http://www.asyura2.com/15/asia17/msg/312.html
Tweet |
メコン工業地域、つながる供給網
タイ・カンボジア・ベトナムに「回廊」 豊田通商、要衝に団地
タイ、カンボジア、ベトナムをつなぐ国際幹線道路「南部経済回廊」に沿って工業地域の連携が始まった。豊田通商はカンボジアのタイ国境沿いの町ポイペトで工業団地の開発・運営に乗り出し、3カ国間のサプライチェーン(部品供給網)構築を目指す企業もある。インフラ拡充も進む見込みで、産業集積地として「メコン工業ベルト」の存在感が高まりそうだ。
タイ国境から20分。赤茶けた大地で重機が土ぼこりをあげる。カンボジアと日本の合弁会社サンコー・インベストメントが造成するサンコー・ポイペト経済特区だ。
この特区で豊田通商が造る初の日系工業団地「テクノパーク」は敷地約2万平方メートル。2015年中に建屋を建設し、17年までに順次増設する。タイからの供給で電力を安定確保できる強みを生かし、主にトヨタ系の自動車部品・素材メーカーを誘致する。豊通は従業員向け給食やワーカー派遣などで中小企業にも進出を促し、20年をメドに10社以上の誘致と売上高100億円超を目指す。
トヨタ第2工場
メコン地域では、11年のタイ大洪水を機に水害の影響の少ないタイ東部やカンボジアへの生産移管が広がった。タイの人件費上昇や人手不足も一段の分散を促している。
「国境に近い理想的な立地」(豊通)とされるポイペトには、日本電産が12年にタイからハードディスクドライブ(HDD)向けアルミ鋳造部品の生産を一部移管。将来は5千人体制を見込む。自動車部品のニッパツも15年3月、自動車シート用縫製部品の工場建設を発表した。トヨタ自動車が13年に稼働したタイ東部のゲートウェイ第2工場は、ポイペトまで車で約2時間の距離だ。
より広範囲のサプライチェーンを探る動きもある。カンボジアは労働集約型生産に適し、ベトナム南部は電子・精密機器メーカーが多く、港湾もある。タイとの連携で多彩な分業が可能だ。
デンソーは2月、約1900万ドル(約23億円)を投じプノンペン郊外にレンタル工場に代わる本工場の建設を始めた。自動車・二輪車部品生産を16年3月に開始予定だ。既存工場はタイと連携した2国間分業体制をとっていた。新工場はベトナムからも原材料や部品を調達。オイルクーラーなど高付加価値製品で3カ国での分業体制を担う。
橋・道路整備進む
物流インフラの整備加速も連携を後押しする。4月にカンボジア東部区間のネアックルン橋が開通予定で、車で7〜8時間かかったプノンペン―ホーチミン間の移動は3時間程度に短縮される見通し。カンボジア区間では片側2車線への拡幅も進み、同区間の高速道路計画もある。
「ジャスト・イン・タイム」の物流網実現に日系企業も動く。近鉄エクスプレスは4月、タイのプラチンブリ県に物流センターを開設し、国境を越えた需要を取り込む。双日ロジスティクスは3月からカンボジア―タイ間の定期混載輸送サービスを開始。日本通運も昨年1月からカンボジアの現地物流会社との合弁で拡大の手を打っている。
東京=伊藤学、名古屋=二瓶悟、バンコク=京塚環
[日経新聞3月31日朝刊P.9]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。