http://www.asyura2.com/14/warb14/msg/504.html
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この報道には、シリア国境に近いトルコ南部ガジアンテプからカラム・ショーマリ氏の協力があったことを記す。
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シリア北部からイラクに武力支配を広げている過激派聖戦集団「イスラム国」の戦闘員たちが使っている武器は、どこから調達されているのか?
現地で武器の追跡調査をしている民間組織によると、「イスラム国」と戦っている地域の治安部隊を支援している米国やその他の国々が送っている武器であることが分かった。シリアとイラクの現地で集めた相当量の武器やカートリッジ(弾薬筒)に基づく今回の調査結果は、「イスラム国」への軍事介入を主張する人びと、政治家への警告を暗示するものとなった。
イラク、シリア政府を安定させるべく送られている武器は、両国政府の手から聖戦集団の戦闘員に渡り、「イスラム国」の強化と戦闘に使われている。実例のいくつかをあげれば、「イスラム国」が使っているライフル銃のカートリッジは米国製で、これが重要な武器になっている。
「この地域で分かったことは、外国から防衛・治安部隊に送られてきている武器はきちんと管理されていないということだ」。「イスラム国」が使っている武器を集め、分析している「Conflict Armament Research(紛争武装研究)」のジェームズ・ベヴァン所長は、現状をそう語る。そして、紛争地域の政府側代理人に武器を供給することは「直面している危機に対するモチベーションが弱く、とんでもない危険性があるのだ」と言い添えた。
「イスラム国」の戦闘員たちは、彼らの支配地域を広げていくに従って、武器の扱いもうまくなっている。武器の分析をしている専門家や「イスラム国」と戦っている組織の話では、「イスラム国」の戦闘員たちはシリアの他の反政府組織から武器を奪い、こうした反政府組織に外国から寄付された武器をも買ってもいる。シリア、イラクの治安部隊の中には腐敗したメンバーもいて、彼らは「イスラム国」と武器の取引までしている。
ある反シリア政府組織の司令官はこんな話をした。
「イスラム国」は小規模の戦闘でも、あらかじめ相手が腐敗しているような部隊を選んでいる。「シリア政府軍との戦いでも、『イスラム国』は戦闘の投資が確実に得られるような時と場所に限定して戦っている。つまり、そこに手に入る武器庫があるとか」。北部シリアの反体制派Kafr Owaid’s殉教者旅団の司令官、フォウアド・アルグライビの話である。
アルグライビによると、「イスラム国」の戦闘員たちがシリア北東部ハマ近郊のシリア空軍基地を奪った時、彼らは奪った膨大な兵器・武器を運ぶのに大型トラック部隊が必要になったという。また、彼らはシリア軍を含め敵対するグループの武器も闇市場で調達する。「調達量は大したことはないといわれるが、これまた政府側は闇取引を隠そうとして低く抑えている、という背景もある」とアルグライビ。
Conflict Armament Researchの現地での監視活動は、欧州連合(EU)の継続事業の一部で、武装グループの兵器とその製造元を突き止め、「iTrace」というオンラインで公開している。
これまでの調査結果をみると、カートリッジだけで1730個あり、製造年は1945年から今年2014年製までさまざまだ。大半はライフル銃と機関銃用で、わずかだがピストル用もあった。
こうした武器は昨夏、クルド族の戦闘員が分捕ったり、「イスラム国」が最近撤退した陣地でConflict Armament Researchの調査員が集めたりしたものだ。カートリッジには製造元が分かるヘッドスタンプと呼ばれる刻印がしるされている。
この刻印を調べた結果、「イスラム国」の戦闘員が持っていたカートリッジの製造元として特定されたのは21カ国に及んだ。この数字が意味するのは、「イスラム国」の戦闘員も、その敵対する反政府組織もさまざまな国から武器を調達している、という実態だ。しかも、各地域の政府側治安部隊の武器まで流れ込んでいることも分かった。
調査の結果、武器の80%以上は中国、旧ソ連、米国、現ロシアまたはセルビアで製造されていた。分析した専門家は、武器の大半は地域の政府側治安部隊が所持していたが、「イスラム国」の戦闘員たちの手に渡ったとみている。
Conflict Armament Researchのベヴァンは言う。
旧ソ連製の古い武器は、クレムリンから長年受け取っていたシリア軍の武器庫にあるものと符合する。その他に、米国主導でイラクに侵略した2003年以降、米国が10年近くイラク軍や警察部隊に供給していた武器にも符合するものが相当量ある。「イラク治安部隊、シリア軍から流れた武器はかなりある」と。
詳しく見ると、1730個のカートリッジのうち約19%に当たる323個は米国製だった。代表的なのはミズーリ州レークシティー軍需工場で2005年から07年までに製造された5・56ミリカートリッジだ。これは米国製M4、M16ライフル用の標準カートリッジで、イラク占領中、治安部隊に大量に配備してきた。
また、147個のカートリッジには「WOLF」の刻印があり、これは米国のSporting Supplies International社がロシア製の武器を自社ブランドで売る際に刻印される。同社は治安部隊の訓練用に、大量の武器を米政府に供給している。今回これが「イスラム国」の手に渡った可能性が高いことを示している。
さらに、わずかだがイラン製のカートリッジも見つかった。2013年製だった。イランはイラクのシーア派政権を支持してきた。もし、意図的にイランが武器をイラクに送ったならば、2006年の国連安全保障理事会決議1737(対イラン制裁)で禁じられた武器輸出に違反することになる。
中国製武器に関して、ベヴァンは445個のカートリッジ、全体の約26%だったとも明かした。
これは、別段驚くべきことではないと、ベヴァンは指摘する。中国製の武器は世界中に行き渡っていて、最近の紛争にはどこでも使われている。シリア軍、イラク軍、その他多くの国に供給された中国製が「イスラム国」にも結果的に使われるようになった。特に中国製の武器輸出は「あまり透明性が高くない」ため、さらなる調査が必要だと、ベヴァンは語るのだった。(抄訳)
(C・J・Chivers)
(C)2014 New York Times News Service(ニューヨーク・タイムズ・ニュースサービス)
http://digital.asahi.com/articles/ASGB7513YGB7ULPT002.html?iref=comtop_list_int_f01
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イスラム国が使用している武器の相当量は、腐敗したイラク政府軍やシリア政府軍から闇取引で調達したものだという。
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