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【8月30日 AFP】50日間に及んだパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での紛争をめぐり、イスラエルは勝利を強調しているかもしれないが、その実、政治・経済・外交の面で大きな代償を払うことになるように見受けられる。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、7月8日に開始した軍事作戦がずるずると7週間も続く中で支持率を大幅に落とし、今月26日に停戦合意したことで閣内のタカ派から批判を浴びている。
ネタニヤフ首相は27日、次のような自己弁護を展開した。
・ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)は「大打撃」を受け、停戦条件として要求していたガザ地区の空港や港なども一切、獲得できなかった。
・一方、イスラエルは軍事的にも成功を収めた。イスラエルへの攻撃に使われていたトンネル網を破壊し、司令官を含む「約1000人のテロリスト」を排除した。
・イスラエルの防空システム「アイアン・ドーム(Iron Dome)」は、市街地に向けて発射されたロケット弾735発を迎撃し、9割命中の高い性能を示した。
■「戦略的な勝利」なし
「小規模の軍事的勝利はあったが、戦略的な勝利はなかった」と、テルアビブ大学(Tel Aviv University)国家安全保障研究所(INSS、Institute for National Security Studies)のマーク・ヘラー(Mark Heller)上級研究員は指摘する。ハマスについても、「生き延びたことが唯一の勝利だった」という。
戦闘においてハマスは、数々の局面で勝利を収めた。
イスラエル軍の戦死者64人は2006年のレバノン進攻以来最大の被害で、一方のハマスは、イスラエル軍の激しい爆撃にもかかわらず停戦発直前までロケット弾を発射し続けた。撃ち込んだ4591発のロケット弾・迫撃砲のうち、3650発がイスラエル領内に着弾した。
イスラエル南部〜中部では頻繁に空襲警報が鳴り響き、そのたびに多数のイスラエル国民が避難した。時にはテルアビブやエルサレム(Jerusalem)でさえ避難区域となり、ガザ境界線付近の住宅地はゴーストタウンと化した。
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だが、こうした軍事的勝利は1つとして政治的勝利には結びついていないと、テルアビブ大学モシェ・ダヤン・センター(Moshe Dayan Center)のアイヤル・ジッサー(Eyal Zisser)氏は分析する。「政治的にはハマスは何も達成していない。ガザに港や空港を建設するという要求も、通る可能性は非常に低い」
「ガザの被害は甚大で、これらの要求が拒絶されたとしてもハマスが戦闘を再開するのは極めて困難だろう」(ジッサー氏)
今回の紛争で、ガザ地区では2143人のパレスチナ人が死亡している。
■紛争の高い代償
専門家の試算によると、過去6年で最長となった今回のガザ紛争の経済コストは、30億〜40億ドル(約3000億〜4000億円)。これとほぼ同額を、イスラエルの国防省は弾薬などの補給予算として要求している。
強力な軍事ロビーに押されてこの国防予算が承認されれば、イスラエル政府は他省の予算削減を強いられるうえ増税をも余儀なくされかねず、社会的・経済的に追いつめられることになる。
外交面でも、重要な同盟国である米国との関係に強い緊張が生じた。停戦調停に努めたジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官に対しイスラエル政府高官が激しい批判を行ったことに、米国は強く反発。米国務省は、イスラエル軍によるとされる空爆で民間人が殺害されたことを強く非難した。
一方で、世論調査によると、今回の軍事作戦におけるネタニヤフ首相の手腕について「満足している」と答えた人は50%で、3週間前の77%から急落している。(c)AFP/Jean-Luc RENAUDIE
http://www.afpbb.com/articles/-/3024463
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