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サウジアラビアは原油相場を暴落させることでロシアのウラジミル・プーチン大統領を揺さぶり、シリアのバシャール・アル・アサド政権に対する支援を止めるように要求してきたとニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。
この話はアメリカやサウジアラビアの高官からえた情報だというが、ロシア政府はその報道を否定している。サウジアラビアが原油価格を引き上げる代わりにロシアはアサド大統領に対する支援を停止するという提案がサウジアラビアからあったという事実はないという。
ロシアへの未確認ということはさておき、ニューヨーク・タイムズ紙の記事には大きな問題がある。金融/投機が肥大化した現在、相場を主導しているのは現物の需給関係ではなく、先物などペーパーの取り引きであり、原油相場の下落もサウジアラビアではなく、ウォール街が主導している可能性が高い。ウォール街が「主」でサウジアラビアが「従」ということだ。ロシアもそうした事情は熟知しているはずで、サウジアラビアと相場について話し合うというストーリーにリアリティがない。やはり、ニューヨーク・タイムズ紙は信頼度の低いメディアだ。
2003年にアメリカがイギリスなどを引き連れてイラクを先制攻撃した際、アメリカ政府は偽情報を発信していたが、それを世界中へ広める役割を果たしたのが有力メディア。ニューヨーク・タイムズ紙のジュディス・ミラーは象徴的な存在で、殺戮と破壊で中東をカオスの世界にした責任は免れない。
昔から有力メディアは支配層のプロパガンダ機関だが、第2次世界大戦後、アメリカでは情報操作プロジェクトが始動している。いわゆる「モッキンバード」で、中心には大戦中から戦後にかけてアメリカの破壊活動を指揮、CIA長官にもなったアレン・ダレス、ダレスの側近だったフランク・ウィズナーとリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだ。ワシントン・ポスト紙が有力紙と呼ばれるようになったのは、この人脈によると言われている。
勿論、このプロジェクトは4名だけで推進することは不可能。CBSの社長だったウィリアム・ペイリー、TIMEやLIFEを発行していたヘンリー・ルース、ニューヨーク・タイムズの発行人だったアーサー・シュルツバーガー、クリスチャン・サイエンス・モニターの編集者だったジョセフ・ハリソン、フォーチュンやLIFの発行人だったC・D・ジャクソンなど多くのメディア関係者の名前が挙がっている。ちなみに、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺の瞬間を撮影した「ザプルーダー・フィルム」に関する権利をすべて買い取り、倉庫に隠したのはC・D・ジャクソンだ。
モッキンバードの最高指揮官だと見られるダレスはウォール街の大物弁護士として有名だが、ウィズナーも同じようにウォール街の弁護士。ヘルムズの祖父にあたるゲイツ・ホワイト・マクガラーは国際的な投資家であり、グラハムの義理の父、ユージン・メイアーは世界銀行の初代総裁。つまり、4名とも金融界と深く結びついている。CIAとはそういう組織だということであり、有力メディアはそうした人脈の影響を受けているということでもある。
ところで、アメリカやサウジアラビアがシリアの体制転覆に執着している理由の第1は1991年にネオコン/シオニストが立てた計画にある。ソ連の消滅でアメリカを「唯一の超大国」と認識した彼らは自分たちに服らはない国々を制圧しようと考え、国防次官だったポール・ウォルフォウィッツはシリア、イラン、イラクを殲滅すると口にしたのだ。翌年、そのプランに基づいていDPG(国防計画指針)の草案が作成された。
調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年3月5日付けニューヨーカー誌に書いた記事によると、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを倒す目的でアメリカ、サウジアラビア、イスラエルが秘密工作を始めたと書いている。その手先として動いているのがアル・カイダ系の武装集団で、その中にはIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)も含まれている。
ペルシャ湾岸の産油国はパイプラインの建設に絡んでシリアを制圧したいという欲望があり、イスラエルはナイル川から北はユーフラテス川までを支配するという「大イスラエル構想」を持っている。地中海東岸で発見された天然ガス田に目をつけている勢力も存在する。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。
シリアの体制転覆にもたつき、ISを編成してシリアへ投入する準備が始められた2012年、アメリカのバージニア州で開催されたビルダーバーグ・グループの会議でロシアの体制転覆、つまりプーチン大統領の排除について話し合われたという。
2013年9月にヤルタで開かれた国際会議でも同じ問題が話し合われ、その2カ月後の11月にウクライナのキエフで反政府活動が始まる。原油相場も下がり始めた。2014年9月には紅海の近くでアメリカのジョン・ケリー国務長官とサウジアラビアのアブドラ国王が秘密裏に会談している。相場について話し合われた可能性はあるが、シリアでの空爆について話し合われたとする情報もある。
ネオコン/シオニスト、イスラエル、サウジアラビアはシリアやイランを殲滅するという1991年以来のプランを実現しようと必死で、ISを使って主導権を握ろうとしている。その最大の障害がロシアだが、そのロシアが消えるという情報を流し、「反シリア勢力」を拡大しようと思い、ニューヨーク・タイムズ紙を使って情報操作している可能性がありそうだ。
石油相場を左右するのは現物の需給ではなくペーパー取り引きで、露国とサウジが話し合う意味は小 櫻井ジャーナル
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/
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