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イスラエルとパレスチナの間の停戦は、人権に基づくものでなければならない。
繰り返される爆撃の中で停戦が消滅する様を、私たちは何度も見てきた。公正で持続的な平和への希望があるとすれば、ここに無視されてはならない3つの基本的人権がある。
イスラエルとパレスチナの間の新たな停戦は、人権の基礎をしっかり据えた上で築かなければ無意味である。人権は、戦争犯罪などの違反行為が絶え間なく起きる悪循環を断ち切る取り組みの核心とならなければならない。人権の盤石な基礎がなければ、パレスチナ人とイスラエル人は、戦争の惨禍を被り続けるだろう。
生きる権利
50日間の紛争で2100人あまりのパレスチナ人が死亡したが、その大多数は民間人だった。その内、500人近くは子どもである。その多くは(おそらくほとんどは)、国際人道法(戦争法)に違反する攻撃で違法に殺された人たちである。イスラエルは表向きは戦闘員を標的としながら、まるで民間人の生命と住居を無視するかのように、家屋を破壊し住宅街に攻撃を加えた。一方、イスラエル側では70人が殺され、そのうちの6人が子ども1人を含む民間人だった。彼らは、パレスチナ武装グループが戦争法に違反して行った民間地域へのロケット弾などの無差別発射によって殺された。
移動の自由と適切な生活水準を受ける権利
この紛争を理解するためには、その背景を知る必要がある。イスラエルは何年もガザを封鎖し、ガザを出入りする物資の許認可を牛耳ってきた。ハマスがガザの支配権を掌握した2007年以降、封鎖は集団的懲罰に相当するレベルまで強化された。生活必需品は認められたが、あくまで最低限だった。
閉じ込められている180万のパレスチナ人は、燃料と電気の不足にも苦しめられている。少なくともその3分の1の人びとは、損傷したインフラの工事に必要な修理部品と燃料の調達を阻まれ、清潔な水を得られない。漁業者は、海岸から3マイル以内でしか操業できない(操業区域の拡張は、停戦条件の1つである)。また、原料とセメントの搬入は、厳しく制限され、農産物の搬出は禁じられている。
この移動制限によって、ガザ地区外でなければ受けられない緊急治療の場合でさえも、しばしばガザを出ることを妨げられてきた。人口の約8割は現在、人道支援に依存し、その支援はかろうじて満たされている状態である。イスラエルは封鎖を解除し、必需品と人びとの通行を許可しなければならない。
双方の戦争犯罪への裁き
これはガザとイスラエルにとってだけではなく、世界にとっても重要である。 この紛争の間、民間人には危害を加えてはならないという原則は平気で無視され、何度も故意に踏みにじられた。私たちは、戦争犯罪と人道に対する罪を犯した加害者が処罰されない状況を許すことはできない。
今こそ平和構築プロセスの核に人権を据える時である。
イスラエルは紛争中、アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチのガザ入りを許可しなかった。停戦中の今、国際人権組織の派遣団立ち入りが許可されるのか様子を見たい。
国連人権理事会は7月、国際人道法・人権法に対する違反行為を調査する委員会を立ち上げた。調査委員会の目的は、不処罰を終わらせ、責任者を確実に裁くことである。委員は、軍事などの専門家で構成されなければならず、訪問場所や視察の対象は自由である必要がある。
もし、上の要件が満たされていたならば、2009年のガザ紛争を受けて設置された国連事実調査団の勧告は、ガザでのさらなる違法な殺害と破壊を防止できたかもしれない。人権を脇に押しやってしまっては、公正で持続的な平和をもたらすことができない。このことを世界のリーダーはいつ学ぶのだろうか。
第二次世界大戦の恐怖と虐殺の後、1948年に採択された世界人権宣言の言葉は、今も私たちに感銘を与えよう。その前文は次のように述べている。「人権の無視および軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらした」と。
もし、戦時の犯罪に怒る良心が、もはや人びとに残されていないならば、第二次世界大戦後の数十年間に誕生した国際司法の全条約は、空文となろう。過去の隠ぺいを好む国際社会が戦争法違反を容認するならば、戦争が起きる度に民間人が最初の標的となる。その結果、次のガザ・イスラエル戦争はすぐに起きても不思議ではなく、さらに破壊的なものとなろう。今こそ平和構築のプロセスの核に人権を据える時である。
アムネスティ国際ニュース
2014年8月29日
http://www.amnesty.or.jp/news/2014/0902_4799.html
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