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クローズアップ2014:イスラム国、欧米から戦闘員 洗練された広報戦略  毎日新聞
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投稿者 ダイナモ 日時 2014 年 9 月 15 日 08:38:02: mY9T/8MdR98ug
 


 イスラム教過激派組織「イスラム国」には欧米から数千人の戦闘員が参加しているとみられる。従来の過激派組織とは異なる洗練された広報戦略と、戦闘員への待遇面を整備し、欧米から若者を引き寄せている。欧米各国はイスラム国がテロの温床となることに危機感を強めており、自国からイスラム国への戦闘員の流出や逆流防止の対策に乗り出している。

 ◇ネット駆使、好待遇

 米国は11日、イスラム国の推計戦闘員を約1万人から最大3万1500人に上方修正。今後、欧米からの参加者数が数千人よりさらに増加する可能性がある。

 フランスからは欧米で最も多くの戦闘員が参加しているとされる。5月にベルギーで起きたユダヤ博物館銃撃事件では、アルジェリア系フランス人の男(29)が逮捕された。解放された人質の証言などからこの男はイスラム国戦闘員で、シリアで人質や捕虜の監視役だったことが判明した。

 仏メディアによると、仏人戦闘員は生まれた時から父親が行方不明で、生後3カ月で母親に育児放棄されるなど不遇な家庭環境で育ち、犯罪で収監されたこともあるという。こうした生い立ちが過激派への参加につながったと報じている。

 仏国立科学研究センターのフランソワ・ビュルガ教授(近現代アラブ政治)は、「欧州からイスラム国への参加者には、自分たちが母国で二級市民扱いされていると思ったり、イスラム教の信仰が自由にできないと感じていたりする者がいる。こうした若者が過激化することは想像するのに難しくない」と説明。イスラム教に批判的な報道などが心理的に影響している可能性を指摘する。

 欧米からの戦闘員勧誘で大きな役割を果たしているのがインターネットだ。イスラム過激派は以前からネットを駆使し、活動資金や戦闘員を募っていたが、イスラム国の宣伝は革新的だった。他の過激派の宣伝映像は画質が悪く、言語はアラビア語が中心だったが、イスラム国の映像は高画質で編集も洗練され、多言語で情報を発信している。6月に建国を一方的に宣言したアラビア語の文書は英仏独露の4カ国語でウェブ上で公開した。

 外国人戦闘員を登場させた勧誘ビデオも、動画サイトに頻繁に投稿している。「アラー(神)と預言者の呼びかけに応じよ」。6月に公開された映像では、英国と豪州からシリアに来たという5人の男が英語で参加を呼びかけた。7月にはインドネシア人戦闘員による勧誘映像も出回った。全面カラーの英語版のウェブ広報誌も月1回程度発行している。製作は高価な機器をそろえ専門の知識を持った技術者を集めた広報部門が担当しているとみられる。

 充実した広報活動を支えるのは豊富な資金だ。専門家によると、イスラム国の前身組織はイラク北部で密輸ビジネスに深く関与していた。このネットワークを生かしてシリアやイラクで獲得した石油資源を売りさばき巨額の利益を上げているという。身代金目的の拉致や通行税の徴収などと合わせて、日収は約1億円に上るとの分析もある。こうした資金で武器の整備も進んでいる。

 待遇も戦闘員をひきつける。シリア反体制派によると、戦闘員には避難住民の空き家が提供され基本報酬は月400ドル(約4万円)。外国人特別手当(月400ドル)、配偶者手当(月100ドル)や子供手当(月50ドル)もあるという。内戦前のシリアの平均月収は約250ドルで、イスラム国の待遇は生活には十分な額だ。【カイロ秋山信一、パリ宮川裕章】

 ◇欧米各国、対策を強化

 各国はイスラム国への勧誘を呼びかけるインターネットのサイトの閉鎖や関係者の取り締まりに躍起だ。

 「ドイツはテロと遠い地域にあるわけではない。むしろ標的だ」。ドイツの公安機関・憲法擁護庁のマーセン長官はこう語り、イスラム国への警戒を呼び掛ける。独誌シュピーゲルによると、イスラム国にドイツ連邦軍の元兵士約20人が参加しているという。さらに、イラクやシリアで実戦に参加した経験を持つ戦闘員100人以上が既にドイツに帰国したとの情報もある。

 ドイツ捜査当局は今年3月、ベルリン、ボン、フランクフルトの3都市でイスラム過激派に対する家宅捜索を実施。シリアで戦闘に参加し、ドイツ帰国後はイスラム国に資金や物資を提供していたとされる容疑者3人を拘束した。戦闘員の多くはトルコ経由でイラクやシリアに入国することから、マーセン長官は「トルコの情報機関とも緊密に協力している」と述べ、欧州と中東にまたがる国際的規模の危機を強調する。

 ネット中継で人質の米国人や英国人を殺害した男の出身国とされる英政府は、英国籍を持つ者に対して、入国を拒否できる権限を警察当局に与えることや、航空各社に紛争地と結ぶ便の搭乗者情報提供を義務付けることを柱とするテロ対策法の策定を進めている。

 フランスでも過激派への参加防止を強化するための法案を15日から下院で審議する。法案では、外国でのテロ活動への参加計画が疑われる国民に対し、フランスからの出国を禁じるほか、テロ集団との関係が疑われる団体だけでなく個人も訴追の対象とする。また、捜査当局のインターネットなどの監視の強化も可能にし、戦闘員の勧誘やテロ活動を促す可能性のあるサイトを当局が閉鎖できるようにする。

 民間レベルの対策も始まっている。今年2月に移民が多く住む地域を抱える北部リール市に民間組織「イスラム過激派参加防止センター」が開設された。若者のイスラム過激派入りを防ぐため、各家庭からの電話相談に応じている。また、地域に根ざすソーシャルワーカーや心理学者に対して、研修を行い、過激化の芽を未然に摘む方策などを伝えている。【ベルリン篠田航一、パリ宮川裕章、ロンドン小倉孝保】


http://mainichi.jp/shimen/news/20140915ddm003030145000c.html  

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コメント
 
01. 2014年9月15日 23:09:15 : PdRMrdS8p2
広報戦略の問題ではなかろう。

ガザ空爆などイスラエルとそれを支援する欧米の横暴への怒りが原因。


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