http://www.asyura2.com/14/warb14/msg/492.html
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MH17便撃墜事件は、奇妙なことに、間接レベルであっても関与を疑われているロシア・プーチン政権までもが、事件を見えにくくする偽情報の発信と曖昧な主張を行っているため実にわかりにくい構図になっている。
「マレーシア機「親ロ派が撃墜」、独情報局が結論 ウクライナの事件・独誌報道 シュピーゲル誌 朝日新聞」( http://www.asyura2.com/14/warb14/msg/485.html )という朝日新聞の記事のなかに、「国際調査を主導するオランダの安全委員会が9月、ミサイルなどによる撃墜を強く示唆する暫定報告書を発表しているが、誰が撃ったかについては言及していない」と書かれているが、オランダ安全委員会は、“高速で固いものが打撃”とは説明していても、ミサイルという用語は一切使っていない。
飛行中の航空機を打撃できる高速で固いものには、むろんミサイルも含まれるが、機関砲の砲弾も含まれている。また、ミサイルと言っても航空機を攻撃するものとしては地対空もあれば空対空もある。
9月9日に公表されたオランダ安全委員会の暫定調査書は、要するに、MH17便が事故ではなく攻撃によって墜落させられたと説明しているに過ぎない。
醜悪極まるMH17撃墜事件を究明する手掛かりとしては、シュピーゲル誌の記事(ドイツ連邦情報局の“結論”)よりも、先週発売された『ニューズウィーク日本版』の記事のほうが大きな意味を持っていると言える。
なぜか奇妙なことにMH17便墜落事件の調査を主導しているオランダだが、ニューズウィークは、オランダの「ティメルマンス外相は墜落現場から収容された遺体の1つが酸素マスクを装着していたことを国営テレビのトーク番組で明らかにした。つまり、地対空ミサイルによると疑われる攻撃を受けた後も、乗客の何人かは意識があった可能性がある」と報じた。
その記事によれば、ティメルマンス外相は、「乗客はミサイルが飛んでくるのを見なかった。だが酸素マスクを着けた者が発見された。その時間があったわけだ。(被弾後も生きていた)可能性は排除できない」と語ったそうである。
この情報の重要性は、ティメルマンス外相が語った事実や経緯が、MH17便がBUKシステムによって撃墜された可能性を否定する性格を持っていることである。
まず、ティメルマンス外相の「乗客はミサイルが飛んでくるのを見なかった」という説明は、ティメルマンス外相がMH17便はBUK以外の手段で撃墜されたと知っていることを示唆している。
救難信号も発しないまま乗客乗員が全員死亡しているから、乗客が飛んでくるミサイルを見たかどうかについてはなんとも言えないはずである。
BUK搭載のミサイルは、ロケットエンジンによる航跡として数分間は消えない長い白雲を伴って上昇する。そして、いったん標的(MH17)を飛び越えてより高いところまで上昇し、その後標的に向かって下降する。ロケット推進力と重力加速度を合わせることで弾頭の打撃力を増大させる方式になっている。(搭載できるミサイルは3種類ほどあり、この説明は代表的ミサイルについてのもの)
BUKのそのような特性を知っているひとなら、「乗客はミサイルが飛んでくるのを見なかった」という説明は行わない。BUKで攻撃されたとしたら、コックピットクルーも含め胴体左右の窓側に座っていた誰かがBUK搭載ミサイルの航跡を見ていた可能性を否定できないからである。
次に、ティメルマンス外相の「酸素マスクを着けた者が発見された。その時間があったわけだ。(被弾後も生きていた)可能性は排除できない」という経緯が事実なら、大型旅客機なら空中爆発を引き起こすほど壊滅的な破壊力を持つBUK搭載ミサイルで攻撃されたワケではないことを示唆する。
まず、酸素マスクが降りてきたことから、ごく短時間でかつ一部であったとしても、攻撃後もB777の内部システムが稼働していたと言える。
そして、限られた人かもしれないが、乗客のなかには、降りてきた酸素マスクを装着できる時間的“余裕”があったわけである。
ニューズウィークの記事冒頭に、「親ロシア派の支配地域上空で撃墜され乗員乗客298人全員が死亡した。悲惨だが、少なくとも乗員乗客は何が起こったかも分からずに即死したとみられてきた」とあるが、そのように思われてきたのは、政府関係者や記者がBUK搭載ミサイルの威力を知っているからである。
BUK搭載ミサイルで攻撃されたら、機体の上空で爆裂した弾頭が主翼と胴体中心部に無数の穴を開け、搭載した航空燃料が漏れ出し引火・爆発にもつながるからである。
表題の頭に「世界を蝕む狂気」と付けたのは、ニューズウィークのこの記事に反応がないのはともかく、先月9日に公表されたオランダ安全委員会の暫定調査書にも真っ当な反応がなかったことによる。
今後、気を取り直してオランダ安全委員会の暫定調査書に対する評価を投稿したいと思っているが、暫定調査書を読めば、BUKで攻撃された可能性がほぼゼロであることがわかる。
オランダ安全委員会の暫定調査書は、書かないことは数多くあるが、ウソは一つだけ(墜落時刻)で、けっこう使える内容になっている。
※ 関連参照投稿
「MH17撃墜事件で民主主義と人権を標榜してきた西側諸国が見せた恥ずべき醜態:水掛論になる機体より重要な手掛かりが存在」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/527.html
「BUKならMH17は空中でバラバラ:激突映像や墜落現場もBUK以外の攻撃手段での撃墜を示唆」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/514.html
「ロシア対空防衛部隊隊長:「BUK」搭載ミサイルの特性とMH17の残骸弾痕を根拠に「BUK」による撃墜説を否定」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/573.html
「ロシアとMH17便と西側:嘘の網:“最高裁判所レベルの状況証拠”でMH17破壊の張本人はプーチン氏と叫ぶ知性の質」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/565.html
「ダイナモ氏の「機体は上空で空中分解」や「Su-25攻撃機でB777を撃墜することは不可能」という奇妙な説明を検証」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/515.html
「キエフ政権が公表した重要証拠“ロシアに戻る「BUK」”の短い動画も看板の表記から政権支配地で撮影したものと判明」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/510.html
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『ニューズウィーク日本版』2014−10・21
P.19
「撃墜機の乗客は生きていた?
7月にウクライナ東部で墜落したマレーシア航空17便の事件を覚えているだろうか。
ウクライナからの分離独立を求める親ロシア派武装勢力と政府軍との戦闘のさなか、親ロシア派の支配地域上空で撃墜され乗員乗客298人全員が死亡した。悲惨だが、少なくとも乗員乗客は何が起こったかも分からずに即死したとみられてきた。
ところが先週、193人の犠牲者を出したオランダのティメルマンス外相は墜落現場から収容された遺体の1つが酸素マスクを装着していたことを国営テレビのトーク番組で明らかにした。つまり、地対空ミサイルによると疑われる攻撃を受けた後も、乗客の何人かは意識があった可能性がある。
番組でティメルマンスは次のように語った。「乗客はミサイルが飛んでくるのを見なかった。だが酸素マスクを着けた者が発見された。その時間があったわけだ。(被弾後も生きていた)可能性は排除できない」
ティメルマンスは事件発生から数日後に開かれた国連安保理の緊急会合でも、乗客には意識があったと語っていた。
「飛行機が墜落するのを知っていた彼らの命の最後の瞬間は、さぞや恐ろしいものだっただろうと想像している」と彼は言った。「最愛の人々と手を振り合ったのか、子供たちを胸に抱き締めたのか、最後の瞬間に互いに見詰め合って無言のお別れをしたのだろうか、と。もう誰にも分からないが」
ティメルマンスの突然の証言は遺族にとっては聞きたくない話だったようだ。最愛の家族が恐怖とパニックの中で死んだと知れば、遺族の心の傷は再びうずきだすのだから当然だ。
「みんなショックを受けている」と、遺族の弁護士を務めるベール・メワは語った。「そしてなぜこんな情報を聞くことになったのか疑問に思っている」
遺族の怒りを受けて、ティメルマンス外相は突然の証言で驚かせたことを謝罪した。ただいくら謝っても、再び傷つけられた遺族の心が癒やされるのは簡単ではない。
スマン・バランダニ」
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