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イスラエル軍が今年8月、ガザの境界防衛作戦が終わる時期に主要な建物を空爆した。この空爆は、民間の建物への故意かつ直接的な攻撃であり、戦争犯罪に相当する。
アムネスティは新たに発表した報告書で、紛争の最後の4日間に起きた4つの多層階の建物への攻撃が国際人道法違反だという証拠を挙げ、中立の立場での独立調査を求めている。
アムネスティが得た証拠はすべて、この大規模破壊が故意になされ、まったく軍事的に正当化できないことを示している。
現地の状況と当時のイスラエル軍広報官の声明は、攻撃がガザの人びとに対する集団的懲罰であり、すでに不安定になっていた生活を破壊するために計画されていたことを示唆している。
軍は破壊前に建物の住民に立ち退くよう警告した一方で、近隣の建物では、多数の人びとが負傷し、数百名が家や仕事、家財を失い、打ちのめされた。
4つの建物が攻撃を受けたときはいずれも、パニックとなった住民は建物から急いで脱出したため、ほとんどの場合、大事な書類や宝石類、貯えなどの貴重品を持ちだせなかった。
ショッピングモールやガレージ、事務所、診療所が入っていたラファの市営商業センターは、鉄製の梁とコンクリートがからみあう骨組のみと化してしまった。 この建物内の商いが数百世帯の生計を支えていたが、今その住民は、生計を立てるのに四苦八苦している。
イスラエル当局は、破壊した4棟の1つにはハマスの指揮センターがあったとか、「パレスチナ戦闘員と関係ある施設」だとほのめかしたが、それ以外は何の情報も提供していない。
たとえ建物の一部が軍事目的に使用されたことを示す根拠を持っていたとしても、当局には民間人とその資産の被害を最小限にする手段を取る義務があった。イスラエル軍はかつて全壊させることなく高層ビルの特定部分に空爆を行なったことがある。
アムネスティは、空爆に関する調査結果をイスラエル当局に送付した。その中で以下の説明を求めた。それぞれの攻撃理由、標的物名と人物名、民間人の被害を最小限にする予防措置の有無、何らかの調査の実施状況と可能性について、の4点だ。
オンブズマンの役目を持つ国家検査官から返答があったが、単に境界防衛作戦についての自らの調査の主要項目を述べただけであった。質問に答えられるはずの当局担当者からは何の返答もなかった。
アムネスティは、紛争中にイスラエル、ハマス、パレスチナ武装グループによって行われた国際人道法違反の事実を記録し、一貫して非難してきた。今回の報告書と、11月に発表した在宅中の家屋攻撃に関する報告書はイスラエルの攻撃について検証しており、現在準備中の調査報告書はハマスの違反行為に焦点を当てている。
ガザ地区とイスラエルでの紛争でイスラエルまたはパレスチナが犯したとされる国際法違反へのこれまでの調査には、独立性や中立性、詳細説明が欠けている。
アムネスティは、国連の調査委員会が妨害を受けずに調査できること、またアムネスティなどの人権組織のガザ立ち入りを認めることをイスラエル当局に要請している。
戦争犯罪には、中立の立場で独立した調査を行う必要があり、責任者は公平な裁判で裁かれなければならない。そして、家屋や生計の手段を違法に破壊された人たちには、公正な処遇と十分な補償が与えられるべきである。
アムネスティ国際ニュース
2014年12月9日
http://www.amnesty.or.jp/news/2014/1210_5025.html
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