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「イスラム国」過激派が便乗
タリバン系など「傘下入り」、テロ拡散の懸念
【カイロ=押野真也】シリアとイラクで活動する過激派組織「イスラム国」に対し、傘下入りや支持を表明する過激派組織が相次いでいる。勢力拡大が続く「イスラム国」に便乗して組織の存在感を高める狙いがあり、米国や有志国が軍事介入で圧力を高めるなかでも求心力は衰えていない。ネットワークを通じて過激な行動が広がりかねず、各国で懸念が強まっている。
パキスタンのイスラム過激派組織「パキスタン・タリバン運動(TTP)」の幹部6人は14日、「イスラム国」の傘下に入るとの声明を発表した。幹部個人の意思で、TTP全体が傘下入りしたわけではないが、同調者が増えているという。
TTPは「イスラム国」と対立する国際テロ組織「アルカイダ」との関係が深いとみられていたが、勢いを増す「イスラム国」になびく動きがある。「イスラム国」との連携が深まると、影響力が中東から南アジアまで拡大する可能性がある。
内戦状態に陥っているリビアでは10月上旬、20台近くの四輪駆動車に武装した戦闘員が乗り込み、「イスラム国」の象徴である黒旗をはためかせて同国東部の市街地を行進した。中東の衛星テレビによると、東部で活動する過激派組織「アンサール・シャリア」の戦闘員とされる。このほか複数の組織が傘下入りを明らかにしている。
アンサール・シャリアは2012年9月、東部ベンガジの米領事館を襲撃し、米大使らを殺害した事件に関与したとみられている。東部での活動を活発化させており、同国内の民兵組織や政府軍と戦闘を続けている。
リビアは11年8月にカダフィ政権が崩壊して以降、政府がほとんど機能せず、多数の民兵組織が戦闘行為を継続。テロ組織の温床になっているとして周辺国は警戒を強めている。リビアに「イスラム国」が浸透すれば、エジプトやアルジェリアなど周辺国にも深刻な影響を与えかねない。
過激派の動向に詳しい、アハラム政治戦略研究センター(エジプト)のディア・ラシュワン氏は「『イスラム国』との連携を表明することで支配地域の住民に対して恐怖を植え付け、支配力を強めることができる」と指摘。本拠であるシリアとイラクで勢力をそがなければ、「今後も支持する組織が増える」とみる。
実際、傘下入りは表明していないものの、アルジェリアやレバノンなど、中東・北アフリカ諸国では「イスラム国」を支持する組織が続々と生まれている。
ナイジェリアではイスラム過激派組織「ボコ・ハラム(西洋の教育は罪)」が7月に支持を表明。8月下旬にはナイジェリア北東部の一部都市でイスラム国家の樹立を宣言した。「イスラム国」のメンバーが統治のノウハウを助言したとの報道もある。ボコ・ハラムは4月に女子生徒200人以上を拉致して国際的な非難が集まっている。
「イスラム国」は制圧した油田から生産する原油の密売や誘拐の身代金、金融機関襲撃などで莫大な活動資金を得ているとされる。インターネットを活用して世界から義勇兵を募っている。
米国や有志国は地上軍投入に慎重な姿勢を見せており、掃討には時間がかかる見通し。「イスラム国」を起点に各国の過激派が刺激され、「アルカイダ」も勢力拡大に動く。テロが拡散する危険性が高まっている。
[日経新聞10月20日朝刊P.7]
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