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中国の締め付けか?様子がおかしい北朝鮮 「属国」の核開発に中国は怒り心頭
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150511-00043729-biz_jbp_j-nb
JBpress 2015/5/11 12:09 川島 博之
北朝鮮の様子がおかしい。金正恩が、ロシアで行われる対独戦勝利70周年記念式典への参加をキャンセルした。15人もの高官を処刑したとのニュースも伝わる。
その背景にはなにがあるのだろう。北朝鮮について信頼性が高い情報は少ないが、ここでは比較的客観性が高い中国と北朝鮮の交易額から、北朝鮮が置かれた状況を探ってみよう。
■中国との交易額、ミャンマーが北朝鮮を突き放す
ソ連が崩壊して以来、北朝鮮の最大の貿易相手は中国である。そのために中国との交易を見れば、北朝鮮の経済がどのような状況にあるのか推察できる。北朝鮮は中国と貿易額を発表していないが、中国側には比較的信頼できる統計がある。
中国と北朝鮮との交易額(輸出額+輸入額)を図に示す。この図には比較のために、中国の周辺にある貧しい国々ミャンマー、カンボジアをも加えた。ものごとは、比較して見ると、その本質がよく分かる(注:北朝鮮についてはネット情報によって2014年の値も付け加えた)。
中国と北朝鮮との交易額はカンボジアよりは大きいものの、ミャンマーには大きな差をつけられてしまった。2011年以降、その違いは顕著だ。この3カ国の中国からの輸入額は、輸出額よりもはるかに多い。3カ国は慢性的に中国との貿易で赤字を抱え込んでいる。経済を維持するために中国から多くのものを買わなければならないが、国内に売るものが少ないために赤字になっている。まあ、中国に首根っこを押さえられていると言ってもよい。
北朝鮮と中国の交易額は2012年頃から伸び悩んでおり、その勢いはミャンマーやカンボジアとは大きく異なる。金正日の時代は中国と北朝鮮の関係は緊張関係もあったものの、まずまず良好であった。そのことは、2011年まで交易額がミャンマーなどと同様に順調に伸びていたことからも分かる。しかし、2011年12月に金正日が亡くなり、その後を金正恩が継ぐと冷却化してしまった。そのことは図からはっきり読み取ることができる。
金正恩は2013年12月に義理の叔父である張成沢を処刑した。その理由についていろいろと言われているが、張成沢と中国との関係が深かったと伝えられることから、金正恩の中国に対するいらだち立ちが処刑という悲劇を招いたのだろう。
2011年以降もミャンマーやカンボジアは中国との交易額を増やしている。中国との交易はミャンマーやカンボジアの経済発展に大きく貢献している。しかし、北京に疎まれた北朝鮮は中国との交易額を増やすことができない。
■北朝鮮の核開発に怒り心頭な中国
中朝関係が冷え込んだ最大の原因は北朝鮮の核開発にある。北朝鮮の核開発に対して最も怒っているのは韓国でも米国でも日本でもない。中国である。
歴史的に中国は朝鮮半島を属国としてきた。その属国が核兵器を持つことによって、中国と対等な立場に立とうとしている。中国にとっては許せない暴挙である。
北朝鮮は、米軍が駐留する韓国との緩衝地帯である。中国としては、北朝鮮が崩壊して韓国に併合されても困るが、核大国になってもらっても困る。中国の冊封体制の中で控えめに生きて行ってほしい。これが本音である。
ただ、韓国との間にどうしようもない経済格差がついてしまったために、2発か3発の小型核弾頭を作って、戦力の均衡を保つことは仕方がないと思っている。しかし、報道されているように、調子に乗って20発もの核弾頭を保有するようになるというのなら話は別だ。北朝鮮がテポドンなど核弾頭が搭載可能なミサイルの開発に熱心なことも快く思っていない。東京が射程内に入るというのなら、北京も射程内に入るからだ。冊封体制下の属国が核兵器を作って宗主国を脅かすとはどういうことだ。北京は怒り心頭である。
一方、朝鮮半島に住む人々は歴史的に中国の影響力を排除することに腐心してきた。北朝鮮の心の中の敵は中国である。だから、韓国、米国、日本をターゲットにするなどと言いながら核開発を開発し、その核兵器を中国にちらつかせることによって、中国に対して少しでも有意な立場を築こうとしている。
中国はそんなことは、とっくにお見通しだ。怒りが収まらない。その中国の意思は図に明確に表れていると思う。2014年を見ると、交易額を増やさないどころか減らしている。北朝鮮の貿易相手は中国ぐらいである。中国との交易を増やすことができなければ、北朝鮮経済の発展は遅れることになる。
■中国のトラの尾を踏んでしまった
昨年あたりから、明らかに北朝鮮の様子がおかしい。金正恩の動静が伝えられなくなったこともある。そして今回の高官15人処刑のニュースである。
北朝鮮の高官、特に経済関係の官僚は、なんとか事態を改善したいと思っているはずだ。確証はないが、高官15名は金正恩を排除して新たな親中政権を樹立しようとする動きに加担したのではないか。または、そのようなことに関与したことを疑われたのだろう。
金正恩は自分が排除される危険を察知したために、高官を大量に処刑した。ロシアを訪問できないのも政権基盤が揺れているためと思われる。
いずれにせよ、北朝鮮の経済はミャンマー、カンボジアといったアジアの最貧国とそれほど変わらない水準にあり、このままの状態が続けば、自分より格下に見ていたミャンマーやカンボジアに抜かれる日も近い。北朝鮮は宗主国である中国のトラの尾を踏んでしまったようだ。
図を見ていると、金正恩体制が長く続くことはないと思う。まだ若いのに金正恩は痛風で歩けない時があるそうだ。ストレスの中で暴飲暴食しているのだろう。それは彼の父親である金正日も同じだった。医師団に囲まれていながら、金正日は意外に短命だった。
北朝鮮が核開発に固執すれば、米国ではなく中国の意思によって、金正恩体制はそれほど遠くない時期に崩壊すると思う。図はそれを明瞭に示している。
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