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イスラエル国内や同国が占領する東エルサレムで、パレスチナ人やイスラエル国籍のアラブ人に対する憎悪犯罪(ヘイトクライム)が急増している。1カ月半続いたイスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ攻撃は停戦から1週間たったものの、社会に残った対立は容易に消えそうにない。
■パレスチナ人への襲撃急増
会社員アミル・シュウェイキさん(20)は7月下旬の仕事帰り、ユダヤ人の若者たちに金属バットで頭を殴られて大量出血し、意識不明の重体になった。「『アラブ人は死ね』と言われ、約20分間、殴る蹴るの暴行を受けた」(一緒にいた友人)
シュウェイキさんは脳に障害が残り、治療に半年以上かかるという。母アイダさん(50)は「突然泣くこともあり、何が現実か分からないようだ」と顔を曇らせる。「病院では、すれ違ったユダヤ人の見舞客にののしられた。今まではなかったことだ」という。
バス運転手ハリド・ジャマル・オベイデさん(33)も7月下旬、バス停でドアを開けた途端、ユダヤ人の2人組の男に「地獄に行け!」と石を投げられ、右肩を負傷した。痛みで運転ができなくなり、23日間仕事を休んだ。オベイデさんは「同様の事件は毎日のように起きている。だが、解雇につながるのを恐れ、だれも報告しない」と話す。
タクシーをめぐるトラブルも相次ぐ。マフディ・アブホンモスさん(56)はユダヤ人が多い地区を拠点に働く。だが、「『アラブ人か?』と聞かれ、そうだと言うと乗車しない客が増えた」。突然殴られたり、石を投げられてタクシーを壊されたりした運転手も少なくない。
イスラエル軍によるガザ攻撃中は、件数は不明だが、パレスチナ人が経営する店への放火やパレスチナ人への暴行事件も相次いだ。インターネット上には差別発言があふれ、極右のデモでは「パレスチナ人に死を」と叫ぶ光景も見られた。
■右派政治家の発言で拍車
嫌がらせや暴行が増えたきっかけは、パレスチナ自治区ヘブロン近郊で6月中旬にあったユダヤ人少年3人の誘拐事件だ。射殺されたとみられる遺体がパレスチナ人の村から見つかり、ユダヤ人に大きな衝撃を与えた。
イスラエル政府は、容疑者とは無関係な人も含めて600人以上のパレスチナ人を拘束。7月初旬には、東エルサレムでパレスチナ人少年がユダヤ人の若者集団に誘拐され、焼死体で発見された。ガザを実効支配するハマスの報復を招き、7月8日からのイスラエル軍の大規模なガザ攻撃へとつながった。
イスラエルの人権団体「協力」のアリ・レメズさん(42)は、政治家の発言も問題視する。例えば極右政党を率いるリーベルマン外相は、ガザ攻撃に抗議するアラブ系イスラエル人のストライキが呼びかけられると、「参加するアラブ系の店や企業から買わないように」とフェイスブックに書き込んだ。レメズさんは「こうした発言は、彼らが『敵』だとのお墨付きを与えることになった」と指摘する。
矛先はイスラエルの左派にも向き、テルアビブでの反戦デモが右派に襲撃されたり、左派の記者や活動家が脅迫を受けたりした。
イスラエル刑法は、人種差別や、宗教や民族に対する敵意を動機とする犯罪について、通常犯罪よりも重い刑罰を適用することを定めているが、実際には報復を恐れて被害者が泣き寝入りするケースも多い。
イスラエルとハマスは8月下旬、長期停戦に合意したが、テレビ局の世論調査では「停戦合意に反対」との意見が54%に上った。ロケット弾攻撃にさらされた南部を中心に、作戦は不十分との批判があり、ハマスを壊滅させるまで攻撃すべきだとの「主戦論」が幅をきかせている。(エルサレム=山尾有紀恵)
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