03. 母系社会 2014年10月16日 01:24:31
: Xfgr7Fh//h.LU
: jLV088fmPk
>>02さん賛同、ありがとうございます。 02さんが指摘したように、ロシアとウクライナの関係は、「兄弟関係」の ような不思議な関係です。また、北海道大学の伊東 孝之名誉教授によると、 ウクライナは、我々が考えるような普通の国とは大分異なる国のようです。 ですから、今後ウクライナがどうなるのか、予想するのは大変、難しい気が します。 つまり、普通の連邦国家になるかもしれませんし、ウクライナが破綻国家に なれば、西部の国境地帯も元のそれぞれの宗主国への併合を求めてドンバスの ように分離独立へと動き、ウクライナはバラバラになるかもしれません。 ●旧ソ連解体後に誕生した国には、ロシアやバルト諸国、アルメニアのような 国民国家に近い国もありますが、ベラルーシやグルジョア、カザフスタン、 キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トゥルクメニスタン、モルドヴァ、 アゼルバイジャンなどは、ウクライナと同じ非常に特殊な国のようです。 (ウクライナも含めて、これらの国の公式の民族構成は信用できません) 要するに、ウクライナなどは、一見すると民族自決の理念で形成された国の ようですが、実際は、たまたま仕事の関係で、それらの国に居住していた人々 が、そのまま国民とされてしまった国で、アフリカなどの旧植民地国のように、 西欧の宗主国が、国家の領域を決めた国と非常に良く似ています。 しかも、ウクライナでは歴史的に、政党が得票率に応じて、地方の官僚を任命 する「オーストリア」の政治制度の影響で、地方の官僚は住民よりも、任命した 政治家=新興財閥・政商に対して忠誠心を持ってしまうので、ウクライナの官僚 は江戸時代の役人のような「お上」=家産的官僚のようです。 (ウクライナほどは酷くはありませんが、日本の官僚も伝統的に家産的精神の 官僚が多く、このような官僚は忠誠対象が国民ではなく、官僚集団自体や米国の 官僚もいるので、小沢氏が言うように、官僚の人事に政党が介入するのも仕方 ありません。しかし、下手をするとウクライナのように、官僚の忠誠対象が政党 や政治家になってしまい、ウクライナの家産的官僚になるのでバランスが必要) それでウクライナでは、警察官僚を配下にした政商に雇われた暴力団が企業に 乗り込んできて、暴力で企業を乗っ取るとか、日本では考えられない事態が頻発 し、今回も、前政権系のTV局に右翼政治家が手下を連れて乗り込み、無理やり 幹部に辞表を書かせるとか、今でも右翼セクターが白昼堂々と、ロシア系企業を 襲撃するような事態が生じて「法治」が機能していません。 (これが東部蜂起の原因であり、ロシア系政党である地域党と共産党が、明確な 民族意識を持たない中間層の支持を失って衰退すると、東部の警察ー司法官僚に キエフ側官僚が任命され、ロシア民族への弾圧が公然と行われるようになること を恐れたのでしょう) 家産官僚の場合、公務員としての住民に対する業務が、「お上」の恩恵的な仕事 となり、官僚が対価=ワイロを求めるのが自然であるかのような風潮が、ロシア 革命以前から根強い地域のようです。それで国際機関は、ウクライナの汚職度 や法治を常に最低ランクと評価しています。 (ウクライナの国家予算の約30%が汚職で消え、特に国防では装備費の80% は消えてしまうようです。おそらく、単に汚職というのではなく、正式の給与 が低すぎて軍人は生活できない。それで、軍事費のほとんどが給与に回されて 演習も、武器の修理も出来ないので、戦車などの稼働率は20%以下だった。 今は米国が仲介して、東欧諸国から屑鉄という名目で戦車やヘリを補充) ●ウクライナは国民生活用のガス(50%)は自給でき、産業用ガス(50%) が不足。基本的には世界有数の資源大国であり、更に肥料がいらない広大な黒土 (世界最高ランクの農土)を持っている国で、25人以上の大富豪(新興財閥) がいるのに、ヨーロッパの最貧国でもあるわけです。 (ウクライナは人口がスペイン並みに多いので、本当はドイツやイギリス、 フランス並みの潜在力がある国ですが、人口が多すぎてEUはもちろん、 ロシアも、旧ソ連時代のような「丸抱え」などできない国で旧ソ連は分解。 だから、ロシアが旧ソ連の再興を狙っているというのは、全くの幻想です) 汚職と法治の無視は、国民意識の形成も阻害します。というのは、住民にとって 身近な地方官僚は、キエフで決定される法を無視するので、キエフの政治動向 より、誰が地元の官僚に任命されるかが重要ですから、必然的に選挙には関心を 持っても、その後のキエフで行われる国政への関心は薄くなるので、国民意識は 育ちません。 更に、小選挙区制の弊害で、政治家は国政よりも選挙区の個別利害中心の主張 ばかりするので、住民も他の地域を顧みなくなり、国民意識を形成し国家の統合 を図ることより、逆に国家分裂を促すようなプロパガンダをしてきたわけです。 (自決権を持つ民族という近代の民族概念は、国家が成立後に、国家により 意図的に形成されたり、国家に一部のエスニックな文化集団が差別されることで 形成されるもの。 また、文化集団も他の文化集団との差異の認知で形成されるもの=関係的集団 であり、自然に形成される文化集団のようなものは無く、全て関係により形成 されるので、従来の民族学のように民族を言語や宗教、文化のような「性質」 の共通性で定義する方式では定義できない千差万別の集団です) しかし、革命後の反ロシア教育やスポーツ競技などで、若い世代には反ロシア 感情をバネにした国民意識が育っているのも確かであり、その影響は東部にも あるようで、親ロシア派の集会は中年以上が多いのも事実です。 また、横暴なスターリン官僚の支配が続いたことで、政治に対して無気力・ 無関心になっている国民が西部だけでなく、東部でも多い気がします。それで、 西部だけでなく、東部でも兵士の募集に苦労しているようです。 新興財閥政治が続いてきたのも、政治を冷笑する国民が多いことが影響していた のでしょうが、この内戦で政治を冷笑しているだけでは済まなくなりました。 ●しかし、多くの人が指摘しているように経済破綻寸前のウクライナの選択肢 はEUではなく、160億ドルの経済援助を申し出たロシアしか無かったハズ であり、ウクライナが置かれていた情況を正確に報道しなかった反大統領派の 新興財閥系マスゴミの責任は重いと思います。 (背景には、新世代の新興財閥を支援する大統領派と、旧世代の新興財閥との 熾烈な利権争いがあったので、今は内戦などおかまいなく、勝利した旧世代の 新興財閥同士が熾烈な利権争いをしていると思います) 前大統領は腐敗していましたが、ウクライナの大統領としては当然の選択を したわけですね。しかし、不幸なことに、それまでの政治腐敗の経緯から西部 の国民は世論誘導で、ロシアから援助される160億ドルをネコババするのが 大統領の狙いと判断したようです。 真相はわかりませんが、謀略があったにせよ、西部には西部の必然性があり、 東部には東部の必然性があるというのが、「モザイク国家」ですね。 ★キエフで、内戦前に国家警備隊員になった若い隊員が、任期が終わったので、 除隊させろと大勢で国防省に押しかけて抗議していますから、若者にも厭戦気分 が広がっているのかもしれません。 ★ウクライナはイラクに派兵し、米、英、伊、ポーランドに続いて5番目に 多い犠牲者を出し、アフガンにも少数ですが派兵して欧米の手先になってしま いましたが、フィンランドのように、欧米とロシアの間で上手に振る舞えば、 イラクやアフガンにも派兵せずに済んだかもしれません。 ★日本のロシア・ウクライナの専門家・学者には、随所で謀略があったことを 理解していない単純なリベラル系の人が多いので、御用学者ばかりです。 ウクライナ ―国民形成なき国民国家 http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/center/essay/20140609-j.html
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