長だ。
BioMTAは、歯科医であるユ・ジュンサン社長と建築資材メーカーに勤務していたユン副社長が、1999年に創業。歯科医院で虫歯などを処置する際に神経を覆うための素材などを開発し、販売している。
さらにBioMTAの製品は、重金属を含まず、社長自らが患者に薦めたいと思うような安全な素材からできている。「世界の歯科医にもこれを使ってもらいたい」との思いから、米国や日本でも顧客を増やそうとした。
だが、社長や副社長は、海外進出のための人的ネットワークはなく、法的な手続きも分からなかった。そんなときに救いの手を差し伸べたのが、「韓国技術ベンチャー財団」だ。
2013年から支援を始め、日本市場の調査に始まり、バイヤーの発掘から、日本企業との引き合わせ、厚生労働省への申請、「医療機器等外国製造業者」の登録申請などを一貫して財団が引き受けた。まさに“手とり足とり”の支援といえる。
それから2年後の2015年春、BioMTAの製品は、日本の歯科材料の有力企業であるモリタを通じた販売にこぎつけた。
「日本の歯科領域の市場は韓国の2〜3倍もあり魅力的だ。進出を財団に支援してもらい、非常に心強かった。今後は、日本でも積極的に新製品を送り込みたい」とユン副社長は話す。
韓国技術ベンチャー財団は、韓国経済を震撼させた1997年の金融危機から2年後の1999年に発足した。当初は韓国科学技術研究院(KIST)で生まれる技術の事業化を目的としていたが、ベンチャー企業への支援の機能も加わり、現在では、高い技術力を持つ企業を海外に売り込んでいく老舗組織となった。
本部はソウルの中心部から車で30分ほどのKISTの敷地内にあり、起業したばかりなどの事情でオフィスのない企業なら、50〜71平方メートルの個室を使うことができる。こうした個室は「保育室」と呼ばれ、50室以上ある。ここで企業は、KISTの実験・評価装置などを使うことも可能だ。
このほかにも、様々な組織が韓国のベンチャー企業の海外進出を手厚く支援している。
政府機関の未来創造科学部の外郭団体「K-ICTボーンツーグローバルセンター」はその一つ。2013年9月に設立され、弁護士や会計士など起業や海外展開に必要な知識を持つスタッフ21人が常駐し、彼らとつながりがある外部の専門家も支援する。
事業計画書の作成に始まり、海外進出に必要な法的手続きのノウハウ、ビジネススキルを、こうした専門家が起業家に叩き込む。事業や将来性を投資家たちへ分かりやすく伝えるためのスライド作りや、英語のプレゼンテーションを3分でまとめる方法など、センターの専門スタッフが起業家へ、事細かに伝授する。まるで国営の「起業家養成塾」のようだ。
シリコンバレー、シンガポール、東京、北京、アムステルダム…。センターはほぼ毎月、起業家を連れて各国を回り、投資家や現地企業のパートナー候補と引き合わせている。
センターが発足した2013年9月から1年半あまりで、支援したベンチャー企業数は470社以上になる。2014年の1年間でリーアンドカンパニーのように海外でのビジネス展開に至ったのは97案件だ。投資家からの支援に結び付いた事例は57案件で、金額は550億ウォンに達した。
こうした支援に加えて、昨年には政府主導の新たな育成プロジェクトも動き出した。中核になるのは、パク政権が「Creative Economy(創造経済)」を旗印に立ち上げた、創造経済革新センターだ。全国17の地方自治体で、サムスン電子、ロッテなど財閥がそれぞれの地域を担当、現地の有力ベンチャー企業を発掘して支援していく。
ある財閥関係者は、「大企業の利益を中小企業に配分していくというコンセプトは理解できるが、はたして意味あるものが生まれるかどうか」と懐疑的だ。以前から独自にクラスターを作っている財閥もあり、政府が音頭を取って行う必要があるのかという声も聞こえてくる。しかし、財閥の経営が揺らぐ中で、ベンチャーをゆっくり育てている余裕はなく、ありとあらゆる手段を使わざるをえないという事情もあるようだ。
このコラムについて
韓国 脱財閥へのもがき
韓国経済を支え、世界を舞台に急成長してきた財閥が今、もがいている。原因は、ウォン高や頼みの綱だった新興国経済の低迷だけではない。独裁型経営や、既にある技術の組み合わせといった「強み」が通用しなくなったのだ。 スマートフォンの売れ行きが鈍り、収益も伸び悩むサムスン。崩壊し始める中堅財閥。一方で、産業構造が大きく転換する中、これまでにないような革新も生まれている。続々と世界を目指す新興企業。そこからサムスンの次を担う企業は現れるのか。そして、日本企業は変貌する韓国とどう向き合えばいいのだろうか。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150514/281127/?ST=top
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