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「ヨルダンがなぜ死刑囚の釈放に応じなかったか?:西谷文和氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/16510.html
2015/1/31 晴耕雨読
残念ながら、ヨルダンはリシャウウイ死刑囚と後藤さんの交換に応じなかった。
そしてあのトルコ国境のシリア側タルアブヤドの門を閉めたようだ。
現地はまだ深夜。
そして今日は金曜日。
朝になり礼拝が終わらないと、事態は動かないだろう。
ヨルダンルートの交渉は行き詰まる可能性が高い。
今からでも軸足をトルコに移して、エルドアン大統領の指示で、交渉に臨むべきだろう。
トルコの持っている人質との交換、自由シリア軍との何らかの妥協、協定などを条件に、後藤さんの安全確保をめざすというルートも作るべきだ。
ヨルダンがなぜ死刑囚の釈放に応じなかったか?
パイロットが生きているかどうか確認が取れなかった、と言っているが、その他の理由として、親族などを中心とした王室への抗議デモがあると思う。
国王に対する反発が珍しい国。
しかし「米国、イスラエルと協力する国王」に潜在的な反発心がある。
だから一度火がつけば、王室の独裁体制が揺るぎかねない。
リビアのように。
死刑囚と後藤さんの交換だと、国民の不満は収まらない。
だから死刑囚は出せない。
パイロットとの交換なら不満は出ない。
しかしイスラム国は絶対にパイロットの解放には応じない。
⇒ それで時間切れ。
ヨルダン国民の60%ほどがパレスティナ難民で、ヨルダン人の方が少ない。
イスラエルはパレスティナの人々を虐殺してきた。
そんな米国&イスラエルに協力するのは許せない。
だから国王のやり方に面従腹背。
そんな国民が多い。
だから一度、体制批判に火がつけば、大変なことになる。
ヨルダンの事情
逆に言えば、イスラム国側の狙いはヨルダンの体制を揺るがすこと。
そうすれば空爆が減る。
もしヨルダンの王政が崩れれば、同じく親米の独裁国家サウジやクエートなどに波及するかも。
だから米国は絶対に譲れない。
だから死刑囚を出せない。
なので、ヨルダンルートよりトルコルート。
米国はサウジメッカのハーシム家などの王様を、ヨルダン、イラクの王様にした。
イラクは軍事クーデターで倒されバース党政権になりフセイン独裁になった。
ヨルダンは倒れなかった。
資源のないヨルダンは、米国の傘に入るしかなかった。
そして中東戦争。
PLO支持者とヨルダン軍で内戦になったことも イスラム国の前身、イラクのアルカイダのリーダーがザルカウィ。
アンマンから車で1時間ほど、「ザルカタウン」といわれる小さな街の出身。
10年前、ザルカウィの生家を取材したことがある。
古い小さなアパートだった。
貧しい町の青年がアルカイダに引かれ、ビンラディンの元に走った。
その後ザルカウィはビンラディンの下で戦っていたようだが、仲間割れ。
アルカイダは米国などの遠い敵を対象にしたが、ザルカゥイはシーア派、在イラク米軍など「近い敵」を対象にした。
イラクをスンニ、シーアの内戦に持っていったのは、ザルカゥイの一連のテロだ。
結果、イラク戦争は延々と続いた ビンラディンは、米国CIAがアフガンに送り込んだ。
侵略者ソ連と戦うために。
ザルカゥイはイラク内戦の引き金を引いたので相対的に米軍は安全になり、なおかつ「テロとの戦い」を続けることができている。
ビンラディンのアルカイダも、ザルカウィのイスラム国も「結果として」軍産複合体が喜んでいる
本日朝に入った情報によると、イスラム国は新たにノルウェーの人道支援活動家を拘束した模様。
それも、人質交換が予定されたシリア側の街で。
今後のノルウェー政府の対応に注目したい。
現地からの情報によると、交渉期限である日没後、タルアブヤド(人質交換が予定されていたシリア側の街)の丘の上に、イスラム国の兵士が現れ、(トルコ側から見える)兵士が大きく手を横に振り、タイムリミットだ、という意思表示をした。
その後、国境は閉ざされた。
パイロットは?
おそらくヨルダンルートはかなり厳しい。
日本は水面下でトルコに依頼しているようだが、公式に依頼すべきでは?
トルコルートで交渉しなければ長引くと思う。
もちろんヨルダンルートも残した上でのことであるが。
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