01. 2015年2月07日 21:55:22
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櫻井ジャーナル2015.02.04 http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201502040000/ サウジの新国王はアルカイダと関係が深いと言われ、イランと話し合うオバマ政権との間にすきま風 サウジアラビアの新国王、サルマン・ビン・アブドルアジズ・アル・サウドは少なくとも2010年頃から高齢で病気の国王に代わって政務を執ってきたと言われている。重要事項の決定は国王の独断で決められるわけでないこともあり、今回の国王交代でサウジアラビアの政策が大きく変化することはないと見る人は少なくない。
しかし、サルマン国王が大きな問題を抱えていることも事実。さまざまな慈善団体などを通じてアル・カイダへ資金を供給していたと言われ、息子のアーメド・ビン・サルマンは2001年9月11日にあったニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)への攻撃を事前に知っていたとも言われている。もっとも、この「9/11」はアメリカのCIAやFBIだけでなく、各国の情報機関から攻撃の前に警告があったわけで、サウジアラビアの情報機関も知っていて当然だが。 何度も書いてきたが、アル・カイダについてイギリスのロビン・クック元外相は、CIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル、つまり傭兵の登録リストだとイギリスのガーディアン紙で説明していた。http://www.theguardian.com/uk/2005/jul/08/july7.development ★アル・カイダとはアラビア語で「ベース」を意味するが、これを「基地」でなく「データベース」と理解すべきだということだ。 この「ムジャヒディン」をCIAが編成した目的はソ連軍との戦争にあった。1977年にアメリカではジミー・カーター政権がスタート、国家安全保障補佐官に就任したズビグネフ・ブレジンスキーはソ連軍をアフガニスタンへ引きずり込むという計画を立てた。 すでに1973年からアメリカ政府はアフガニスタンの反体制派を支援しはじめ、1975年にはイスラム勢力が蜂起したが失敗していた。1976年にはアフガニスタンのモハメド・ダウド政権はイランやパキスタンの仲介でアメリカに接近、78年にCIAとイラン(王制)の治安/情報機関SAVAKはエージェントを派遣し、軍隊の中で左派の将校を排除し、人民民主党を弾圧するように工作した。 ところが、この工作が裏目に出たのか、ダウド政権はクーデターで倒されてモハメド・タラキが実権を握るが、国内は安定しない。そこで1979年3月にタラキはソ連を訪れてソ連軍の派遣を要請するが、断られている。戦争の泥沼化を予想してのことだった。 その翌月、ブレジンスキーはNSCでアフガニスタンの「未熟な抵抗グループ」への同情を訴え、CIAはゲリラへの支援プログラムを開始した。4月にCIAイスタンブール支局長がアフガニスタンの反体制リーダーと会談しているが、セッティングしたのはパキスタンの情報機関ISIだった。 7月にカーター大統領はイスラム武装勢力に対する秘密支援を承認し、9月にハフィズラ・アミンが就寝中のタラキを暗殺してクーデターを成功させた。アミンとCIAとの関係を疑ったKGB(ソ連国家安全保障委員会)は特殊部隊を派遣、12月にはソ連軍の機甲部隊がアフガニスタンへ軍事侵攻した。 後にフランスのヌーベル・オプセルヴァトゥール誌はこの秘密工作についてブレジンスキーに質問したが、それに対して戦争を始めたことを後悔していないとした上、「秘密工作はすばらしいアイデアだった」と答えている。ジミー・カーター大統領に対し、ソ連に「ベトナム戦争」を贈呈する機会が訪れたと伝えたともいう。(Le Nouvel Observateur, January 15-21, 1998) この工作でアメリカはイスラム武装勢力を編成、資金や武器を提供し、戦闘員を訓練したわけだが、その戦闘員の「データベース」がアル・カイダだとクック元英外相は説明している。http://www.theguardian.com/uk/2005/jul/08/july7.development ★この事実を明らかにした翌月、クックは保養先のスコットランドで心臓発作に襲われて死亡した。享年59歳。こうした戦闘員のリクルートにサルマン新国王も協力していたとされている。 「9/11」を利用してアメリカ政府は2003年にイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒した。アル・カイダ系の武装集団を弾圧していたフセインが排除されたこともあり、2004年にイラクでもアル・カイダ系のAQI(イラクのアル・カイダ)が組織された。この武装集団が中心になり、2006年に編成されたのがISI(イラクのイスラム国)。 2007年には調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュがニューヨーカー誌に興味深い記事を書いている。http://www.newyorker.com/magazine/2007/03/05/the-redirection アメリカ、イスラエル、サウジアラビアがシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラがターゲットにした秘密工作を始めたというのだ。手駒としてアル・カイダが使われるのは必然だった。 2011年に地中海沿岸の国々で体制転覆を目指す運動が激しくなり、リビアやシリアでは武装闘争になった。その背後にアメリカ/NATOやペルシャ湾岸の産油国がいたのだが、イスラエルも支援していた可能性が高い。 シリアで反政府軍が劣勢になる中、2012年にはヨルダン北部に設置された秘密基地でCIAや特殊部隊がイスラム武装勢力の戦闘員を訓練したと伝えられている。ISIは活動範囲をシリアへ拡大、IS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)と呼ばれるようになった。このISの雇い主と言われているのがサウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子だが、その背後にはサルマン新国王もいるということのようである。 アメリカ/NATOやペルシャ湾岸の産油国はシリアの体制を転覆させるため、バシャール・アル・アサド政権を悪魔化する偽情報を流したものの、嘘が発覚、化学兵器を使ったという宣伝も嘘だということが明らかになり、西側諸国の直接的なシリア空爆は実現しなかった。途中、ミサイルをシリアに向かって発射したのだが、途中で海に落ちている。これはジャミングで落とされたとも言われている。ここにきてサウジアラビアは石油相場を引き上げるのと引き替えにシリアから手を引くようにロシアへ提案したという話が流れているが、これは実現しそうにない。その間、ロシアとイランは軍事同盟を締結した。 今のところ、シリアを直接、攻撃しているのはイスラエル。事実上、ISを支援している。2013年9月には駐米イスラエル大使のマイケル・オーレンが、シリアのバシャール・アル・アサド体制よりアル・カイダの方がましだとエルサレム・ポスト紙のインタビューで語っている。http://www.jpost.com/Features/Front-Lines/Diplomacy-Obama-passes-the-kishka-test-326570 シリア、イラン、イラクを殲滅すると国防次官だったポール・ウォルフォウィッツが口にしたのは1991年のことだった。https://www.youtube.com/watch?v=TY2DKzastu8 言うまでもなくウォルフォウィッツはネオコン/シオニストの大物で、このプランはネオコン全体のものだと言えるだろう。 イラクはすでに破壊、残るはシリアとイランなのだが、バラク・オバマ政権はシリア空爆を中止、イランとは話し合いの姿勢を見せている。これの怒ったのがネオコン、イスラエル、サウジアラビア。「三国同盟」の内部にすきま風が吹き始めているのだが、そこにアル・カイダと関係が深いと言う人物がサウジアラビアの国王に即位した。1月27日にバラク・オバマ大統領が急遽、サウジアラビアを訪れた一因はこの辺にあるのかもしれない。 ーーーーーーーーーーーーーーー 関連記事 2014.06.23 http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201406230001/ イラクの都市を制圧し始めたISISの黒幕はサウジの王子だが、資金の提供者は巨大石油資本との情報 カテゴリ:カテゴリ未分類
イラクの都市、ファルージャとモスルを制圧したISIS(イラク・シリアのイスラム国、ISIL/イラク・レバントのイスラム国やIEIL/イラク・レバントのイスラム首長国とも表記)の背後にアメリカ、サウジアラビア、イスラエルの「3国同盟」が存在していることは本ブログでも書いたが、その「3国同盟」がISISを動かしている目的は石油だという見方がある。 ISISが制圧を目指すとしている地域が1916年にイギリスとフランスとの間で結ばれた「サイクス・ピコ協定」と重なるとも指摘したことがあるが、つまり石油利権が絡んでいる可能性があるということ。この協定自体、石油利権の取り分を決めて争いを避けることが目的だった。 かつて、イランのムハマド・モサデク政権がAIOC(アングロ・イラニアン石油、現在のBP)の石油施設を国有化した際、米英両国の支配層はクーデターの準備をすると同時に石油を輸出できないように手を打っている。 ところが、ISISはシリア北部やイラクの占領地で押さえた石油施設で生産される原油を売却してカネにしている。つまり、巨大石油企業がISISの石油を買っていて、それを「西側」の支配層が許可しているのだ。その企業とはARAMCOだという。 http://www.voltairenet.org/article184382.html この会社は第2次世界大戦が始まった後、SOCAL(スタンダード石油カリフォルニア)、テキサコ、スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー、ソコニー・バキューム(後のモービル)が出資して作った会社で、その重役の多くがCIAとつながっていることでも有名だ。 ISISはサウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子が動かしていると言われているが、資金を出しているのは、そのARAMCOだという。つまり、CIAが関係している疑いが濃厚。「サウジアラビアの増産」をカモフラージュにしてISIS/ARAMCOは石油を売っている可能性があるとうわけだ。その石油がウクライナへ流れると見ている人もいる。「3国同盟」はイランやシリアの体制を転覆させ、自分たちの傀儡国家を作ろうとしているわけで、シリアへ供給していた石油をISISは止めるとも言われている。 イラクの将軍たちがISISと戦わず、都市を明け渡した理由もこの辺にありそうだ。全ては「金目」なのかもしれない。ISISにしても戦っているのはカネで雇われた傭兵。何度も書いているが、「アル・カイダ」とは戦闘員の「データ・ベース」だ。戦乱で仕事がなくなっている中東では「成長産業」なのだろう。傭兵は契約が終われば組織を離れるわけで、そうした人びとが何をするかはその人の勝手。母国へ帰って個人的、あるいは別の組織で戦闘を続ける可能性もある。
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