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米国の政策を「チェンジ」できなかったオバマへの失望がネオコン/好戦派の共和党を勝たせた
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201411050000/
2014.11.05 20:35:01 櫻井ジャーナル
アメリカの中間選挙は予想通り共和党が勝利、上下両院で主導権を握ったようだ。この「2大政党」は政策面で大差がなく、経済面では巨大資本/富豪層を優遇、外交面ではイスラエル/シオニストの強い影響下にあるわけだが、それでも「派閥」程度の違いはある。例えば、ネオコン(ウラジミール・ジャボチンスキーの流れ)との関係は共和党が強い。
今回の選挙結果を招いた大きな原因のひとつがバラク・オバマ大統領にあると考える人は少なくないだろう。「チェンジ」を約束して当選したにもかかわらず、前政権の政策をほとんど「チェンジ」できなかったことへの失望だ。
勿論、オバマであろうと、ジョン・ケリーであろうと、ヒラリー・クリントンであろうと、ジョン・マケインであろうと、ミット・ロムニーであろうと、政界で伸し上がるためには支配層と何らかの結びつきが必要であり、ネオコン/シオニストを無視することもできない。議会の中に真の反体制派や革命家が入る余地はない。
選挙とはそうした制約の中で行われるわけで、「支配層とのつながり」を理由に議員や候補者を全面否定できるのは革命やクーデターで体制を変えようと決意している人だけ。そうでなにもかかわらず選挙を揶揄するのは、単に強者、あるいは時流におもねっているだけだろう。保身を図りながら「反体制」を気取り、一種の「優越感」に浸っているとも言える。
オバマが大統領に当選した際、多くの人は「チェンジ」を期待した。もしオバマが敗北し、共和党の候補者がジョージ・W・ブッシュ政権の政策を継続していたならオバマへの希望は続いただろうが、そうはならなかった。そして、オバマへの失望は「二大政党制」という名の一党独裁体制への批判につながっている。そうした意味で、オバマの勝利はアメリカを民主化するために必要なステップだった。
そのオバマ政権は一昨年終盤から昨年初めにかけて政策の変化を図っている。その象徴的な出来事がデイビッド・ペトレイアスCIA長官とヒラリー・クリントン国務長官の辞任。アメリカを戦争に導いていたCIAと国務省のトップが挿げ替えられたということだ。
ペトレイアスはネオコン/シオニストの思えめでたい軍人で、2008年10月にアメリカ中央軍の司令官になっている。中央軍は中東や南アジアでの戦闘を担当しているが、前任者のウィリアム・ファロンはイラン攻撃に反対、ブッシュ・ジュニア政権と対立して2008年3月に「辞任」、ネオコン/シオニストが後釜に据えたのがペトレイアスだった。(間に代行としてマーチン・デンプシー陸軍中将が入っている。)そしてオバマ政権はペトレイアスをCIA長官にする。
ファロンが追い出される1年前、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは、アメリカ、サウジアラビア、イスラエルの3カ国がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を始めたとニューヨーカー誌に書いている。
http://www.newyorker.com/magazine/2007/03/05/the-redirection
秘密工作はCIAと特殊部隊が行っているが、そうした動きに正規軍のファロンが反対していたということになる。
現在、オバマ政権はイランと話し合う姿勢を見せ、昨年は、ロシアの介在があったとはいうものの、アメリカ/NATO軍を使ったシリアへの直接的な軍事介入を断念している。そうした流れの中、IS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)が突如、勢力を拡大させてきたことは本ブログで何度も書いてきた。
こうした中、レオン・パネッタ前国防長官、チャック・ヘーゲル国防長官、そしてマーチン・デンプシー統合参謀本部議長は比較的、慎重な発言を続けている。パネッタとヘーゲルの後ろ盾はジェームズ・ベーカー元国務長官とリー・ハミルトン元下院外交委員長を中心とするグループ。ブッシュ・ジュニア政権がイラクを先制攻撃した際に浮上、その攻撃を批判していた。
ただ、ヘーゲル長官が軍事作戦の主導権を握っているわけでなく、明確な攻撃の意図を知らせるように安全保障問題担当補佐官のスーザン・ライスに尋ねていると伝えられている。ライスはマデリーン・オルブライト元国務長官の弟子であり、オルブライトはズビグネフ・ブレジンスキーの教え子。オバマもブレジンスキーの教育されたとも言われているので、そうだとするなら、ブレジンスキーの周辺が軍事戦略を作成しているのかもしれない。
このベーカーは1980年代、国務長官時代にイラクをめぐってネオコンと対立していたことでも知られている。ネオコンやイスラエルがサダム・フセインの排除を主張していたのに対し、フセインをイランからペルシャ湾岸の産油国を守る存在だと位置づけて擁護していた。
ホワイトハウスではベーカーに近いグループが勢力を盛り返しているのだが、そうした中、今回の選挙で議会はネオコン/シオニストが影響力を強めた。ペトレイアスは机上の空論を弄ぶタイプだと言われたが、ネオコンにもそうした側面があり、だからこそ危険。
そうした机上の空論を主張してきたひとりが国防総省の「ONA(ネット評価室)」で室長を務めてきたアンドリュー・マーシャル。シカゴ大学で経済学を学び、卒業後は国防省系のランド・コーポレーションに入って核戦争を研究、冷戦時代はソ連脅威論を叫び続け、ソ連消滅後は中国脅威論を主張している。
「アラブの春」やウクライナでの出来事はネオコン/シオニストがアメリカを戦争への道へ引きずり込んでいることを明確にした。ロシアは早い段階から指摘していたが、最近では中国もアメリカへ見切りをつけ、ロシアとの関係を強めている。香港で続く「民主化運動」の背後にNED(CIAの資金供給機関)が存在していることは本ブログでも何度か指摘、中国もアメリカへの警戒感を強めているはずだ。EUとロシアを分断させるというアメリカ政府の戦略が裏目に出たという側面もある。
戦争を行うにしろ、回避するにしろ、中国とロシアとの接近はアメリカの支配層にとって良くない展開。ジョン・ケリー国務長官が「米中関係の強化」を訴えたというが、そうした発言をするのは当然だろう。そうした思惑を破壊しかねないのが議会選挙の結果だ。
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