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砂漠にひざまずく英国人のデービッド・ヘインズ氏とされる男性(左)と、覆面をした過激派の戦闘員(右)。イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国(IS)」が公開し、米監視団体「SITEインテリジェンス・グループ」が特定した動画から(2014年9月2日提供)。
人質が斬首されても身代金を拒否する米国
http://www.afpbb.com/articles/-/3027063
2014年09月25日 21:36
【9月25日AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」に米国人記者ら人質が処刑されても、米政府は身代金を支払わないという姿勢を変えていない。だがそれが対テロ戦争で共に戦おうとしている欧州の同盟国との間に摩擦を生じている。
欧州のいくつかの国が、自国民を助けるためにひそかに多額の身代金を払ったといわれる。これについてバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、私的な場でいら立ちを見せたと、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報じた。メディアのコラムニストたちと私的な会談をしている際に、フランスがテロ組織と交渉をしているという疑いに対し、オバマ大統領がフランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領に「いら立ち」を見せたという。
この一件は、米英政府と、他の欧州諸国の政府の間で、ISなどの過激派による身代金要求への対応の違いを浮き彫りにした。「これは繰り返される問題だ。私たちは何度も経験してきた」と、昨年までジョゼフ・バイデン(Joseph Biden)米副大統領の国家安全保障問題副顧問を務めていたジュリアン・スミス(Julianne Smith)氏は言う。
2009年から12年まで米国務省のテロ対策調整官を務めていたダニエル・ベンジャミン(Daniel Benjamin)氏は、過激派をカネで潤せば、安全保障がさらに脅かされると、米政府の立場を擁護する。欧米諸国で協調して身代金を支払わないようにすれば、多くのテロ組織が弱体化するというのだ。
2013年6月の主要8か国(G8)首脳会議では、自国民が人質になった場合でも身代金を払わないことが約束された。昨年1月にも、英政府主導で国連安全保障理事会(UN Security Council)が同様の決議を出している。
しかし、その効果はほとんどない。国境なき記者団(Reporters Without Borders)によれば、ISによって12人の外国人記者が解放された。ほとんどが、おそらく身代金が支払われた後の解放だったとみられている。
イタリア政府はもう少しで、支払いの事実を認めるところだった。また、ニューヨーク・タイムズ紙の調べでは、オーストリア、フランス、スペイン、スイスが何千万ドルもの身代金を国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)に支払っている。
米国人ジャーナリストのジェームズ・フォーリー(James Foley)氏とスティーブン・ソトロフ(Steven Sotloff)氏、英国人の援助関係者デービッド・ヘインズ(David Haines)氏はISによって処刑された。
フォーリー氏の両親は米政府の助言を拒否して身代金のために寄付を募ったが、米当局者から身代金の支払いは違法だと告げられたという。
こうした事態を受け、身代金の交渉をしない米国の姿勢を批判する声もある。首を切り落とす処刑の動画が公開されたことにより、「どんな身代金の支払いよりも大きなダメージを受けた」と言うのは、イランで2009年から11年まで拘束されていた米国人観光客のサラ・ショウルド(Sarah Shourd)さんだ。
ショウルドさんは米CNNに対し、名前は伏せたまま26歳の米国人女性がISに拘束されており、660万ドル(約7億2000万円)が要求されていると語った。「この女性を救うために払えないような金額ですか」と、彼女は問いかけた。
ISによる処刑が続くなかでも、米英政府はテロ組織とは交渉しない立場を変えるつもりはないと強調している。(c)AFP/Ivan Couronne
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