http://www.asyura2.com/14/warb14/msg/186.html
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撃墜ではなく、事故を含む原因不明で墜落した事件なら調査(解析・評価)に手間取ることは理解できる。しかし、撃墜が公知になっているMH17のケースは、ウクライナ領空に入ってから撃墜されるまでのコックピットボイスレコーダー(CVR)を聞き、10分ほど前からの飛行データ(経路・高度・速度)を分析することで、撃墜される前に“異常”があったかどうかを確認できる。
但し、MH17便のCVRは30分間のエンドレステープとされているので、ウクライナ航空管制当局係官とのやり取りや他の乗務員との会話は撃墜に至る30分前からのものに限定される。
第1段階の調査は、MH17便が撃墜に至るその時まで“正常”に飛行していたかどうかを確認することである。
米国(及び他のNATO諸国)やウクライナが撃墜後とっさに“決めつけた”撃墜方法や撃墜主体は、概要と残骸分析を踏まえて行う第2段階の調査によって推定されるべきテーマなのである。
※ 参照投稿
「マレーシア機のブラックボックス、旧式で十分な情報得られない可能性:撃墜なのでそれが大きな障害になるわけではないが」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/583.html
恥ずかしながら、これまで、MH17便の事故調査は、ウクライナないしマレーシアの当局が主導して行い、ブラックボックスの解析のみが英国の機関に委託されているものと思っていた。
MH17便のブラックボックスについて、親露派勢力が見つけ、マレーシアの当局に引き渡され、マレーシアの当局が英国の解析機関に解析を依頼したところまで確認できていたからである。
ところ、転載する記事に拠れば、MH17便撃墜事件の調査は、オランダの安全委員会が主導していることになっている。
しかし、オランダ安全委員会が調査を主導するという話は、「国際民間航空条約第13付属書」で定められている「航空機事故及びインシデント調査」の規定を逸脱するものである。
「国際民間航空条約第13付属書」に拠れば、国際民間航空機が事故を起こした場合、第一義的には事故の発生国(但し条約締結国)が調査の実施について責任を負わなければならないが、発生国は、その全部又は一部を登録国又は運航国に委任できるとなっている。
MH17便が撃墜された場所(発生国)はウクライナであり、MH17便として使われた機体の登録国・運航国はマレーシアである。重大インシデントの場合に調査を委任できる設計及び製造国はB777なら米国である。
オランダはMH17便撃墜でもっとも多く犠牲者を出した国ではあるが、それを理由に事故調査を主導できる法的権限はない。
「国際民間航空条約第13付属書」は、事故調査について、「自国民が死亡し、又は重傷を負った国の参加」という項目を設定し、次のように規定している。
「自国民が死亡し、又は重傷を負った国の参加
権利及び権限
5.27 勧告 ― 事故がいかなる場所で発生しても、自国民の死亡又は重傷により事故に特別の関心を持つ国は、要求することによって、次の権限が与えられる専門家を指名することを調査実施国から許可されるべきである。
a)事故現場視察
b)関連事実情報のある場所への立入り
c)遺体の識別への参加
d) 自国民の生存旅客への尋問の援助
e) 最終報告書の写しの受領
参加を要求する国は、その要求の根拠を調査実施国に説明すべきである。」
オランダ当局は、ウクライナ当局及びマレーシア当局を差し置いて事故調査を主導できる立場にないどころか、ウクライナ当局やマレーシア当局から事故調査の委任を受ける法的権限もないのである。
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暫定報告書9日に公表
■マレーシア機撃墜
オランダ安全委員会は4日、7月にウクライナ東部で起きたマレーシア航空機撃墜事件の暫定報告書を9日午前10時(日本時間同午後5時)に同委ウェブサイトを通じ、公表すると発表した。
安全委は「最終報告書完成までには、今後数ヶ月でさらなる調査が必要」と指摘した上で、最終報告は事件から1年以内に発表したいとしている。
乗客乗員298人が死亡した撃墜事件の調査は、オランダが主導している。
(ハーグ=AFP時事)
[日経新聞9月5日朝刊P.6]
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