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人質に取る後藤健二さんを通じて「最後のメッセージ」を出させた過激組織「イスラム国」が、親米国家ヨルダンの不安定化を狙う姿勢を鮮明にしてきた。内戦で「権力の空白」が生じたシリア北東部とイラク北西部で国家樹立を宣言したイスラム国が版図拡大を狙うとしたら、次の標的はヨルダンになるとの見方が有力だ。
イスラム国は、後藤さんとヨルダンが収監するイラク人テロリストの女死刑囚との「1対1の捕虜交換」を迫ることで、イスラム国が人質に取るヨルダン人操縦士を見捨てたとの印象をヨルダン国民に抱かせ、くすぶる王家支配への不満を拡大させる思惑があるようだ。
ヨルダンは治安機関の力が強く、テロ対策が徹底されているほか、国内の不穏分子の監視も行き届いているとされる。ただ、2011年の民主化要求運動「アラブの春」を受け、散発的にデモが繰り広げられた経緯があり、南部マアンでは昨年、イスラム国支持者による小規模なデモが起きたと伝えられる。
イスラム国を含めたイスラム過激派が描く版図は、アンダルシア(スペイン南部)から中国の一部である東トルキスタンといわれる。過激派にとってはかつてのイスラム地域にある「腐敗した政権」が聖戦(ジハード)の対象になる。特にイスラム国は、ヨルダンなどの誕生につながった英仏、ロシアが第1次大戦中の1916年に結んだオスマン帝国分割を約束した秘密協定、サイクス・ピコ協定を受けて誕生した主権国家の破壊をもくろんでいる。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2015012800569
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