01. 2014年11月27日 20:52:26
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イスラム国ばかり焦点に当てられて、周辺国の情報は完全にイスラム国を巡るその他扱いになってしまっている。 それはシリアについても言えることである。 そこでシリア国内の武装勢力と政府軍の力関係及び、普段大手通信社が配信しない情報をいくつか貼っておこう。 シリア:反体制派がクルド人部隊を批判 2014年11月25日付 al-Hayat紙
■クルド人戦闘員がアレッポ郊外で政権を支援したとして反体制派が批判
【ロンドン:本紙】 「ヌスラ戦線」を含む反体制派グループが、シーア派住民や親体制派の住む二つの町を攻撃した後、シリア北部のアレッポ郊外では昨日(24日)、激しい戦闘が継続した。これらの町の防衛隊は、日曜(23日)に反体制派が進軍したとの知らせを受けた後、これを撃退することに成功したと述べた。一方、反体制派は、クルド人組織「人民保護部隊」がアレッポ郊外のクルド人の村落からシーア派戦闘員に対して援軍を送ったとして非難した。これにより、シリア北部の対トルコ国境付近に対する「イスラーム国」(ダーイシュ、ISIS)の攻撃から、アイン・アラブ(コーバーニー)に住むクルド人を守るというシリア反体制派の立場に陰りが見え始めた。 SNSにある親体制派のページ「Nubbol Zhraa」では昨日、反体制派が上記二つの町に対して砲撃を行い、「多くの死傷者が出た」ことが述べられた。同ページはまた、日曜に反体制派の「ヌスラ戦線」や「ムジャーヒディーン軍」、その他諸組織の戦闘員数百名が参加して行った攻撃について言及し、これらシーア派の町を守る防衛隊は襲撃者数十名を殺害するとともに、戦車1台と装甲車両(BMB)2台を破壊したと伝えた。さらに、同ページによると、襲撃者は「ザフラー、ヌッブルの両市に1インチたりとも踏み入ることができなかった。結果として、我々は彼らに対し、その思惑とは真逆の現実を突きつけた」。また、同ページは、反体制派の進軍を間接的に認めながらも、反体制派が日曜に制圧したポイントはザフラー市の市外にあると指摘した。 (後略) http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/news_j.html シリア:アイン・アラブのおよそ9割を自由シリア軍とクルド人部隊が支配 2014年11月25日付 al-Quds al-Arabi紙
■ラッカ革命家旅団司令官が証言:アイン・アラブの90%は自由シリア軍およびクルド人戦闘員の支配下にある
【アレッポ:アナトリア通信】 反体制派のラッカ革命家旅団現地司令官であるアブー・イブラーヒーム氏は、「自由シリア軍およびペシュメルガ部隊の支援を得ているクルド人グループ複数は、シリアのアレッポ県北東部に位置するアイン・アラブ(コーバーニー)市の90%を制圧した」と報告した。 アブー・イブラーヒーム司令官は、アナトリア通信の記者に対し、テロ組織ダーイシュ(イスラーム国、ISIS)が2か月以上前から続く衝突を経て大きな損害を被ったことを明らかにし、アイン・アラブ周辺部では戦闘が続いていると指摘した。 同司令官はさらに、「自由シリア軍およびペシュメルガ部隊の支援を得ているクルド人グループ複数は、コーバーニー市の90%を制圧するまでに支配権を拡大した。同市の中心部では衝突は発生しておらず、大半の区域からダーイシュを駆逐した。クルド人グループはチェックポイントを1カ所管理しているのに加え、同市東部の工業地帯も制圧した」と述べた。 同司令官はまた、自身の所属部隊がダーイシュとの戦闘において前進を続けていることを指摘し、衝突の場は市外に移ったことを述べた。 同じ文脈で、当該地域で活躍している活動家のムスタファー・アブー・ラシード氏は、米国主導の有志連合の戦闘機がアイン・アラブ市外にあるダーイシュの拠点複数を空爆したと報告し、ダーイシュは同市で大きな損害を受けたと指摘した。 (後略) http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/news_j.html コラム:シリア危機に対するロシアの立場と米国の立場 2014年11月25日付 al-Quds al-Arabi紙
■ロシアはシリア国内の変化に満足しているのか? 【アリー・クィースィー:本紙】 ロシアのラブロフ外相は数日前、サウジアラビア外相のサウード・ファイサル王子と会談を行った。その後声明を発表し、シリアの政治的解決は安保理理事国とアサド政権が合意したジュネーヴ1を通じてのみ実現されると述べた。この声明はアサド政権の側に立った発言ととれるが、同時に、表舞台の裏側で何らかの動きがあること、シリアの政治的解決に向けて同国に変化を与えるような政治的イニシアティブが浮かび上がったことを意味したものと思われる。そして、これとは別に、今回のサウード・ファイサル王子のモスクワ訪問およびラブロフ外相との会談はおそらく、シリア国民が4年間味わい続けた壮絶な苦しみの先には、実現に時間を要するものの、ある解決策が存在することを示唆したものであったのではないか。 シリア危機の関係国から提起されるこうした指摘は、拡大・拡張の末に地域的・国際的な規模にまで至ったこの危機を終わらせ、戦争に終止符を打つ必要があることを示している。しかし、シリアの政治情勢を追う専門家の中には、今回の会談で話し合われた解決策に即効性はないという見解を示す者もいるのだ!!また、シリア領内で起きている戦争や、地域・国際的な干渉、有志連合の存在、利害対立や優先事項をめぐっての争いがある中、この4年で注目を集めているダーイシュ(イスラーム国、ISIS)が、シリア危機の全当事者にとって切迫した危機として目前に現れた。同様に、この危機をめぐる大国の最優先事項はダーイシュとの闘いになり、米国およびそれに連なる有志連合は現在、イラクとシリア領内にいる標的(ダーイシュ)への攻撃に専念しており、現状は対アサド政権の新たな戦線を開くことは考慮していない。アサド政権と反体制派の間で血が流れ続け、狂気に満ちた血まみれの紛争が行われているにもかかわらずである。 このことから、専門家らの間ではシリア危機をめぐる米国の政策に対して疑義が提示されている。すなわち、アサド政権こそ地域にテロがはびこる原因である以上、最優先に取り組むべき課題はアサド政権と対峙し、これを崩壊させることであるはずだ、という主張である。しかし、米国の戦略にはこの視点が抜け落ちている。シリア危機に対する米国の明確な戦略は、真の意味では存在しないのだ。それゆえに事態は複雑化し、平和的解決の存在にもますます疑念が生じている。 一方、この紛争におけるロシアの役割は危機の開始から一貫して明白であり、ロシアは常にアサド政権の側に立ち、政権が頂点に君臨し続けるようあらゆる手段で擁護してきた。ロシアのこうした姿勢は、自由シリア軍や反体制派に対して消極的で愚鈍な役割しか果たさない米国のものとは真逆と言える。米国の役割は一時的に苦痛をマヒさせるだけの効果をもたらすに過ぎず、言を弄するのみで現実には機能していない。では、ロシアの場合、今後もアサド政権の側に立ち続けるとして、同国の主張するシリア危機の政治的解決策にはどのような利益があるのだろうか?ロシアの立場が一貫したまま、各地で(シリア危機に関する)会議が行われ、アラブ外交との度重なる会談が行われることは、何を意味しているのだろうか? (後略) http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/news_j.html 最後はNHKが報じた本投稿記事をもう少し詳しく追ったものを紹介する。 シリア:ラッカにおける殺戮、政府軍の空爆により民間人63名が死亡 2014年11月26日付 al-Hayat紙 ■ラッカにおける殺戮
【ロンドン、パリ、ニューヨーク、ベイルート:本紙、AFP】 シリア政権は同国北東部において、殺戮行為を行った。政府軍の戦闘機はラッカ市に対して10回の空爆を行い、これにより子供を含む民間人63名が死亡、数十名が負傷した。 「シリア人権監視団」は、「政府軍の戦闘機がラッカ各地に対して行った10回の空爆により殉教した人々の数は、36名に上った。そのうち少なくとも3名は子供であった。12名の別の死体が見つかったとの情報もある」と述べ、「数十名が重傷を負っており、またさらに死体が発見される可能性もあるため、殉教者の数は増加する見込み」であると付言した。 「連立」のハーディー・バフラ代表は、死者数を「殉教者65名」と見積もった。その上で、声明の中で、「有志連合の戦闘機がイスラーム国(ダーイシュ)の拠点に対して空爆を行っている一方、政府軍の戦闘機も同じ地域を旋回している。しかし、後者はイスラーム国の拠点を避け、民間人が集まっている地区を標的としている」と述べた。そして、シリア政府が「有志連合の戦闘機が上空に存在しているのを利用しようとしている」と警告した。 同代表はまた、「アサド政権は有志連合の攻撃により利益を得ている第一の当事者であり、現在の戦略は修正する必要がある」と指摘した。 現在は、「ダーイシュ」がラッカ市を制圧している。政府軍の戦闘機は、数週間前からシリア東部・北部に位置する「イスラーム国」の拠点を標的として空爆を行っているが、これらの空爆の大半は、民間人の間に死者をもたらしているとみられている。 (後略) http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/news_j.html |