05. 2014年12月08日 07:10:05
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ISISの戦闘員、西側のお菓子と携帯はやめられない 2014年12月08日(Mon) Financial Times (2014年11月29/30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)イスラム国とともに戦う米国人は「十数人」、米国防総省が見解 シリア北部ラッカで戦車で行進する「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」の戦闘員には、外国人も多い〔AFPBB News〕 ジハード(聖戦)を行う過激派は、戦線での休憩中に何を欲しがるのだろうか? 前線で人気がある食べ物の1つは「プリングルズ」のポテトチップスだ。エネルギー飲料の「レッドブル」も人気がある。 シリアに殺到した何千人もの外国人戦闘員は、過去を思い出させる禁欲的なイスラム国家を建設したいと思っている。だが、自分たちが軽蔑している西側諸国の現代のお菓子や機器への嗜好は捨てていない。 地元の住民たちは、残忍な集団処刑や斬首を使って独自の規則を住民に課すこうした戦闘員を恐れて暮らしているだけではなく、3年間の内戦が招いた経済危機を生き延びる方法を見つけようとしている。多くの人は、最善の戦略は、自分たちが忌み嫌う戦闘員たちの嗜好に応じて商売することだと話している。 禁欲的なイスラム国家でポテトチップスやチョコレートバー ポテトチップス、チョコレート、エネルギー飲料、そしてノンアルコールビールは、シリアとイラクの広大な地域に勢力を拡大した過激派武装組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」のために戦う多くの外国人に好まれるおやつだ。ISISはイスラム教の預言者ムハンマドの時代をまねたカリフ制国家を築いていると主張している。 ISISの宗教的布告と外国人戦闘員の嗜好は、ISISの支配地域の地元経済を一変させている。アルコールを売る店が廃業する一方で、ジャンクフードの売店や洋品店――特にミリタリー風の衣料品を扱う店――、携帯電話の販売店は多少の利益を上げている。 「ISISの支配地域の経済は今、外国人戦闘員によって動かされています。それ以外はすべてゼロですよ」。シリアの中核都市ラッカで衣料品店を営むサレさんはこう言う。 シリア東部の農村地帯では、多くの店主は、ISISの外国人戦闘員がやって来るまで、レッドブルのようなエネルギー飲料など聞いたこともなかった。また、東部の都市デリゾールの業者は、「スニッカーズ」や「バウンティ」――欧州や湾岸諸国出身の過激派に人気のチョコレートバーのブランド――を売ることなど夢見たこともなかった。 「こうしたお菓子は知られていなかったか、私たちには買えない贅沢品だった。でも、戦闘員たちに頼まれた時に質問なんかしませんでしたよ。仕入先に駆け込んで、発注しました」。身の安全のためにナシムという仮名を使うある店主はこう話す。「プリングルズとスニッカーズ? ISISの連中は戦線で分け合うために箱ごと買っていきます」 カシムと名乗ることを希望するある商人によると、ラッカでは、レッドブルが1缶250シリアリラ前後(約1.5ドル)、デリゾールでは、プリングルズが1筒5.5ドル前後で売られているという。地域に住む大半のシリア人は今、1日平均3ドルで暮らしており、どちらもとても手が届くような値段ではない。 地元の商人はシリア政府が掌握している地域からポテトチップスとノンアルコールビールを購入し、軍の検問所で払う賄賂を賄うために価格に10%上乗せしている。エネルギー飲料とチョコレートは国境を越えたトルコから購入している。 厚遇される外国人戦闘員、最新スマホが出たらすぐ買い替え 地元住民の話では、ISISの外国人戦闘員は少なくとも月間215ドルの基本給を得ているという。一般市民が稼ぐことを期待できる平均所得の2倍だ。基本給に加え、戦利品の分配や1日3ドルの食費給付、それに頻繁なボーナスがある。「彼らは値段を確認することさえしません。お金なんて気にしないんです」とサレさん。 「iPhone 6」、中国本土でも発売へ アップルに通信接続許可 デリゾールには、アップルの最新スマホ「iPhone6」もあるという〔AFPBB News〕 シリア東部では、地元住民がぼろぼろのノキアの携帯電話を持っている地域の店が、今では最新のスマートフォンを取り揃えている。 デリゾールの町はシリア政府軍に包囲されており、よく1日20回も爆撃されるが、それでも熱心な地元業者はサムスン電子の「ギャラクシー」やアップルの「iPhone(アイフォーン)」を持ち込むために唯一の河川横断手段を利用することをやめない。 「デリゾールでは、『iPhone 6』だって揃えていますよ」。匿名を希望するある店主はこう話す。「ISISの男たち、特に湾岸諸国出身の連中は携帯の虜で、新しいモデルが出るたびに古い携帯を下取りに出して最新モデルを買うんです。彼らが(店に)地元住民を連れてこなければ、売値を30〜40ドル高くできる。もっと上乗せできるかもしれませんね」 消えたカフェ、レストランは配達サービスへ転換 だが、繁盛しているビジネスもあれば、消えた商売もある。かつてシリアの町で近隣住民の生活の中心地だったカフェは、今や存在しない。 「カフェで人は何をしますか? タバコを吸うでしょ。その喫煙が禁じられているんです」とカシムさんは言う。「ISISは常に、ラッカでカフェを襲撃していました。カフェは活動家の会合と恋人同士のランデブーの象徴だった。どちらもISISにとっては絶対に許されないことなんです」 男性と女性を隔離する厳しい法律のせいで、地元住民の間ではレストランの人気も落ちた。 「ラッカでは今、1つを除いて、すべてのレストランが配達に転換しました。家に帰って、連中抜きで自分たちだけで食べた方がいいですから。店を開けている唯一のレストランはISISの戦闘員でいっぱいですよ」とカシムさんは言う。 地元住民の嘆き 店主とカフェのオーナーたちは、ISISの支配地域で何とか生計を立てる方法を見つけて安堵している。だが、シリア人の大多数にとっては、お菓子を欲しがる戦闘員の単純な欲求でさえ、自分たちの二級市民の地位を思い出させる苦々しい材料だ。 ナシムさんは言う。「ほかの人が皆、苦しんでいるのに、彼らは宗教の名の下で我々を支配し、いい暮らしを送っている。時々、お客さんたちが言うんですよ。『神のおぼしめしがあれば、彼らはジャンクフードを食べて、毒されるだろう』ってね。でも、私たちにできることは何一つないんです」 By Erika Solomon in Beirut http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42396 |