http://www.asyura2.com/14/warb14/msg/895.html
Tweet |
コラム:「第3次レバノン侵攻」は不可避か
2015年 02月 6日 09:46 JST
Michael Williams
[4日 ロイター] - 2006年のレバノン侵攻以来、平和を保ってきた同国のイスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエルの関係が今、急速に悪化している。停戦が長らく守られてきたが、2週間前に事態は急変した。
ヒズボラとイスラエルの緊張は現在、06年の侵攻後で最高潮に達している。イスラエルのリーベルマン外相は2日、3度目のレバノン侵攻は不可避だと発言した。
イスラエル軍のヘリコプターが先月18日、シリア南部クネイトラ県のゴラン高原で車列を空爆し、ヒズボラの戦闘員6人を殺害した。そのうちの1人は、ヒズボラのムグニエ元司令官の息子だった。ワシントン・ポスト紙は先週、ムグニエ元司令官はイスラエルと米国の情報機関が関わる作戦で暗殺されたと伝えている。
イスラエル側は、ヒズボラがすぐに報復してこないことを期待していたに違いない。だが、ヒズボラはその10日後、レバノンとイスラエルの国境付近でイスラエル軍の車両を攻撃、イスラエル兵2人が死亡した。
イラン、ヒズボラ、イスラエルの関係は現在、重要な過渡期にある。
イスラエルにとって懸念すべきは、過去数週間でヒズボラとイランが関係を深めていることだ。ヒズボラがイスラエル軍を攻撃した前日、ヒズボラの指導者ナスララ師は、イラン革命防衛隊の精鋭コッズ部隊を率いるスレイマニ司令官と会談している。2人はこれまでに何度も会っているが、公表されたのは今回が初めてとなる。
そのことを考慮すれば、今回の会談はいっそう注目に値する。スレイマニ司令官は、イスラエル軍に殺害されたヒズボラの戦闘員に敬意を表し、ムグニエ元司令官の息子の墓を訪れた。
ヒズボラはまた、最近発表した声明の中で、国連の仲裁で守られてきた非公式な停戦をこれ以上認めないと宣言。これまで何年も守られてきた停戦という事実上の合意を暗に拒否したことを意味する。
ナスララ師は、適切だとみなされた場合はいつでも、ヒズボラは報復する権利があると強調。「戦争を仕掛けられれば、われわれはためらいもなく受けて立つ」と警告した。
当然、イスラエルのネタニヤフ首相も黙ってはいないだろう。ヒズボラは国連が画定した境界ライン(ブルーライン)からだけでなく、ゴラン高原でもイスラエルと戦うとナスララ師が宣言したことで、イスラエルの戦略的位置は危険なまでに悪化している。言い換えれば、イスラエルと戦うヒズボラの前線は、地中海からシリア国境にある係争中のゴラン高原まで拡大したことになる。
イスラエルはそのような脅威を放っておけないだろう。それに、自国の兵士、とりわけ中堅の軍人が殺害されて、イスラエルが報復にひるむわけがない。
とはいえ、ネタニヤフ首相の選択肢は限られている。ヒズボラへのさらなる攻撃は、06年のレバノン侵攻を凌ぐほど大規模な戦争へとつながる恐れがある。加えて、イスラエルは3月17日に総選挙を控えている。その点においても、ネタニヤフ首相は戦争に巻き込まれたくないと考えているかもしれない。
それでもイスラエルには追い風が吹いている。06年のレバノン侵攻時とは違い、ヒズボラはイスラエルとの戦いにおいて、アラブ諸国からそれほど支持を得られないだろう。スンニ派とシーア派の派閥対立が深まるなか、シリアのアサド政権を支持するヒズボラに対してイスラエルが攻撃したとしても、それをとがめるアラブの国はほとんどないだろう。要するにヒズボラは、危険なゲームに興じているのだ。
*筆者は、国連中東特別調整官や同レバノン特別調整官などを務めた経歴を持つ英国の元外交官。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0LA02D20150206?rpc=188
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。