05. 2015年1月27日 12:40:46
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今後のアフリカの経済成長が、どうなるかは興味深いなhttp://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42761 ナイジェリアとボコ・ハラム:アフリカの黒い旗 2015年01月27日(Tue) The Economist (英エコノミスト誌 2015年1月24日号) 政府がこの国の悪政と地域に蔓延する腐敗に対処しない限り、ジハード主義の武装勢力は倒せない。 ボコ・ハラム、「女子生徒は全員結婚した」 政府との停戦も否定 AFPが入手したイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」のビデオメッセージの一こま〔AFPBB News〕 「ボコ・ハラム」はアフリカの「イスラム国」になりつつあるのだろうか? 流血への飢えと領土制圧の野心という点では、ボコ・ハラムは確かにイラクとシリアのジハード(聖戦)主義者と似ている。 ボコ・ハラムは、ナイジェリアの貧しい北西部地帯でベルギーくらいの大きさの「カリフ統治領」を築いた。そして、イスラム国と同じように、植民地独立後の国境を越えてジハードを輸出している。 過激ではあるが概して政治的な運動として2002年に始まった動きが、特に2009年の強権的な弾圧以降、ジハード主義の反乱へと姿を変え、年々暴力的になっている。2014年4月、ボコ・ハラムはチボクという町から276人の少女を誘拐した。何人かは逃げ、何人かは死亡し、多くは奴隷に売られたか、戦闘員と無理やり「結婚」させられた。 近隣諸国にも広がる脅威 この反乱が今、他国に広がっている。1月半ば、80人のカメルーン人が誘拐された。チャドはカメルーンを支援するために部隊を派遣している。ニジェールとベナンも脅威を感じている。 17人を殺害したパリでのジハード主義者の襲撃に世界が激怒した週、バガというナイジェリアの町周辺で2000人もの人がボコ・ハラムに殺されたというニュースには、あまり関心が向けられなかった。ダブルスタンダードだとして西側のジャーナリストを非難する人もいるし、ニュースバリューについては妥当な議論ができるはずだ。 だが、こうした非難は、本当の非道な行為を見落としている。すなわち、ナイジェリア自身の指導者たちが、国内の大虐殺をあえて無視してきたことだ。グッドラック・ジョナサン大統領は、週刊紙シャルリエブドに対する襲撃をすぐさま非難したが、バガでの残酷な破壊行為について発言するまでに2週間近くかかった。 5年に及ぶ武力闘争――ボコ・ハラムはこれまでに約1万6000人を殺害し、約100万人の避難民を生んだ――について聞かれた時、ジョナサン氏は、ボコ・ハラムは国際問題の一部だと述べ、ナイジェリアだけでは対処できないとほのめかした。 だが、ジョナサン氏は責任を逃れることはできない。ボコ・ハラムは、何よりまず、ナイジェリアの破綻した盗奪的政治の産物であり、現在、それが近隣諸国をも不安定化させる恐れがある。 ナイジェリアのダマトゥルなどで襲撃 150人死亡 過激派が犯行声明 ナイジェリアのグッドラック・ジョナサン大統領〔AFPBB News〕 2月14日に選挙が行われる見通しでさえ、ジョナサン氏を奮い立たせることができずにいる。 皮肉なことに、ボコ・ハラムの成功はジョナサン氏の再選の可能性を高める。大統領の政治基盤は主にキリスト教徒の多い南部で、北部の反乱に悩まされずに好景気を享受しているためだ。 一方、ジョナサン氏の主要対立候補である北部出身の屈強な元最高軍事評議会議長、ムハンマド・ブハリ氏の勝算は、ボコ・ハラムが同氏の潜在的支持者の多くを追い出したことで打撃を受けている。 不運なナイジェリア このような脅威に対処するためのより協調的なアプローチが出てくる一時的な兆しはある。国連安保理は1月19日、地域の国々にイスラム主義勢力に対する取り組みで力を合わせるよう要請した。その翌日、西アフリカ諸国の高官らはニジェールで会合を開き、多国間の特別部隊の創設について話し合った。 そうした動きは心強いが、ナイジェリアが自国の問題に立ち向かう覚悟を決めない限り、統合軍は効果的ではないだろう。 決意を固めたナイジェリア政府にできることはたくさんある。第一に、ナイジェリアは十分な資金と装備を持つ、より順法精神の高い治安部隊を必要としている。 ナイジェリアは年間60億ドルを防衛と治安維持に費やしているが、上官が装具用資金をかすめ取ったり、下級兵の賃金を着服したりすることもあって、兵士は反抗したり、脱走したりすることがよくある。多くの市民は、ボコ・ハラムとほとんど同じくらい、規律のない軍や警察を恐れている。 組織的な汚職や悪政は、貧しい北部から連邦石油収入の取り分を奪ったり、北部の発展を妨げたりといった形でも、イスラム主義の急進化や民族対立を助長している。ジョナサン氏か同氏の後継者が反乱とその原因に対処し始めなければ、政府は自分たちが統治すべき国がないことに気づくかもしれない。 ナイジェリアの大統領選:原油安ショックで接戦に? 2015年01月27日(Tue) Financial Times (2015年1月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) ナイジェリア北東部の市場で無差別攻撃、30人死亡か 目撃者証言 原油安のショックやイスラム過激派「ボコ・ハラム」の勢力拡大に揺れるナイジェリアでは、2月14日に選挙が予定されている(写真はナイジェリア北部・マイドゥグリの市場)〔AFPBB News〕 大統領選挙が近々行われるナイジェリア。立候補しているムハンマド・ブハリ氏の戦いぶりには既視感がある。 ブハリ氏と言えば、31年前にクーデターでこの国の最高権力をつかんだ人物だ。アフリカ最大の石油産出国であるナイジェリアは1983年、今日と同様に、原油安ショックの渦中にあった。 原油急落のため国家の歳入は激減し、好況時に政府が膨張・腐敗していたこと、そして政治家が多額のオイルダラーを手にしていたことが明らかになった。 緊縮財政に魅力を感じたブハリ将軍(当時)はこれを導入し、「無規律との戦い」に取り組んだが、20カ月後にライバルの将校らの手によってトップの座を追われることになった。 落選し続けたブハリ氏に追い風か ナイジェリアが民政に移行した1999年以降、ブハリ氏は権力の奪回を目指して大統領選挙に3度出馬し、落選している。だが、この2003年、2007年、2011年の選挙はいずれも、世界の石油価格が急回復しつつあるかピークに近づいている状況下で行われたものだった。 今回は違う。アフリカ最大の経済大国・ナイジェリアは輸出の90%以上、および国家の歳入の70%を石油に頼っているため今年の見通しは厳しく、今回の大統領選はこれまでよりもはるかに拮抗した争いになる公算がある。 銀行業やサービス業、消費関連産業などが好況に沸き、経済が6〜7%というペースで安定的に成長していた時期には、ブハリ氏の禁欲主義的だという評価や、無駄遣いと汚職を一掃しようという主張は票につながらなかった。 今回は景気が下り坂であるため、政治家という階層の行き過ぎに歯止めをかけるべきだという主張――72歳の痩身の候補者ブハリ氏は今回、この点を訴えの中心に据えている――には、急を要することだという印象が以前よりも強く感じられる。投票結果にはこれ以外に民族、宗教、当選者が選挙後に支持者に配分する恩恵といった要因が大きく影響するとしても、だ。 選挙管理委員会は、有権者証の配布が遅れているものの、投票は予定通り2月14日に実施できるとしている。 また、ブハリ氏は軍を建て直し、同国北部で勢力を伸ばしているテロ集団「ボコ・ハラム」に対抗すると公約しているが、こちらも急を要することであるように聞こえる。 「自分の懐に打撃が及ぶと、人はそれまでよりも合理的になり、感情を抑えて決断するようになる。石油価格の下落は政府を、企業を、そして個人を直撃している。今の状況はブハリ氏に有利に作用する」。ナイジェリアの大都市ラゴスの投資会社、ファイナンシャル・デリバティブズのビスマルク・ルウェイン最高経営責任者(CEO)はこう指摘する。 ナイジェリア大統領、ボコ・ハラムとの「全面戦争」を宣言 グッドラック・ジョナサン大統領の現職の優位性は、ナイラ安とともに衰えている〔AFPBB News〕 現職のグッドラック・ジョナサン大統領にはこれと正反対のことが当てはまる、とルウェイン氏は言う。現職としての優位性は通貨ナイラの急落とともに衰えている。ナイラは先週月曜日、1ドル=190.45ナイラという史上最安値を付けた。 同氏はまた、ナイラ安はブハリ氏の地盤である貧しい北部だけでなく、ジョナサン氏にとって最も頼りになる南東部の支持者の一部にも影響を及ぼすと述べている。南東部の支持者には商業で生計を立てている人が多い。 「(ジョナサン大統領が)原油価格を引き下げたわけではない。彼は原油安の犠牲者であり、これについて彼にできることはあまりない。政府はこれまでの上昇局面で浪費をした。下降局面から身を守るためのものはあまり残していない」とルウェイン氏は言う。 選挙までは金融政策も財政政策も様子見 ナイジェリア中央銀行は22日、政策金利を13%に据え置いた。ほとんどのアナリストは、昨年11月に8.4%切り下げられたナイラの追加切り下げが不可避だと見ていたが、中銀はこれも先送りした*1。 またナイジェリア政府も、選挙を控えて歳出の追加削減を中止している。今月になって石油価格が1バレル50ドル台を割り込んだにもかかわらず、政府は2015年の価格が同65ドルになるとの前提で組んだ予算を維持している。 与党・国民民主党(PDP)に籍を置くオデイン・アジュモゴビア元石油相は「選挙運動を展開している時は、財政の緊縮について語る時期ではない」と語る。 ただ、ブハリ氏とジョナサン大統領のどちらが勝っても、石油価格が急回復しない限り、財政引き締め以外の選択肢はほとんどない。すでに連邦政府や地方政府は、公務員に予定通り給与を支給するのに苦労している。 *1=ナイジェリアは管理変動相場制を採用している 「石油価格の下落は、ナイジェリアの蓄えがアンゴラに比べて少ないことを露わにしている。アンゴラでは、政府が国内総生産(GDP)の約14%に相当する蓄えを積み立ててきたが、我々の推計では、ナイジェリアが万一の場合に備えて積み立てた貯蓄は、アンゴラよりはるかに大きなGDPの1%未満だ」 スタンダード・チャータード銀行でアフリカ調査部門を率いるラジア・カーン氏はこう指摘し、「このことは、石油の価格が高い時期に金銭的果実を得ておく機会がほぼ完全に失われたことを示唆している」と付け加える。 足元の困難にプラスの側面も しかし、大統領選挙の結果がクリーンであるという条件付きながら、ナイジェリアが直面している困難にはプラスの側面もあると指摘するアナリストは驚くほど多い。このところ多額の無駄遣いがあったということは、経済成長に大きな影響を及ぼすことなく切り詰めを行う余地があることを意味しているのではないか、というわけだ。 2015年の経済成長率は5%をわずかに下回る水準に低下するだけで済むとの予想が大半を占めている。 一方、石油価格の下落を受けて、政府は燃料補助金(2014年は計60億ドル)の廃止による改革の加速、課税ベースの多様化、経済多角化の促進などを強いられることになろう。「1バレル60ドルの水準が3年続けば、我が国の規律はかなり高まるだろう」。ナイジェリアの大手銀行、ギャランティー・トラスト・バンクのセグン・アグバエCEOはそう話している。 一部の財界人は、2期目のジョナサン大統領は、エリートが嫌がるものの国のためになる大胆な施策を1期目よりも容易に講じることができるかもしれないと見ている。彼らはまた、たとえ現職よりも野党候補者の方が不安定な時代のリーダーに適しているように見えるとしても、野党候補者の勝利という前例のない事態になれば国が混乱するのではないかとの懸念を抱いている。 匿名を条件に取材に応じたある銀行幹部はこう語った。「石油価格が下がっている状況でひどい選挙が行われれば、壊滅的な事態になるだろう。選挙後には状況が安定するという保証が必要だ」 By William Wallis in London
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