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共同交戦能力(CEC)のしくみ
<ミサイル迎撃>海自艦に共同交戦装備
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141228-00000008-mai-pol
毎日新聞 12月28日(日)7時10分配信
海上自衛隊が来年度予算で建造を計画しているイージス艦に、敵ミサイルの位置情報を味方同士で共有し、即時に迎撃するシステムを装備することが分かった。「共同交戦能力(CEC)」と呼ばれる先端システムで、自衛隊への導入は初めて。米軍との共同運用も視野にあるとみられ、集団的自衛権行使を念頭に置いた体制整備の一環という指摘もあり、論議を呼びそうだ。
◇「集団的自衛権」念頭
CECは、敵ミサイルが接近する状況を艦艇や航空機がレーダーで探知した際、離れたところにある味方のイージス艦がミサイルの位置情報などを共有し、素早く迎撃する仕組み。現行の装備では、イージス艦からの迎撃は自らのレーダーが探知した場合にだけ可能だった。
CECが主な防御の対象とするのは、海面近くを飛行して目標に近づく巡航ミサイル。遠方からレーダーで捕捉することが難しいミサイルで、高速化が進んでいる。一定の距離まで接近してからの探知では迎撃に間に合わないため、防御が可能なシステムとして米国が開発した。米海軍はすでにイージス艦や空母に装備。現在、自衛隊が導入を計画しているのはイージス艦1隻だが、将来的には艦艇や航空機への装備を拡大する方針だ。
政府は、集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことを受け、実際に行使を可能にするための法整備を検討している。一方、CECを米軍と共同運用した場合、米艦を狙って発射され、米側がレーダーで探知したミサイルを、自衛隊が迎撃するという対応も可能だ。こうした運用で集団的自衛権の行使にCECが活用される可能性がある。法整備を前に、行使の際の活用も想定される装備の導入が進むことになる。
防衛省はCECを導入する理由について「自衛隊内の連携を強化するため」と説明。しかし同省幹部は「集団的自衛権が行使できるようになってこそ、CECの能力を十分に生かすことができる」と、米軍との連携が念頭にあることを認めている。
元自衛艦隊司令官の香田洋二さんは「集団的自衛権行使につながるかどうかは政治がどう判断するかの問題だが、米軍と一体運用すれば効果的な迎撃が可能になる。日本の防衛に寄与するうえ、一部で懸念が指摘されている自衛官の命の危険も低減できるのではないか」と話している。【斎藤良太】
◇イージス艦◇
高性能のレーダーやコンピューターを搭載し、味方を攻撃する多数の航空機やミサイルに対して同時に迎撃する能力をもつ艦船。米海軍が空母を護衛する目的で開発した。現在、海上自衛隊には6隻が配備されている。弾道ミサイルを大気圏外で迎撃する能力を備えた艦もある。「イージス」はギリシャ神話の言葉で「盾」を意味する。
◇解説.「米艦防護」進む規制事実化
共同交戦能力(CEC)と呼ばれる先端の迎撃システムをイージス艦に導入する海上自衛隊の計画は、集団的自衛権行使に向けた準備の既成事実化を、強く印象づける動きだ。
CECは、イージス艦などが、自艦のレーダーで探知していない敵ミサイルを破壊することを可能にするシステムだ。味方の艦艇や航空機を強力な情報通信ネットワークで結び、全体の防衛能力を向上させることが導入の一義的な狙いだ。防衛省はあくまで自衛隊の中での運用を想定していると説明する。かりに日米が共同運用する場合でも、日本が武力攻撃を受けている状況なら、個別的自衛権の行使にあたる。
しかし、日本が攻撃対象となっていない場合は状況が変わる。米艦を狙うミサイルを海自のイージス艦が迎撃すると、集団的自衛権の行使にあたる可能性が高い。集団的自衛権の行使の事例の一つにあげられる「米艦防護」だ。
CECが防衛力強化につながるのは事実としても、導入により米軍の戦闘に組み込まれる危険が高まるおそれは否定できない。安倍晋三首相は今年7月に集団的自衛権の行使容認を閣議決定した際、「日本人の命を守るため、自衛隊が米国の船を守れるようにするのが今回の閣議決定だ」と強調した。
毎日新聞が今月9、10日に行った世論調査では、集団的自衛権の行使に反対が51%、賛成は35%だった。「米国との戦争に巻き込まれるのではないか」という懸念を払拭(ふっしょく)するために、なぜ導入し、どのような事態で活用するのかを政府は説明すべきだ。【斎藤良太】
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