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ロシアと中国は戦争が唯一の選択肢になるまで事実を隠しておくつもりなのだろうか?
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2014年9月28日 マスコミに載らない海外記事
Paul Craig Roberts
2014年9月25日
オバマの9月24日の国連演説は、私が生涯で聞いたものの中で最も馬鹿馬鹿しいものだった。アメリカ大統領が、全世界の前に立って、全員が真っ赤なウソだと知っていることを語り、同時に、アメリカは例外的で必要欠くべからざる国なので、アメリカだけが、あらゆる法律に違反する権利があるのだという、アメリカの二重基準と信念を実証するとは、実にあきれるばかり。
そこに出席していた連中の誰一人、立ち上がって、総会から出てゆくことをしなかったのには一層あきれた。
世界中の外交官達が実際そこに座っていて、世界最悪のテロリストの真っ赤なウソに耳を傾けたのだ。連中は、これを認め、拍手までした。
残りの演説も、ひたすら全くのたわごとだった。“我々は岐路に立っている”“進歩の道しるべ”“大国間戦争の可能性を減らし”“何億人もの人々が貧困から引き上げられた”エボラがアフリカで猛威を振るう中、“病気の治療法や、風と太陽の力を利用する方法を我々は学んだ” 我々は今や神だ。“我々”というのは“例外的な国民”、アメリカ人のことだ。他の人々はどうでも良い。“我々”が大事なのだ。
オバマ演説から、最もばかげた声明や、最も法外なウソを拾いだすのは不可能だ。それはこれだろうか? “ロシアのヨーロッパ侵略は、領土的野望を追求して、大国が小国を踏みにじった時代を思いださせる。”
それとも、これだろうか? “ウクライナ国民が大衆抗議行動に参加し、改革を要求すると、腐敗した大統領は逃走した。キエフの政権の意思に反し、クリミアは併合された。ロシアは東ウクライナに武器を注ぎ込み、過激な分離主義者と紛争をあおり、何千人もが亡くなった。民間航空機が、こうした傀儡が支配している地域から撃墜された際、彼等は何日間も、残骸に近づくことを拒んだ。ウクライナが、この地域に対する支配を取り戻そうとした際には、ロシアは、分離主義者を支持しているだけというふりをかなぐり捨て、国境を越えて、軍隊を派遣した。”
選挙で選ばれたウクライナ政権を、アメリカが打倒したことを、アメリカがマレーシア旅客機破壊の衛星写真公開を拒否したことを、ウクライナが、旅客機に対する航空管制指示の公開を拒否したことを、アメリカが旅客機墜落についての本当の調査を妨害していることを、現場のヨーロッパの専門家達が、旅客機の操縦席両側に、はっきり機関銃の砲撃痕があると証言し、それは旅客機が追従していたウクライナの戦闘機に撃墜された印であることを、世界中が知っている。実際、ウクライナ航空管制に指示された旅客機の背後に、一体なぜ、ウクライナ戦闘機が接近していたのかという説明はされていない。
もしロシアに領土的野心があれば、南オセチアを攻撃した、アメリカに訓練され、武器を与えられたグルジア軍を、ロシア軍が打ち破った際に、ロシアはグルジアを占領し、そもそもグルジアが何世紀も所属していたロシアに再併合していただろうことは、世界中が知っている。
アメリカが、13年間に、7ヶ国を、宣戦布告もせず、爆撃し侵入しても侵略ではないことにご留意願いたい。フルシチョフが、ウクライナウクライナとロシアが同じ国の一部だった時期の1954年に、そこをソヴィエト社会主義共和国に編入するまで、クリミアが何世紀も帰属していたロシアとの再統合に、97パーセント賛成の投票をしたクリミア住民の請願を、ロシアが受けいれると、侵略になるのだ。
ドネツク共和国の分離主義指導者が語った様に“もしロシア軍が我々と共に戦っていれば、マリウポリ陥落でなく、キエフやリヴィウ陥落がニュースになっているだろう。”ことを世界中が知っている。
4人のジャーナリストの首を切ったISIS、それとも、21世紀に、7ヶ国を爆撃し、何十万人もの一般市民を殺戮し、何百万人もの人々を強制退去させたアメリカの、どちらが“暴力的過激派の癌”だろう?
イギリスやフランスの植民地主義者が引いた人為的な国境を引き直している集団のISIS、あるいは、アメリカの主要目的はアメリカの世界覇権だと宣言するアメリカ外交政策の基盤、ウォルフォウィッツ・ドクトリンを奉じるアメリカ、一体どちらがよりひどいテロリストだろう?
ISISはアメリカが作り出したものだ。ISISは、アメリカリビアで、カダフィを打倒するのに利用し、続いてアサドを打倒する為、シリアに送った聖戦戦士達で構成されている。もしISISが、オバマが宣言するように、交渉が不可能な“死のネットワーク”“悪のブランド”であるとすれば、それはオバマ政権自身が作り出した死のネットワークなのだ。もしISISが、オバマが主張するような脅威だとすれば、脅威を作り出した政権が、その脅威に対する戦いを率いるのを、いったいどうして信用できるだろう?
オバマは、演説で、世界が直面している核心問題には決して触れなかった。ロシアや中国の様な強力な独立国家の存在をアメリカが受けいれることが出来ないのが問題なのだ。ネオコン・ウォルフォウィッツ・ドクトリンは、アメリカ合州国が、唯一の超大国という立場を是が非でも守ることを決めている。この課題で、アメリカは“あらゆる敵対勢力が、その資源が、統合された支配の下で、グローバル大国を生み出すに十分な地域を支配するのを防がなければならない。”“敵対勢力”とは、アメリカによる力の行使を制限できる十分な力、あるいは影響力を持ったあらゆる国だ。
ウォルフォウィッツ・ドクトリンは、ロシアを明示的に標的としている。“我々の第一目標は、旧ソ連領あるいは、他の場所”での、新たなライバルの再登場を防ぐことだ。 “ライバル”は、アメリカ覇権に対し、自分の権益を守ることができるあらゆる国、または連合国として定義されている。
演説の中で、オバマは、ロシアと中国に、アメリカ覇権を受けいれて、アメリカの支配には、いかなる形でも干渉しないという条件であれば、両国は、アメリカの世界秩序の一部になれると語った。オバマが、ロシアに、アメリカは“もしロシアが方針を変えれば”ロシアに協力するという場合、オバマが意味しているのは、モスクワは、ロシア自身の利権に対する、アメリカ利権の優位性を受けいれなければならないということだ。
明らかに、これは硬直した非現実的な姿勢だ。もしアメリカがそれに固執すれば、ロシアと中国との戦争が起きるだろう。
オバマは、アメリカは、好きな時に、中国を切り離せるようにすべく、新たなアメリカ空軍と海軍基地を、フィリピンからベトナムに至るまで建設して“平和、安定、諸国間の商業の自由な流れを推進する”アメリカは、南シナ海における資源の流れを支配する、中国の勢力圏、太平洋における大国であり続けるつもりだと、中国に語った。
私の知る限り、ロシア、中国いずれの政府も、アメリカの脅威の深刻さを理解していない。アメリカ世界覇権の主張は、ロシアや中国が真に受けるには余りにとっぴ過ぎるように見える。しかし、これは極めて現実的なものだ。
脅威を深刻に受け止めることを拒んで、ロシアと中国は、この脅威を、戦争の必要性無しに終わらせられるようなやり方で反撃していない。
例えば、ロシア政府は、アメリカとEUが課した経済制裁に、ヨーロッパ各国政府に、ロシアはNATO加盟国には天然ガスを売らないと通告して反撃して、NATOを崩壊させられていた可能性が大きい。この力を使う代わりに、ロシアは愚かにも、EUが、来る冬の間、家庭や企業を守る為、記録的な量の天然ガス備蓄を蓄えるのを許してしまった。
ロシアは、お金欲しさに、国家権益を売り渡したのだろうか?
アメリカの武力と金融覇権の大半は、世界準備通貨としてのアメリカ・ドルの役割に依存している。ロシアと中国は、両国の主権を守るという視点からすれば、このアメリカの権力の大黒柱を駄目にする好機を利用するのに後れをとっており、むしろ怠慢とさえ言える。例えば、ドル支払制度を廃棄するというBRICSの話は、行動というより、口先だけのものだ。ロシアは、ヨーロッパのアメリカ傀儡諸国に、ロシア天然ガス代金をルーブルで支払うようにという要求さえしていない。
欧米からのこれほどの極端な敵意や悪魔化を味わっているロシアの様な国は、アメリカ・ドルでなく、自国通貨を補強する為、せめてガス輸出を活用するだろうと考えたくもなる。もしロシア政府が、ロシアに敵対的なヨーロッパ諸国の経済を支え続け、ヨーロッパ人が、やってくる冬の間、凍えるのを防ぎたいのであれば、自らの敵に、ロシアはそれと引き換えに、少なくともルーブルによる支払いを要求して、自国通貨を補強するべきではなかろうか? ロシアにとって不幸なことに、ロシアには、ロシアの利益ではなく、欧米の利益の代表である欧米で訓練されたネオリベラル経済学者が蔓延している。
欧米が、ロシア政府側のそうした驚くべき弱さを目にしたので、オバマは国連にでかけて、アメリカとヨーロッパは何も失わずに、ロシアに関する実に真っ赤なウソが言えると思ったのだ。ロシアの怠慢がロシアの悪魔化を幇助しているのだ。
中国も、アメリカを不安定化する好機を利用する点では、ロシア同様、全く成功できていない。例えば、ディヴ・クランツラーと私が繰り返し実証している通り、連邦準備金制度理事会の政策からドルの価値を守る為、金価格の値段を下げるのに、連邦準備金制度理事会が金地金業者という手先を利用しているのは周知の事実だ。使われている手法は、売りが少なかったり、全くなかったりした時に、金地金業者に膨大な量の空売りをさせ、金価格を下落させるものだ。
中国あるいはロシア、あるいは両国は、この戦術につけこむことが可能で、あらゆる空売りや、もしあれば手当てされた空売りも全て買い、契約を現金決済する変わりに、引き渡しを要求するのだ。ニューヨークク商品取引所もロンドン市場も引き渡しなどできず、制度は爆縮するだろう。引き渡し出来ない結果は、欧米の金融制度にとって壊滅的なものになりうるが、欧米金融機関の腐敗した状態を、わずかでも露呈することにはなるまい。
中国はより壊滅的な打撃を与えることが可能だ。アメリカ金融市場への懸念が高まった、あるいは崩壊した時を狙って、中国は、一兆ドルを越える手持ちのアメリカ財務省証券、あるいはあらゆる手持ちアメリカ金融商品を、市場に投げ売りすることができる。連邦準備金制度理事会とアメリカ財務省は、国債や他の金融商品を購入する紙幣を作り出し、アメリカ金融商品価格を安定化させようとすることは可能だ。この貨幣創出は、ドル価値に関する懸念を増すが、その時点で、中国は証券売却で得た一兆ドルを越えるお金を、為替市場にぶち込むことができる。連邦準備金制度理事会は、ドルを買い上げる為の外国通貨を印刷することはできない。ドルの交換価値は崩壊し、それと共に世界準備通貨としてのドル利用も崩壊する。アメリカは輸入代金を支払えない単なる一つの破産国家となる。
多分、アメリカは、投げ売りされたドルを買い取るべく、日本と欧州中央銀行に十分な円とユーロを印刷させることができるだろう。しかしこれはドルと共に、円とユーロも下落させる可能性が高い。
中国とロシア通貨への逃避が起き、金融覇権は、欧米から離れるだろう。
遠慮することで、ロシアと中国は、アメリカの両国攻撃を支援している。先週、アメリカは、何千人ものNGO工作員をモスクワ街頭に繰り出させ、“プーチンの対ウクライナ戦争”に抗議させた。愚かにも、ロシアは、外国企業にロシアの新聞を買収することを認め、こうした連中が、ロシア人読者に向け、絶えずプーチンとロシア政府を非難している。
ロシアは、ドルの為に、魂と通信システムを売ってしまったのだろうか? 少数のオリガルヒ連中が、スイスやロンドンの銀行預金の為に、ロシアを売り払ったのだろうか?
ロシアにも中国にも、イスラム教国民がおり、そうした国民の中で、CIAは分裂や、反乱や、武力行動をそそのかす活動をしている。アメリカは、ロシア連邦を、アメリカ覇権の邪魔ができない、より小さな、より弱い国々に分裂させることを狙っている。ロシアと中国は、自国イスラム教国民の間の不和を恐れるあまり、両国政府は、対ISISアメリカ作戦や、イスラム教世界におけるアメリカの現状を守るというアメリカ政策に同調するという極めて深刻な戦略的過ちをしてしまっている。
もしロシアと中国が、アメリカの極めて重大な脅威を理解すれば、両国政府は、伝統的な原則“我々の敵の敵は我々の友人だ”にのっとって行動することになるだろう。ロシアと中国は、アメリカ敗北を達成する為に、ISISに、アメリカの戦闘機を撃墜できる地対空ミサイルを供与し、軍事諜報情報も与えることになるだろう。アメリカが敗北すれば、サウジアラビア、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、ヨルダン、エジプトや、この地域全てのアメリカ傀儡支配者が打倒されるだろう。アメリカは石油への支配力を失い、オイル・ダラーは過去のものとなろう。逆に、ロシアと中国が、アメリカの中東支配とオイル・ダラーを守ろうとして動いているのは驚くべきことだ。
中国は様々な攻撃を受けている。ロックフェラー財団は中国の大学に、アメリカの工作員をつくっている、あるいは中国人学者達から私はそう聞いている。中国に居を構えるアメリカ企業は中国人重役会を作り、そこに地方や地域党幹部の親戚を据えている。これで、忠誠心は、中央政府から、アメリカのお金へと移動する。しかも中国には、アメリカで教育を受け、アメリカ権益そのものである、ネオリベラル経済が染みついた多数の経済学者がいる。
ロシアにも中国にも、かなりの比率の欧米側になりたいと願う国民がいる。両国での共産主義の失敗と、アメリカの冷戦プロパガンダの成功が、自国政府ではなく、アメリカへの忠誠心を生み出したのだ。ロシアで彼等は“大西洋主義・融合主義者”と呼ばれている。彼等は欧米への統合を望んでいるロシア人だ。これに対応する中国側の人々についてはさほど知らないが、若者の間では、欧米の実利主義と性的抑制の欠如が受けている。
両国の主権国家としての存在に対し、ネオコンのアメリカの世界覇権という主張でもたらされている脅威を、ロシアと中国政府が認めるることが出来ずにいることで、核戦争の可能性が一層大きなものになっている。もしロシアと中国が、このゲームを理解するのが遅すぎれば、両国にとっての選択肢は、戦争か、アメリカ覇権への服従しかなくなってしまう。アメリカとNATOがロシアと中国を侵略し、占領する可能性はないので、戦争は核戦争になるだろう。
多くの専門家達が示している通り、地球上の生命を絶滅しかねないこの戦争を避けるには、ロシアと中国の政府が、世界最悪のテロリスト国家と化したアメリカの中に内在する悪を評価する上で、早急に遥かに現実的なることが必要だ。
ロシア、中国、そして他の国々は、アメリカの経済崩壊によって救われる可能性がある。アメリカ経済は砂上の楼閣だ。実際の世帯平均所得は、長期的衰退にある。大学は学位はあれど、大量の借金を抱えた卒業生を送り出すが、彼等に職はない。債券市場は、連邦準備金制度理事会によって操作されており、そこでドルを守る為に、金地金市場を操作することが必要となるのだ。連邦準備金制度理事会、下落防止チーム(Plunge Protection Team)、自社株を買い戻している大企業により湯水の様に資金を注ぐことで、株式市場は操作されている。ドルは、伝統、習慣と為替スワップによって維持されているのだ。
世界が膨大な腐敗に耐え、虚報と、強欲が操作されている制度から生み出されるお金で満たされているおかげで、アメリカという砂上の楼閣は維持されているに過ぎない。
ロシア、および/または中国、いずれかの国、あるいは両国が、それを実行できる指導部を得た時点で、いつでも、この砂上の楼閣を引き倒せるだろう。
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