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イスラム国による2人目の処刑
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2014.09.03 きっこのブログ
イラクとシリアに勢力を拡大し続ける「イスラム国」は、8月19日、イラクから米軍を撤退させるために、米国人捕虜のうちの1人、シャ―ナリストのジェームズ・フォーリー氏(40歳)を処刑した。生きたままナイフで首を切断し、横たわった遺体の腹の上に切断した頭部を乗せるという残虐な映像は、瞬く間に世界中を駆け巡った。そして、その動画の中で予告していた通りに、9月2日、今度は別の捕虜の米国人ジャーナリスト、スティーヴン・ソトロフ氏(31歳)を処刑する残酷な映像が公開された。説明するまてせもなく、極めて残酷でショッキングな動画なので、観る人は自己責任で観てほしい。
【閲覧注意】
今回、処刑されたスティーヴン・ソトロフ氏は、フロリダ州マイアミ出身で、昨年2013年8月にシリア北部のアレッポで身柄を拘束されていた。ジェームズ・フォーリー氏と同じにオレンジ色の服を着せられ、生きたまま首を切断され、横たわった遺体の腹の上に切断した頭部が乗せられた。
「イスラム国」は前回の動画の中で、米国のオバマ大統領を名指しして、「イスラム国に対する空爆をやめなければ、次はソトロフ氏を処刑する」と宣言していた。しかし、オバマ大統領はこの警告を無視して、空爆をやめるどころか、「テロには屈しない」というお約束のセリフを口にして、逆に空爆を拡大させた。そのため、今回、スティーヴン・ソトロフ氏が処刑されたのだ。スティーヴン・ソトロフ氏は、今回の動画の中で、処刑される前に「イスラム国」が書いたと思われる原稿を読み上げていた。
「米国が警告を無視して軍事介入をやめなかったため、その代償として私は処刑される。米国が軍馬介入をやめない限り、多くのアメリカ人の捕虜が次々と処刑されるだろう」
ちなみに、今回の動画でも、次回の処刑の予告がされた。処刑されたスティーヴン・ソトロフ氏の動画のあとに、1人の男性が映っている。「イスラム国」の戦闘員は、「米国がイラクから撤退しなければ、次はこのデービッド・ヘインズ氏を処刑する」と宣言している。
デービッド・ヘインズ氏は、アメリカ人でなくイギリス人だ。昨年3月、シリア北部のイドリブの難民キャンプで支援活動をしていたところを武装グル―プに拉致されたまま行方不明になっていたが、デービッド・ヘインズ氏を知る人物によると、この動画の男性は、間違いなく本人だそうだ。だから、米国が空爆をやめない限り、近い将来、この男性が処刑され、その動画がアップされるだろう。
‥‥そんなワケで、今日は「いかがお過ごしですか?」は割愛して先へ進むけど、「イスラム国」には、とても多くの欧米人の捕虜がいると思われる。身代金を要求したりもしてるんだから、「捕虜」と言うよりは「人質」と言うべきかもしれないけど、あたしが映像上で確認しただけでも、少なくとも十数人はいる。
米国防総省は「米国人の捕虜は2人」だなんて寝言みたいなことを言ってるけど、これは完全に自国民向けの嘘だろう。だって、今年になってからだけでも、米国人の捕虜は2人も解放されてるのだ。もしも捕虜が6人しかいなかったら、2人を処刑して、2人を解放するだろうか?実際、解放された米国人の捕虜の1人も、自分が拘束されていた部屋には、少なくとも「18人の捕虜がいた」と証言してる。
あたしは、約1年くらい前から、「イスラム国」の前身である「ISIS(Islamic State of Iraq and Syria)」のYOU TUBEの公式チャンネルをチェキしてきた。あまりにも残虐な映像の数々に、思わず目を覆いたくなるものも多かったけど、中東の情勢を知るための情報源の1つとして、なるべく観るようにしてた。だから、あたしは、彼らがシリア兵や他教徒を捕まえると何の躊躇もなく殺害する一方で、欧米人を捕まえると「有益な切り札」として大切に生かしていることを垣間見てた。
米非営利団体の「ジャーナリスト保護委員会(CPJ)」によると、シリアが内戦状態に陥ってからの約3年間で、少なくとも80人を超える海外ジャーナリストが武装勢力に拉致されたが、生死が分かっていないケースが大半だという。こうした情報からも、多くの欧米人の捕虜が今も拘束されていると見て間違いないだろう。
「イスラム国」は、敵の兵士や他教徒の男性は容赦なく殺害する。女性は強姦して売り飛ばすか改宗させて自分たちの仲間と結婚させる。そして、欧米人は米国との取引のための「有益な切り札」として生かしておく‥‥ってことだ。「イスラム国」は強大な勢力だから、他の武装勢力からも一目置かれている。できることなら「イスラム国」とは対立したくない。そう思ってる武装勢力は、「イスラム国」への忠誠を誓う代わりに、自分たちが拉致してきた欧米人を「イスラム国」へ差し出す。
8月19日に処刑された米国人ジャーナリストのジェームズ・フォーリー氏も、もともとはシリアを取材中の約2年前に、「イスラム国」とは敵対していた武装組織「ダウード旅団」に拉致された。「ダウード旅団」は約1000人規模の小さな組織で、日本人の湯川遥菜氏が同行していたと言われている比較的穏健派の「自由シリア軍(FSA)」などと共闘していたが、ここ数ヶ月で組織の方向性が変わり、過激になった。それまで共闘していた穏健派と袖を分ち、急激に「イスラム国」へと接近するようになった。
シリア内だけでも6万人以上の戦闘員を持つ「イスラム国」は、シリアのアサド政府軍でさえも脅威を感じている。数日前にも、アサド政府軍の兵士160人以上が「イスラム国」に拘束されて処刑されたばかりだ。だから、わずか1000人規模の「ダウード旅団」としては、「打倒アサド政権」という目標のためなら、より強大な「イスラム国」の傘下に下ったほうが話が早い。日本と同じで「寄らば大樹の陰」ってワケだ。
そして、この「ダウード旅団」が「イスラム国」への忠誠を誓うために利用したのが、米国人ジャーナリストのジェームズ・フォーリー氏だった。「ダウード旅団」は捕虜のジェームズ・フォーリー氏を「生け贄」として「イスラム国」へ差し出し、その見返りとして「イスラム国」と行動をともにすることになった。
‥‥そんなワケで、あたしが不思議に思ってるのが、「イスラム国」に拉致された日本人の湯川遥菜氏の救出のために、日本の外務省が交渉を依頼してるのが、「ムジャヒディン軍」のメンバーだってことだ。「ムジャヒディン軍」てのは、現在の「ダウード旅団」のことなんだよ。つまり、過去に何人も米国人ジャーナリストを拉致してて、今回も「イスラム国」に取り入るためにジェームズ・フォーリー氏を差し出したグループであり、完全に「イスラム国」サイドの勢力なのに、そこと交渉って、あたしには意味が分からない。
最初にリンクした、スティーヴン・ソトロフ氏が処刑された今回の動画の中で、「イスラム国」の戦闘員は、次のように釘を刺している。
「オバマよ、お前のミサイルが我々の民を攻撃し続けるのであれば、我々のナイフは米国人らの首を切り落とし続けるだろう。そして、米国による悪の連合に加わっている国も同様だ。今すぐに手を引け」
この警告のポイントは「米国人ら」という部分だ。これには当然、「英国人」も含まれている。だから、次の処刑の予定者は英国人の「デービッド・ヘインズ氏」なのだ。そして、この警告の後半の「米国による悪の連合に加わっている国も同様だ」という部分には、もちろん「日本人」も含まれているだろう。集団的ナンタラで自衛隊がイラクやシリアで出掛けて行かなくても、資金面などで日本が米軍の軍事介入を支援するようなことがあれば、日本人の捕虜も、ジェームズ・フォーリー氏やスティーヴン・ソトロフ氏と同じ運命をたどることになるだろう。
その時、安倍晋三首相は、10年前の小泉純一郎首相と同じに、「テロには屈しない!」と連呼して自国民を見捨てるのだろうか?たしか、5月15日の集団的ナンタラの記者会見では、安倍晋三首相は「今や海外に住む日本人は150万人、さらに年間1800万人の日本人が海外に出かけていく時代です。その場所で突然紛争が起こることも考えられます」と前置きした上で「内閣総理大臣である私は、いかなる事態にあっても、国民の命を守る責任があるのです!」って力説してたよね。
だけど、実際には、「日本人がシリアで武装勢力に拘束された上に安否は不明」という連絡が入っても、安倍晋三首相は秘書とのゴルフをやめなかった。夕方まで予定通りにゴルフに興じ、夜は晩餐会でワインを楽しみ、翌日も早朝からゴルフ三昧だった。シリアで「イスラム国」に拘束された日本人、湯川遥菜氏のことは、汚染水と同じく「丸投げ」だった。そして、日本人が拘束されて2週間以上が経つのに、未だに何のコメントも出さない。
ちなみに、10年前、当時24歳だった日本人青年を人質にして「自衛隊の撤退」を要求した武装勢力「イラクの聖戦アル=カーイダ組織」に対して、当時の小泉純一郎首相は「テロには屈しない!自衛隊は撤退させない!」として要求を拒否。日本人青年は首を切断されて虐殺された。いくら「人道的支援」だ「後方支援」だと言っても、そんなものは日本国内でしか通用しない屁理屈で、敵から見れば自衛隊は「軍隊」であり、米軍と同列なのだ。
そして、2006年、この「イラクの聖戦アル=カーイダ組織」の指導者であるザルカーウィー氏が米軍に殺害されたため、アブー・アイユーブ・アル=マスリー氏が新しい指導者になった。組織は加速度的に大きくなり、「ISIS」になり、現在の「イスラム国」になったってワケだ。細かい合流や分派はいろいろあるけど、フランク・ザッパに言えば、現在の「イスラム国」は小泉純一郎の時代から連綿と続いているのだ。
「イスラム国」の最大の特徴と言えば、欧米人がヤタラと多いと言う点だ。さっき、シリア国内だけでも約6万人の戦闘員がいるって書いたけど、このうちの5人に1人以上、約1万2000人が欧米人だと言われてる。しばらく前には、オーストラリア人の戦闘員が、切断したシリア兵の頭部を自分の子どもに持たせた記念写真をツイッターに投稿して批判されたけど、とにかく欧米人が多い。
今年、解放された米国人の捕虜は、メンバーの顔は覆面で分からなかったが「英国訛りの英語で会話している戦闘員が多かった」と証言している。米国人シャ―ナリストのジェームズ・フォーリー氏を処刑した戦闘員も、「聖戦士ジョン」というコードネームで呼ばれている英国籍の男で、1年前までロンドン西部の高級住宅街に住んでいて、「L Jinny」という名前で活動していたヒップホップのアーティスト、アブデル−マジェド・アブデル・バリー容疑者(23歳)だと報じられた。
‥‥そんなワケで、「イスラム国」の戦闘員の中に多くの欧米人がいるということは、米国や英国でテロを行なう上では非常に有利だろう。そして、「イスラム国」の広報のツイッターアカウントは、今回の日本人拘束の件で日本人からのアクセスが殺到したため、今や日本語でツイートを始めた。生きた人間の首を平然と切り落とす集団と、日本のアニメヲタクや軍事ヲタクが普通にツイッターでやりとりをしてる様子を見て、あたしは、近い将来、日本人の戦闘員が日本人の人質の首を切り落とすような日が来ないことを祈るばかりの今日この頃なのだ。
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