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焦点:イスラム国の戦い方に変化、試される米空爆の効力(ロイター)
http://www.asyura2.com/14/warb14/msg/143.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 9 月 01 日 18:24:05: igsppGRN/E9PQ
 

8月31日、イラクとシリアで支配地域を広げる過激派組織「イスラム国」の戦い方が大きく変容し始めている。写真はイスラム国の旗を掲げるシリア・ラッカ近郊の住民。24日撮影(2014年 ロイター)


焦点:イスラム国の戦い方に変化、試される米空爆の効力
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0GW1R620140901
2014年 09月 1日 17:53 JST


[BAQIRTA(イラク)/ワシントン 31日 ロイター] - イラクで支配地域を広げる過激派組織「イスラム国」。6月に北部モスルなどを電撃的に制圧したころは、略奪した米国製の武装車両などに乗って自らの強さを誇示していたが、最近は戦闘員が地域社会に潜伏するなど、戦い方が大きく変容し始めている。

複数の現地証言によると、イスラム国の戦闘員の多くは、米軍による空爆のターゲットになりやすい武装車両を捨て、住民の中に紛れ込もうとしている。恐ろしい存在であることに変わりはないものの、以前に比べるとかなり慎重に行動するようになっているという。

米軍がイラクでの空爆に踏み切って約3週間。同国最大のダムであるモスル・ダムは、イラク軍とクルド人民兵組織がイスラム国から奪還した。また8月31日には、数千人の住民がイスラム国によって包囲されていた北部都市アメルリもイラク軍が制圧下に置いた。

これらの戦況を受けてイスラム国の動きがさらにどう変わるかは定かではない。ただ、イラクとシリアで国土の3分の1を制圧したイスラム国の戦術変更は、オバマ米政権や米国防総省、米軍が支援するイラク軍やクルド人民兵組織にとって、大きな問題であることを意味する。

シーア派中心の政権に不満を募らせていた他のスンニ派武装勢力と手を組んだイスラム国は、配下に8000─2万人の戦闘員を抱えているとされ、イラク北部や西部では一大勢力を形成している。

イラクの治安当局者や専門家らは、そうした聖戦主義者らを一掃するには、米軍の特殊作戦部隊(SOF)や顧問団による指導の下、イラク軍とスンニ派部族、クルド人民兵組織が参加する地上戦も必要になると指摘する。

イスラム国を撃破するには、隣国シリアでの拠点に対する空爆もほぼ確実に必要だが、現地では米情報機関の活動が手薄であることから、多くの民間人が巻き添えになるリスクもある。

イラク軍の元将校アリ・アルハイダリ氏は「(イスラム国からの)地域奪還には空爆以上のことが必要だ。特別な訓練を受けた兵士と現地住民からの支援が欠かせない」と語っている。

また米海軍大学の中東問題専門家ハヤット・アルビ氏は、米政府の姿勢について、イスラム国を封じ込めたいのか、完全な一掃を目指すのか、決断する必要があると指摘。「もし米政府が本気でイスラム国を打ち砕き、脅威を取り除きたいなら、もっと大きな関与が求められる」との見解を示した。

<空爆が効果発揮>

米軍は8月8日以降、クルド人自治区の主都アルビルやモスル・ダム、クルド人少数派ヤジディ教徒が孤立したシンジャル山など、イラク北部で空爆を繰り返している。

最初に空爆を行ったのは空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」から飛び立った「F/A─18」戦闘機で、大量虐殺の脅威に直面していたヤジディ教徒を保護する人道目的だった。米当局者によると、現在は陸上機や無人機も空爆に加わっているという。

米国家安全保障会議(NSC)の元イラク担当責任者ダグラス・オリバント氏は「これまでのところ、空爆はイスラム国の前進を食い止めることに注力している。少なくともイラク国内ではかなり成功を収めている」と評価した。

空爆には米軍戦闘機だけでなく、ロシアからイラク軍に納入された戦闘機「スホイ25」も参加しており、イラクおよび西側当局者は、空軍力強化は大きな効果を発揮していると口をそろえる。ただ、イスラム国の戦闘員の犠牲者に関する具体的な数字は明らかになっていない。

イスラム国が占拠するモスルでは現在、組織の戦闘員が力を誇示するような行動は見られない。報復を恐れて匿名を条件に取材に応じた住民の1人は、「彼らは以前よりは目立たない。空爆の明確なターゲットになるので、トラックで機関銃を使うのを避けている」と語った。

米軍の空爆により、北部アメルリ周辺地域では、イスラム国に対するイラク軍とクルド人民兵組織の組織的攻撃が可能になった。シーア派のトルクメン人が多く住む同地域はイスラム国によって包囲され、食料や水、医療品が届かない状況が2カ月ほど続いていたが、8月31日にイラク政府の管理下に戻った。

クルド人部隊は、米軍による空爆なしでは、アルビルでイスラム国の前進を食い止めるのは難しかったと語る。またモスルの複数の情報筋によると、イスラム国の指導部の一部も空爆で殺害されたという。

クルド人自治政府は、爆撃を受けた車両が炎上し、イスラム国の戦闘員らが重傷を負ったり、死亡したりするのを目撃したとしている。クルド民主党(KDP)の高官、ネジャト・アリ・サリフ氏は「自分たちは彼らより強いと感じている」と語った。

<ロシア製の戦闘機>

イラク空軍によるイスラム国への攻撃は当初、ヘリコプターやセスナ機からのロケット弾に限られていた。

しかし6月末までには、ロシアがイラクへの「スホイ25」納入で合意。国際戦略研究所(IISS)によれば、7月にイラクに届いた同戦闘機には、迷彩柄が施され、イランのイスラム革命防衛隊のマークが書かれていたという。

イラクとイランの政府当局者は、これら戦闘機の出自について口を閉ざしており、実際に誰が操縦しているのかも明らかにしていない。

イラク軍のアリ・アブドルカリーム大佐は、バグダッドでは先月、戦闘機によってイスラム国の進撃を阻止したと説明。米軍機に比べるとパイロットの経験が浅く、ミサイルの精度も劣るが、地上部隊との連携は改善していると語った。

<テロリストの軍隊>

とはいえ、イラクでイスラム国を撃退するのは簡単ではない。

米軍の空爆は、クルド人に対するイスラム国の怒りを増幅させているようにも見える。イスラム国は8月28日、クルド人の捕虜15人が映った映像を公開したが、そこには、捕らわれた男性1人が処刑される場面も含まれている。また捕虜のうち3人は、クルド自治政府のバルザニ議長に対し、米国との軍事協力を止めるよう訴えた。

クルド自治政府の高官は「われわれが現在戦っているのは、よく訓練され、完全武装したテロリストの軍隊だ」とし、「彼らが戦いに非常に巧みであるのは認めなくてはならない」と苦渋の表情を見せた。

スンニ派の多い地域をイスラム国から奪還するのは困難に見える。2007─08年のイラクへの大増派(サージ)では、米軍は国際武装組織アルカイダと戦うために一部のスンニ派グループとは密接に協力し合っていた。米軍から当時訓練を受けた人の一部は、今はイスラム国と行動を共にしているという。

また、クルド人民兵組織によると、空爆後に見つかるイスラム国側の死者は思っていたよりも数が少ないという。複数のクルド人当局者は、その理由として、生き延びた戦闘員らが遺体を即座に収容した可能性だけでなく、空爆対象地域にはそもそもイスラム国の戦闘員が多く残っていなかった可能性も挙げている。

<シリアに新しい拠点>

イスラム国は、シリアでも新たに拠点を築いている。8月24日には、軍が使う主要空港の1つを掌握した。それに先立つ21日、デンプシー米統合参謀本部議長は、イラクでのイスラム国の撃退には、シリアでの同組織に対する攻撃でも成功することが必要だとの見解を示した。

しかし、米軍が豊富な経験を有し、現地に友軍も存在するイラクとは違い、シリアでの作戦遂行には難題が山積している。オバマ政権は、シリアのアサド政権とは関係を持っていない。アサド政府軍とイスラム国の両方による防空作戦は手ごわいものになるだろう。

オバマ大統領は先に、シリアでのイスラム国に対する空爆の観測を否定。シリアでの武装勢力との戦いについては「まだ戦略を持っていない」と語った。ホワイトハウスによれば、オバマ大統領は軍事顧問らが提示する選択肢を慎重に検討したい意向だという。

バグダッドを拠点にイラクの武装勢力を研究するヒシャム・アルハシミ氏は「空爆はこれまでのところ、イスラム国の組織構造や武器、彼らの力の源泉である油田や、イラクとシリア間の密輸は狙っていない」と指摘。「イスラム国をクルド人地区から遠ざけるという目的は達成したが、大きな勝利は収めていない」と語った。

(原文:Isabel Coles and Peter Apps、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)


 

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コメント
 
01. 2014年9月01日 23:17:36 : jXbiWWJBCA
イスラム国の壊滅は短期的には絶望的。


02. 2014年9月01日 23:19:07 : jXbiWWJBCA
過激派「イスラム国」の迫害行為を直視せよ
米国が空爆で救おうとしている人々とは?
サンジーブ・サンヤル:エコノミスト2014年8月31日

イラク北西部のシンジャルからドホークに避難してきたヤジーディー(Yazidi)の子供たち。避難していた建物が破壊され、屋外で救援を待っていた。8月25日撮影(写真:ロイター/アフロ)
オバマ大統領が、遅まきながらイラク北部に対する空爆と、避難民への人道支援として食糧・救援物資の投下を命じ、国際社会はようやく「イスラム国」に対する行動に踏み切った。

「イスラム国」とは、最近までISIS(イラクとシリアのイスラム国)と称していたイスラム教スンニ派の過激派武装組織で、ここ数カ月でイラクとシリアの大部分を制圧し、同地に「カリフが統治する国」を樹立したと宣言した。しかし「イスラム国」を脅威と見なす真の理由は、この組織が権力拡大を目指しているからではない。この武装組織の構成員が、組織的かつ冷酷なやり方で、この地域の従来の社会、文化、人口構成を根本的に覆そうとしている点が問題なのだ。

支配地域からスンニ派以外を追い出し

ここ数週間で、「イスラム国」はその支配地域から、イスラム教シーア派とキリスト教徒を、ほぼ完全に追い払った。世界最古のキリスト教徒コミュニティの1つを抱えるモースル市にも、キリスト教徒は残っていない。極めて貴重なアッシリアの遺跡が、偶像崇拝を否定する運動の一環として、公然と破壊された。

同じスンニ派の中にも、イスラム教の極端な解釈に固執しない一派があるが、過激派「イスラム国」は彼らにさえ容赦しない。多くの聖堂が粉々に破壊された。「預言者ヨナの墓」とされる遺跡もだ。

最悪の行為はヤジーディを標的にした迫害だ。ヤジーディは古代から続く宗教グループで、クルド地域で暮らしている。人口は50万に満たず、その3分の2はイラク北部のモースル周辺に居住し、残りはシリア、アルメニア、トルコなどの近隣諸国に散らばる。近年になってドイツや米国に移民した人たちもいる。

そのルーツは少なくとも後期青銅器時代にまでさかのぼり、信仰はヒンドゥー教との共通点が多い。たとえば、輪廻転生を信じ、日出・日没時の太陽に向かって祈りを唱え、カースト制度もある。

ヤジーディの起源ははっきりしないが、文化的・遺伝学的証拠が示唆するのは、紀元前第2千年紀に西に向かって移動したインド人集団との関連だ。古代ペルシャの宗教であるゾロアスター教は、ヤジーディの信仰とつながりがあり、初期ヒンドゥー教とも密接な関連がある。

何世紀もの間、キリスト教徒もイスラム教徒も、ヤジーディを「悪魔信仰」だとして、情け容赦なく迫害した。特にひどかったのは、オスマントルコの支配下にあった18世紀と19世紀だ。度重なる大虐殺で何十万人ものヤジーディが殺害され、ほぼ全滅に至った。

ヤジーディの避難場所はできるか?

ヤジーディ文化はアラブ化圧力にさらされ続けた。フセイン政権崩壊後、事態は悪化した。2007年4月には、銃を持った男たちがヤジーディの男性23名をバスから引きずり降ろし、撃ち殺す事件が起こった。その4カ月後には、組織的な自動車爆弾攻撃で、女性や子どもを含む少なくとも300人が殺害された。

「イスラム国」は、モースルのキリスト教徒には、改宗するか、「ジズヤ」(イスラム法に基づき非イスラム教徒に課される特別税)を払うか、退去するかを選ばせた。だがヤジーディは「悪魔信仰」と決め付け、見つけ次第殺害する。

モースル近くにあるヤジーディの本拠地は、ほぼ「イスラム国」の支配下に置かれている。報道では大規模な虐殺が行われ、多くの避難民が山岳地帯に逃げ込み、数百人が水と食料の不足で死んだとされている。ヤジーディにとって最も神聖な巡礼地、ラリッシュは、破壊のリスクにさらされている。

米軍がクルド人勢力による軍事行動を支援することで、生存者は救出されるだろう。しかし、ヤジーディが近いうちに故郷に戻れる見込みはなさそうだ。

何世紀も昔、生き残りのゾロアスター教徒がペルシャ(イラン)での迫害を逃れインドにやってきた。その子孫は「パールシー」という小コミュニティを形成し、今もインドで暮らしている。ヤジーディに避難所を提供するのは誰だろうか。

(週刊東洋経済2014年8月30日号)
http://toyokeizai.net/articles/-/46324


03. 2014年9月01日 23:37:27 : TGZjS8iB2r
空爆は牽制にはなっても、陸上部隊を投入しない限り制圧することは不可能。少なくともオバマにはその選択肢はないのだから、あと2年は同じような状況が続くと見るのが妥当。その間、傀儡のクルド人勢力にテコ入れして先鋭化して御しきれなくなったISISを処分していくというところか。

04. 2014年9月02日 04:47:51 : Ss8p2X9iXY
イスラム国に対抗させるためにクルド人の武装を強化させれば、今度はクルド人がアメリカに襲い掛かることになるだろう。
いずれにしろ中東の紛争地域ではアメリカが一番嫌われているのは確かで、アメリカが関与する限り、シーア派もスンニ派もクルド人もすべて根絶やしにしない限り紛争の終わりは来ない。
かと言って、この地域の騒乱はアメリカが火を点けて始まった事態だから、手を引いて終わりとは出来ないだろう、最後はアメリカが国連に泣きついてPKO部隊に肩代りするしかなく、アメリカの一国覇権主義は終わりを迎えることになる。

05. 2014年9月02日 13:15:06 : nJF6kGWndY

出る杭が打たれ始め

死者も小さくなってきたか

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0GX06D20140902
8月のイラク戦闘犠牲者は1420人、「イスラム国」が少数派標的に
2014年 09月 2日 11:59 JST
[バグダッド 1日 ロイター] - 国連は1日、イラクの戦闘で8月に死亡した人の数が、少なくとも1420人に達したと発表した。負傷者は1370人。60万人が避難を余儀なくされているという。

同国中部・北部では、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」が勢力を拡大しており、宗教的少数派が標的になっている。

国連のムラデノフ・イラク特別代表は「依然数千人が、宗教や民族的背景を理由に『イスラム国』や関連武装集団の標的にされ、殺害されている。この人道的悲劇による犠牲には目がくらむ」と述べた。

国連統計によると、7月の死者は1737人、6月は2400人だった。


06. 2014年9月04日 08:54:59 : nJF6kGWndY

ISISを倒したとしても、原理主義の拡大は、止まらないな

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41634
中東の聖戦に向かう西側の若者たち(下)
2014年09月04日(Thu) The Economist
 より説得力のある説明は、彼らは母国の退屈さから逃れ、自分のアイデンティティーを見つけたいという欲求から聖戦に参加している、というものだ。

 「自分の人生では大したことは起こっていないからという理由で、あの場所へと引き寄せられた者もいる」と、ロンドンのシンクタンク、英国王立防衛安全保障問題研究所(RUSI)のアナリスト、ラファエロ・パントゥッチ氏は言う。

母国での生活は退屈、聖戦はアルコール抜きの学生の休暇?

豪首相、同国出身のIS戦闘員による残虐写真を非難
退屈し、先の見えない生活を送っている人にとっては、刺激的に見えるのか(写真はシリア北部の落下の街路を進む「イスラム国(IS)」の戦闘員とされる人々)〔AFPBB News〕

 ビリヤードをしながら、甘い物を食べ、プールに飛び込む戦闘員たちの映像は時に、見る者に、聖戦はアルコール抜きの学生の休暇のようなものだと思わせてきた。

 冴えない町で先の見えない仕事に就いている若者にとって、同胞意識と勝利の栄光と銃は、身を震わせるような興奮を与えてくれるように見える。

 ベルギー出身の戦闘員の多くは、最も退屈な町の出身だ。過激派はそのような町で集中的に、新たな聖戦戦士を募る努力を費やしてきた。

 ジハード主義者のネットワークや過激派はもはや、モスクに拠点を構える必要はない。アブ・ハムザがフック型の義手を振りかざし、ウサマ・ビンラディンを称えたフィンズベリーパークのモスクなど、一部のモスクは運営母体が代わった。誰を歓迎するかについて、以前より慎重になったモスクもある。

 小さなジハード集団は、モスクの代わりに、その活動が発見されにくいガレージやアパートに集うことができる。ジハードに関心のあるヨーロッパ人は、インターネット上で好きなだけ扇動に触れることができる。フェイスブックとツイッターのおかげで、パスワードに保護された専門フォーラムを使う必要さえなくなった。

イスタンブールからシリアに向かう「ジハードエクスプレス」

 トルコは国境警備を厳しくしたものの、シリア入りは概して簡単だった。何のコネも持たずにやって来る志願兵もいる。戦闘員に必要なのは、イスタンブールまでの片道切符だけだ。大方の人はイスタンブールから国内便で、822キロに及ぶトルコとシリアの国境沿いにあるどこかの町へ飛ぶ。地元の人たちはこうした国内便を「ジハードエクスプレス」と呼んでいる。

 新入りは、国境を越えて密入国するか、シリアの偽造IDカードを使ってトルコの入国審査を通過するまで、隠れ家で過ごす。大半の英国人戦闘員は銃を持ったことがないが、ひとたびシリア領土に入ると、基地で訓練を受ける。

 多くの人は――たとえまだ十分にはイスラム流でないにせよ――生活様式がイスラム流の国にいた方が居心地がよく、国を出たり、他国で攻撃を実行するつもりはないと話している。欧州出身のある戦闘員は「ここにいた方がずっと幸せで、心の安らぎを得られた」と言う。

イスラム武装勢力、イラク治安部隊の「処刑写真」公開
イラク・サラハディン州で治安部隊の隊員らを処刑しようとする「イスラム国(IS)」の戦闘員らを写したとされる写真〔AFPBB News〕

 だが、アサド氏と戦うためにシリアに行ったほかの人々は幻滅したとノイマン氏は言う。彼らは内紛や、他のイスラム教徒を殺すことを心配している。

 ある志願兵はノイマン氏に「我々が来たのは、そんなことをするためではない」と語ったという。

 有名な英国人元過激派のエド・フサイン氏は、彼が改革への道を歩み始めることになったきっかけは、(場所はシリアやイラクではないが)殺人を間近で目撃したことだったと話す。改革を促し、ISの新兵募集を鈍らせる1つの方法は、戦場で成功するISの評判を汚すことだという。

過ちに気づいても母国に帰れない

 母国に戻ることは、決して容易ではない。西側の政府当局は、誰が戦場へ行ったかある程度知っており、帰国した時には気づく。ある戦闘員はノイマン氏に対し、ただ英国に戻り、長い服役を避けることさえできれば、喜んで脱過激化プログラムを受けるし、保安局に尾行されても構わないと語った。

 ロンドンのボリス・ジョンソン市長が8月24日に述べたように、当局に通知せずに戦闘地域を訪れる人間は皆、テロ目的で行った人で、処罰しなければならないと仮定することは「非常に愚かな対応」だとノイマン氏は言う。

 だが、ジハード主義者の帰国こそが、まさに西側政府が恐れていることだ。今のところ、分かっている限りでは、ISのために戦って死んだ最初の米国人となったダグラス・マケインのような外国人は、自国ではなくシリアとイラクで戦うことに専念してきたように見える。

 国内でのテロより確率が高いのは、2人のジハード主義者が英軍兵士のリー・リグビー氏をロンドンで殺害した事件のような一匹狼による攻撃だ。

 今年、ブリュッセルのユダヤ博物館で銃撃事件を起こし、4人を殺害した容疑で逮捕されたフランス系アルジェリア人のメディ・ネムシュは、1年間シリアで戦ったと見られている。こうした攻撃は、治安部隊が予想して食い止めるのが難しい。

 これまでのところ、自国の志願兵に対する西側政府の対応はまちまちだった。米国は戦闘に向かうと思われる人の取り締まりに乗り出した。ノルウェー国防研究機構のヘッグハマー氏いわく、米国は多くの欧州諸国と比べてイスラム教徒の人口が少なく、政治的な反発の恐れも小さいために、取り締まる余裕があるという。

 欧州諸国の政府は米国よりも慎重だ。欧州の市民は容易に国を出た。刑罰を厳しくすれば、一部の人を思いとどまらせるかもしれない。だが、幅広く訴追すれば、政府は新兵の流れを大きくする結果になりかねない。また、刑務所は、イスラム過激派にとって新兵募集の格好の場になっている。

 サウジアラビアやスウェーデンなどが運営している脱過激化プログラムの成果はまちまちだ。

 少なくとも英国では、最も成功している取り組みは、英国政府の対テロ戦略の一環として行われる、いわゆる「チャンネル」プログラムによる若者を過激主義から遠ざける努力だ。警察と社会福祉機関と地方自治体が協力して取り組むこうした努力は、若者がギャングから抜けるのを助けるために使われている方法を参考にしている。

今日のジハード主義者がロンドンやパリの殺人者になる恐れ

 また、戦闘地域から戻ってくる人が、皆、人を殺したわけではない。各国政府は、自分が過ちを犯したことに気づいた人たちに逃げ道を与える必要があるとノイマン氏は言う。西側諸国は、よりソフトなアプローチから恩恵を受ける可能性さえある。過ちに気づいた帰還兵はまさに、多くの若者に戦いをやめるよう説得する人かもしれない。

 だが、今日ISのために戦っている欧州のジハード主義者が、明日、ロンドンやパリ、ニューヨークの街頭の殺人犯になるかどうかは誰にも分からないのだ。

「中東の聖戦に向かう西側の若者たち(上)」はこちら
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41633
(英エコノミスト誌 2014年8月30日号)


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